過払い金を取り戻せる条件・過払い金が多くなる条件とは?

過払い金があれば、できるだけ多く取り戻したいという方は多いと思います。また、できる限り早く過払い金を取り戻したいという方もいるでしょう。

ただし、過払い金を取り戻そうとしても、過払い金が発生していないことがあります。一方、過払い金が発生していても、過払い金を取り戻すことができない場合もあります。

つまり、過払い金を取り戻すには、過払い金が発生しているかどうか、過払い金を多く取り戻すにはどうすればよいのか、を正確に知っておくことが大切になります。

そこで、この記事では、過払い金を取り戻すための条件や、過払い金をより多く、より早く取り戻すための方法を解説していきます。

過払い金に影響が大きい「2つの条件」を知って、過払い金の取り戻しを成功させよう!

過払い金を取り戻せる条件は難しく、混乱してしまうこともあるかと思いますが、大きく2つの条件にになります。

では、まず、その前提となる、過払い金が発生する仕組みから解説していきます。

「過払い金」が発生する仕組み

過払い金とは、「利息制限法」という法律の上限金利を超えて貸金業者に払ってしまった利息のことを指します。

貸金業者からお金を借りた時の金利には、法律で上限が定められています。

以前は、異なる2つの法律によって2種類の上限金利が存在していました。

時期によって異なりますが、このような上限が設けられていました。

  • 利息制限法の上限金利:15〜20%
  • 出資法の上限金利:29.2%

2つの法律の間の金利、つまり、利息制限法を超え、出資法の範囲内の金利のことを「グレーゾーン金利」と呼びます。

かつて、グレーゾーン金利でお金を貸しても罰則がなかったため、多くの貸金業者はグレーゾーン金利でお金を貸し出していました。

ところが、2006年に最高裁で判決が下り、貸金業者はグレーゾーン金利で受け取った利息を借り手に返さなければいけないことになりました。

この「グレーゾーン金利で受け取った借り手に返さなければいけない利息」のことを過払い金といいます。

過払い金の取り戻しを成功させるための「2つの目の条件」とは

過払い金を取り戻すには、いくつかのハードルを超えなければいけません。

混同されることも多いですが、2種類に分けることができます。

過払い金を取り戻せる条件

もしかしたら、過払い金があるかも?と思っていても、調べてみると発生していなかったということがあります。

そもそも過払い金が発生していなければ取り戻すものはありません。

過払い金が発生するためには、このような条件を満たす必要があります。

  • 「グレーゾーン金利」でお金を借りていること
  • 過払い金の対象となる取引を行っていること

また、過払い金が発生していても、取り戻す権利がなくなってしまっているなどの場合があります。

一般的なケースが時効で、過払い金が発生していても時効を迎えていると取り戻すことができません。

逆に、時効だと思っていても、取引の条件を詳しく調べてみると時効が完成していないという場合もあります。

過払い金をできるだけ多く取り戻すこと

過払い金を取り戻すためには、過払い金の金額を計算しなければいけません。

自身で過払い金の計算をする場合、過払い金の計算を間違えて計算してしまい、本来取り戻せる金額よりも小さい金額で請求してしまうということが十分に考えられます。

このような不安がある場合には、司法書士や弁護士などの専門家に頼めば正確な計算をしてもらえるので、間違える心配はありません。

次に、過払い金の金額を計算したら、貸金業者に請求書を送り、貸金業者と交渉する必要があります。

過払い金を取り戻すためには、貸金業者にこちらが請求する金額を認めさせる必要があります。

ただし、貸金業者は交渉に慣れてたり、請求額の根拠が甘い部分を突いてきたり、こちらの主張を認めてもらえない可能性があります。

どのように自身の主張を認めさせて、返金させる割合(返還率)を大きくできるかが重要です。

過払い金を取り戻す時のポイントとは?

