過払い金は本人以外でも請求可・故人の過払い金の確認はどうする?

過払い金を残したまま、ご本人が亡くなった場合、過払い金は相続によりご遺族が請求することができます。

そのため、亡くなった方のために過払い金の調査を行うことや、請求を行うことは可能です。

ところが、ご本人が死亡されている場合は、過去のご利用記録の調査が難しくなることや、相続について留意しておきたい点があります。

通常の過払い金の請求に加え、遺族が手続きを進めるうえでの手順や留意点など、遺族が過払い金を返してもらうためのコツとポイントをこの記事で解説します。

故人の過払い金は遺族が相続する

故人の過払い金は、法定相続人が相続することとなります。

遺言書がある場合、遺言で指定された特定の方に遺贈をしたとしても、法定相続人は遺留分を主張できます。

遺族が相続した過払い金は、それぞれの遺族が、過払い金の請求することができます。

遺族同士で遺産分割に関する意見がまとまらない場合でも、相続分に応じて請求できるので、1人で請求することも可能です。

請求すると時効の進行を止めることもできるので、時効が迫っている場合などは、請求を早めにした方がよいこともあります。

本人死亡の場合、遺族が過払い金を調べる方法とは?

本人が亡くなっている場合、遺族も本人に代わって、調査をすることが可能です。

過払い金を調査するには、過去の取引記録をご自宅で探し出すか、貸金業者・金融機関に取引の記録を請求をして取り寄せることが必要です。

そのうえで、過払い金の金額を計算して、いくら請求できるのか、調べる必要があります。

取り寄せには、貸金業者も金融機関もそれぞれに手続きを定めています。

遺族であることの証明や、本人確認書類、戸籍謄本を添えて行う必要があります。

ただし、遺族の過払い金の調査はご本人が亡くなっていて情報がうまく集まりにくいことなどもあり、円滑に進めるのが難しい面があります。

コツを知っておくと、進めやすくなるので、のちほど詳しくご説明します。

過払い金とは?返してもらえるのはどんな場合?

では、どういう場合に、遺族が過払い金を相続し、返してもらうことができるのか、過払い金を返してもらえる場合について説明します。

過払い金とは、払いすぎた利息のことをいいます。故人が借金をしていて、グレーゾーン金利が適用されている場合にあって、返済の時に利息を払いすぎてしまった場合、過払い金が発生していることとなります。

グレーゾーン金利が適用されていると過払い金が発生する

グレーゾーン金利とは、法律(利息制限法)の定めを超える利息のことを言い、貸金業者や金融機関が、返済金として受け取っていた超過利息分のお金は、借り入れした人から請求されれば、返さなければなりません。

法律の定める利息は

  • 利息制限法・・・利息の上限は、年15〜20%
  • 出資法  ・・・利息の上限は、年29.2%

でした。

この2つの上限の間で、2018年6月18日の利息制限法の改正まで、適法なのか、違法なのかはっきりしなかった利息を「グレーゾーン金利」といいます。

グレーゾーン金利が適用された借金で、返済時に法律上の上限利息を超えて払いすぎている場合に過払い金が発生しています。

2010年6月18日法改正前の借金に発生している可能性がありますが、貸金業者や、金融機関によってはグレーゾーン金利を法改正の前に適用をやめている場合もあります。

いつまでグレーゾーン金利が適用されていたかは、貸金業者や金融機関ごとに、調べる必要があります。

実際に返してもらうには時効が完成していないことが必要

法律上一定の期間を経過すると、権利がなくなることを消滅時効といいます。

過払い金を実際に返してもらうには、借金にグレーゾーン金利が適用されていることのほか、過払い金を請求する権利が、時効にかかっていないことを確認する必要があります。

消滅時効の制度のため、過払い金の最終取引=最終返済日から一定の期間を過ぎてから請求すると、過払い金を請求する権利がなくなっている可能性があるためです。

過払い金を請求する権利が時効にかかるのは次の場合です。

  • 借金をしていた人が過払い金を返してもらえる権利を行使できる時=最終返済日から10年が経過したとき(民法166条2項)
  • 返してもらえることを知ったときから5年が経過したとき(民法166条1項)

ただし、5年の消滅時効については、2020年4月1日よりも前に借金を完済している場合には適用がありません。10年の時効が適用になります。

過払い金の調査・遺族が調査するとデメリットあり?

先ほどご説明した通り、過払い金の調査は、遺族でもできますが、本人が亡くなっていることで調査が円滑に進まないことがあります。

また、資料がそろったとしても、正確な時効の確認など、判断が伴うものがあります。

遺族の考え方が違って、調査に協力してくれない親族がいることもあるでしょう。

また、正確な過払い金の確認ができないと、借入先が返金に応じないこともありますが、慣れていない方が行うと「引き直し計算」という過払い金の計算が不正確になるなどのデメリットがあります。

専門家に依頼すると?

遺族だけで過払い金の調査をするのが難しい場合には、過払い金の専門家に依頼すると正確に調べてもらうことができます。

さらに、専門家にアドバイスをもらいながら進めるとよいのが、相続人の確定です。

過払い金の調査の後には相続人を確定して、誰が請求するか決める必要があります。

専門家に依頼せずに遺族だけで過払い金の相続人を確定するのは、他の遺産についての遺産分割とのかね合いや、亡くなった方が借金を残していて相続放棄の可能性がある場合などに適切な判断ができないなど難しい面があります。

相続人を確定するときにも、専門家に相談しながら進めると、より適切な判断をすることができます。

専門家に依頼することのメリットとは?