ここまで、過払い金の取り戻しを成功させるための2つの条件を解説しました。

当然、できるだけ多くの過払い金を取り戻したいですが、難しいかもと不安な方もいるかと思いますが、重要な所をしっかりとおさえれば、心配することはありません。

ここでは、過払い金の取り戻しを行う際に、気を付けるべき2つの鉄則を解説します。

自身で過払い金の取り戻しを行うのであれば、知識が不可欠

自身で過払い金の取り戻しを行うのであれば、取り戻しを行うそれぞれのステップでの正しい方法を知る必要があります。

  • 貸金業者から借入金の取引履歴を取り寄せる
  • 取引履歴を読み解き、過払い金を計算する
  • 貸金業者への請求・交渉

また、貸金業者との交渉が不調で裁判を起こす場合は、そのための手続きも学ばなければいけません。

ある程度の経験がないと、これらの工程を正確に、スムーズに進めることは難しくなります。

自身で過払い金の取り戻しを行うのであれば、過払い金に関する幅広い知識が必要になります。

過払い金の取り戻しで迷ったらまずはプロに相談

自身で過払い金の取り戻しを行う場合、ミスに気づきずらい、というデメリットがあります。

  • 過払い金の計算を間違ってしまう
  • 強気に交渉すれば認めてもらえる争点を諦めてしまう、等

一つの貸金業者に対して何度も請求することはできません。

また、時効もあるので、1回の請求で失敗してしまうと、取り戻せる金額が少なくなる可能性があります。

過払い金を確実に、より多く取り戻したいなら、過払い金の取り戻し経験が豊富な、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。

とはいえ、専門家に過払い金の取り戻しを依頼しても、過払い金が発生しなかったり、思ったより取り戻せる金額が少なく、赤字になってしまうのではないか、という不安もあると思います。

そこでおすすめしたいのが、無料相談です。

過払い金が発生している可能性があるか、過払い金の取り戻しを依頼した場合に取り戻せる金額や費用の目安などを無料で確認することができます。

過払い金で悩まれたときは、専門家の力を借りるのが早期解決の近道です。

中央事務所では、過払い金に関する知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。

ご相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法をご提案させていただきます。

WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。

過払い金が発生する条件とは?

過払い金を取り戻すための第一の条件は「過払い金が発生していること」です。

では、どのような場合に過払い金が発生しているのか、具体的に見ていきましょう。

まず、グレーゾーン金利(利息制限法の上限金利を超え、出資法の範囲内の金利)でお金を借りて返済していた場合は、過払い金が発生します。

2010年6月18日に改正貸金業法が施行されてからはグレーゾーン金利でお金を貸す会社は無くなったため、2010年6月17日以前にお金を借りていた場合は、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金があるかどうかを正確に判定するには、契約内容や、取引履歴を確認する必要があります。

過払い金を取り戻せる条件とは

過払い金が発生していても、残念ながら過払い金を取り戻すことができないケースもあります。

では、どのような場合に過払い金を取り戻せる可能性があるのか・可能性がないのかを解説していきます。

お金を借りた貸金業者が存続しているか、他の貸金業者に吸収合併されて存続している

過払い金を取り戻すためには、請求する相手となる貸金業者が存在している必要があります。

場合によっては、お金を借りた貸金業者が他の貸金業者に吸収合併されていることがあります。

請求先となる貸金業者は、ご自身がお金を借りた貸金業者である必要はありませんが、その貸金業者が存続していて貸金事業が引き継がれていれば、過払い金を請求することができます。

時効が成立していない

過払い金を取り戻す権利には、時効があります。

  • 最終取引(完済)から10年
  • 請求する人が、過払い金を請求できることを知ってから5年

これらの条件を満たしていると、時効が成立してしまい、過払い金を取り戻すことができなくなる可能性があります。

しかし、後ほど詳しくご説明しますが、一つの貸金業者から何度も借入・返済を繰り返していた場合には、それらの取引がまとめて「一連の(一つの)取引」とみなされることで、完済から10年超経過している取引についても直近の最後の取引を基準に時効が計算されるため、結果的に時効が延びるケースもあります。

ご参考:借金の証拠が見つからなくても、過払い金を請求できる可能性があります

過払い金を取り戻すにも、借り入れた証拠が見つからない場合があります。

  • 契約書が見つからない
  • 取引履歴が見つからない(法律上の保存期限は10年)

このような場合は、一見「過払い金の請求はできない?」と思ってしまうこともありますが、推定に基づいて過払い金を計算・請求できる可能性もありますので、不安な場合には、専門家へ相談することをおすすめします。

過払い金を請求「できない」ケースもあります

過払い金が発生していても、次に説明するような条件に該当する場合は、過払い金を請求できない可能性が高くなってしまいます。

しかしながら、こちらにご紹介する条件に当てはまると思っても、思い違いをしている場合もあります。

実は過払い金を取り戻せたのに、思い違いで諦めてしまうことがないように、専門家に相談していただくことをおすすめします。

過払い金が発生していないケース

当然のことですが、過払い金が発生していなければ、取り戻す過払い金はありません。

では、過払い金とはどのような場合、過払い金が発生していないのでしょうか?

過払い金が発生しない代表的なケースは2種類あります。

グレーゾーン金利でお金を借りていない

借り入れの際に、利息制限法以内での金利で借りた場合には、過払い金は発生しません。

2010年6月18日の改正貸金業法施行以降は、グレーゾーン金利でお金を貸す貸金業者はなくなったため、これ以降にお金を借りた場合も過払い金は発生しません。

また、以下のようなお借り入れであれば、元々金利が利息制限法の範囲内であるため、過払い金は発生していません。

  • アットローン、モビット、キャッシュワン、ダイレクトワンなどからの借入れ
  • 住宅ローン、オートローン、銀行カードローン

ショッピング枠(サービス)の利用

クレジットカードを使ってお買い物をした場合は、クレジットカードのショッピング枠を使っています。

ショッピング枠の利用は、法律上、「借金」ではなく「立替」にあたり、適用される法律・金利が異なるため、過払い金は発生しません。

お金を借りた貸金業者が倒産したケース

お金を借りた貸金業者が倒産してしまうと、過払い金を取り戻すことはほぼ不可能となります。

過払い金に関わる貸金業者で言えば、武富士、SFコーポレーション、クロスシード、クラヴィス、連専といった会社は倒産しています。

会社が倒産した場合は、会社の資産を売り、お金を返してもらう権利(債権)がある人、株主などに売却代金を分配し、その後は会社が消滅します。

いくら大きい金額の債権を持っていても、全額戻ってくる保証があるわけではなく、実際に戻ってくる金額はごく僅かというケースも少なくありません。

ただし、合併や吸収などで債務や貸金事業ごと譲渡されていれば、引き継がれた会社に過払い金を請求できる可能性があります。

過払い金を取り戻す権利を失っているケース

過払い金が発生していて、お金を借りた貸金業者が存続していても、過払い金を取り戻す権利を失ってしまっている場合があります。

過払い金を取り戻せる権利が時効を迎えているケース

過払い金が発生していても、いつまでも請求できるわけではありません。以下の期限を超えた場合は、過払い金を取り戻せる権利が時効となってしまいます。

  • 最後の取引(完済)から10年
  • 過払い金があることを知ってから5年

お金を借りた貸金業者と「過払い金を請求しない」という条件を含む内容で和解に応じているケース

借金の返済が遅れたり、返済額が大きすぎる場合に、返済額の軽減を貸金業者に依頼している場合、返済の緩和の条件に、「過払い金を請求しない」というものが含まれていると、過払い金を取り戻す権利を放棄していると見なされる可能性もあります。

このケースでは、過払い金を取り戻せる場合と、取り戻せない場合、との判断には専門的な知識を有するため、専門家に相談することをおすすめします。

過払い金の請求額を大きくできる条件

過払い金が発生していて、お金を借りた貸金業者に請求できることが分かった場合、次に気になるのは「できるだけ多く取り戻す条件」ではないでしょうか。

次に説明する条件に当てはまるものがあれば、過払い金の請求額を大きくできる可能性があります。

借入の金額が大きい場合

同じ金利でお金を借りた場合、大きい金額を借りるほど利息が大きくなります。過払い金は利息の一部(払いすぎてしまった分の利息)なので、利息の金額が多いほど、過払い金も大きくなります。

返済していた期間が長い(毎月の返済額が小さい)場合

貸金業者からお金を借りる場合、以下のような手順で返済計画を立てることが一般的です。

  • 借りる金額、金利が決まる
  • 毎月返したい金額を決める
  • これらを元に、何回(何ヶ月)の返済で借金が完済できるかが決まる

毎月の返済額が小さいと、完済までの期間が長くなってしまい、支払う利息の総額が増えてしまいます。

従って、グレーゾーン金利でお金を借りていて、返済していた期間が長い(毎月の返済額が小さい)と、過払い金の金額も大きくなってしまいます。

例えば、リボ払いをご利用されている場合は、毎月の返済額がとても小さいため、過払い金の総額が大きくなる傾向があります。

完済から時間が経っている場合

過払い金を貸金業者から取り戻す場合、請求できるのはこちらの金額です。

  • 過払い金の総額
  • 払い過ぎた利息に対して発生する利息(年率5%)