専門家に依頼すると、過払い金の調査は過払い金をよく知る専門的な知見から効率よく正確に進めることができます。

借入先とのグレーゾーン金利の適用状況を専門家ならよく知っていますし、適切な時効の判断や正確な引き直し計算などのメリットが得られます。

特に相続の時には、メリットが大きいと考えられます。

借金が残っていて、相続放棄をするか・しないか、といった問題があるときや、家屋など相続するべき財産がある一方で、故人の借金があり整理しなければならないとき、遺族の意見が分かれているときなどには、専門家のアドバイスが頼りになります。

遺族が過払い金を返してもらう場合の手続きの流れ

遺族が過払い金を返してもらう場合、手続きは次の2つの方法があります。

  • 金融機関と示談交渉をして合意する(和解契約を結ぶ)
  • 裁判を起こす(訴訟の提起) 

2つの方法で、返してもらえる額と期間が異なりますが、裁判であれば全額が戻りやすく利息も戻りやすい反面、時間がかかります。

示談交渉の場合は、額は裁判より少なめの傾向があり、利息も戻ってきません。

しかし、通常の場合、数か月で決着し、裁判よりは早めに解決できます。
故人が遺した財産やご遺族の状況に応じて、額が大きいことを重視するか、スピードを重視するか、十分検討しながら進めることがポイントとなります。

和解(示談交渉)の場合の手続きの流れ

和解(示談交渉)は裁判と比べ早期に解決できることが多いですが、専門家に依頼する場合は、相談から受任まで数日、受任通知がお借入先のもとに届くまでに2~3日です。

さらに、引き直し計算から、交渉の妥結までは貸金業者や、金融機関によりますが、目安として3か月以内と考えられます。

手続きは、以下のような流れで進めます。

  1. 専門家の事務所を予約、相談をする。相続についても同時に相談します。
  2. 依頼者と専門家で受任契約を締結
  3. 専門家は受任通知を金融機関に送付する
  4. 専門家に金融機関が取引記録を開示、これをもとに専門家が引き直し計算を行う
  5. ①をもとに引き直し計算を行い、過払い金の額を算出する
  6. 金融機関に、書面で返金を請求
  7. もし、交渉が妥結すると、和解契約を締結、金融機関から過払い金が振り込まれる。

裁判の場合

裁判の場合の期間は半年ほどが目安です。判決で終了するよりも、裁判の途中、特に第2回口頭弁論期日までで示談交渉で終わることが多く見られます。

  1. 専門家の事務所を予約、相談をする。相続についても同時に相談します。
  2. 依頼者と専門家で受任契約を締結。
  3. 訴訟の必要性を検討し、訴訟を提起。裁判所に訴状・書面による証拠・切手・印紙などを提出。
  4. ③から約1か月後の口頭弁論期日には、専門家だけが裁判所に出廷、主張を行う。
    必要に応じて事情を説明したり、取引の記録を提出したりする
    それまでに、金融機関には、裁判所が訴状を郵送する。金融機関からは、答弁書(反論などを書いた書面)が送られる
  5. 口頭弁論期日。最終期日まで主張と反論を繰り返す。 
    または
    途中で裁判官の和解勧告に応じて、合意・和解する。
  6. 判決。勝訴の場合、金融機関から過払い金の支払いを受ける 
  7. (場合によって)判決を不服として控訴する・金融機関から控訴される

過払い金の請求で遺族の意見が分かれていたら?

相続人の間で遺産分割の協議がまとまらず、過払い金を請求する権利が時効にかかるような心配があるときには、相続人は単独でも請求をすることが可能です。

過払い金の法定相続分に応じた額を貸金業者や、金融機関に請求できます。

しかし、故人が借金をしており、プラスの財産より借金が多い見通しである場合には、相続放棄をすることが考えられます。相続放棄も単独ですることができます。

相続放棄は、一切故人からの財産を相続しないので、過払い金を請求する権利も相続しません。

そのため、相続放棄をする場合は、過払い金の請求する必要がなくなります。

本人以外が請求する場合、専門家に相談して疑問はなんでも解消しよう

このように、相続が関係して過払い金を返してもらう際には、留意点もいくつかあり、場合によってはややこしい、と感じられる方もいらっしゃることでしょう。

しかし、過払い金の専門家は相続の問題・過払い金の問題をきちんと整理して対応することができます。

司法書士・弁護士の中でも、過払い金の実績が多数ある専門家に相談し、納得したうえで手続きを任せた方がスムーズに進められるものと考えられます。

本人以外の遺族が過払い金の請求を行う場合は、特に専門家に早めに相談されることをお勧めします。

無料確認を納得するまで何度でも受け付ける専門家の事務所は、相続の場合にも安心して相談できます。

中央事務所でも、無料確認を何度でも受け付けています。

相続のことも心配なことはなんでも相談して、過払い金の問題を解決しましょう。

まとめ:本人が死亡している場合の過払い金は、専門家に早めに相談するのがコツ

故人の遺した過払い金を相続する場合、返金には相続に特有の留意点があるので、過払い金の専門家に早めに相談して進めるほうが賢明です。

遺族は単独でも持ち分に応じた請求が可能な点や、相続放棄が必要となる場合はそもそも過払い金を請求しないことがありうることにも留意し、相続が起こったら早めに過払い金の専門家に相談してみましょう。

中央事務所では、過払い金の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。

相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法を提案させていただきます。

WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。

本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎

中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

伊藤 竜郎
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