過払い金を払っていた分のお金は、払う必要のないお金を逆に貸金業者に預けている(貸している)ことになり、不自由な生活を送っていたことになります。

誰かから不当にお金を手に入れた場合、民法では利息をつけて返すことが決められています。


(悪意の受益者の返還義務等)

第七百四条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。


総務省_e-Gov法令検索( https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#3006  )

貸金業者が過払い金を受け取っていた場合、過払い金は法律に違反して不当に受け取ったお金になるため、利息をつけて返さなければいけません。

この利息は、完済から時間が経っているほど複利が効いて、金額が大きくなります。

自転車操業的に、借入と返済を繰り返していた場合

貸金業者からのお借り入れが始まってから完済するまでに、借入・返済を繰り返していた場合は、二つの理由で過払い金の金額が大きくなる可能性があります。

一つの取引(一連)とみなされると、完済から10年超経過した取引の時効が伸びることも

一つの取引について、時効は完済から10年(または過払い金があると知ってから5年)と決まっています。

ただし、消費者保護の観点から、借入・返済を繰り返していた場合、複数の借入をまとめて「一つの取引」とみなし、過去の取引にも請求が認められる場合があります。

過払い金の金額を「一連計算」できると、過払い金の金額が増えることも

一連計算というのは、「過去の返済で支払った過払い金を、後の取引の返済に充てる」という考え方で計算する方法です。

複数の借り入れが一つの取引として認められ、一連計算をすることができると、過払い金の金額はより大きくなる可能性があります。

例えば、1回だけ180万円を金利29.2%で借りて、毎月5万円を返済する場合を考えてみます。

  • 返済回数はおよそ90回、返済総額はおよそ430万円
  • 利息制限法上の上限金利は15%なので、過払い金の金額はおよそ190万円

次に、同じ取引を2回した時で考えてみましょう。

個別計算での過払い金の金額

個別計算とは「充当しない」という考え方の計算方法です。このケースで言えば、過払い金の総額は、1回目の取引における過払い金の金額の2倍になります。

  • 190万円 × 2 = 380万円
一連計算での過払い金の金額

一連計算の場合、前の取引の過払い金を、後の取引の返済に充当させます。

このケースで言えば、1回目の取引の過払い金が、2回目の取引の返済に充当されると考えます。

  • 1回目の取引での過払い金の金額はおよそ190万円
  • 2回目の取引で180万円を借りているが、1回目の取引での過払い金のおよそ190万円で完済できる
  • それにもかかわらず、2回目の取引でおよそ430万円を貸金業者に返済することになる。

その結果、一連計算で出された過払い金の金額は次のようになります。

  • 2回目の取引を始める時点で、過払い金はおよそ10万円
  • 2回目の取引として貸金業者に返済する金額はおよそ430万円で、これは全て過払い金となる
  • 従って、過払い金の総額は、およそ440万円

一連計算の場合、個別計算の場合に比べて過払い金の金額がおよそ60万円も大きくなります。

過払い金の返還率を大きくするには、貸金業者に裁判を起こす必要がある

過払い金の返還率(請求額に対して、貸金業者が払い戻す金額の割合)を大きくするためには、請求の方法を工夫する必要があります。

過払い金の請求には「示談交渉」「裁判(訴訟の提起)」の二つの方法がある

貸金業者との請求の方法には「示談交渉」「裁判(訴訟の提起)」の二つがあります。

「示談交渉」は、貸金業者とご自身(または専門家)との、当事者間の話し合いのことです。

「裁判(訴訟の提起)」は、裁判所に訴えを起こし、裁判所に過払い金の金額を判断してもらうことをいいます。

一般的には、貸金業者と話し合いをした上で、合意が得られなければ裁判をするという流れをとることが多い傾向があります。

裁判の長所は、返還率が高くなる可能性があること

裁判の場合、時間をかけてお互いの主張を徹底的に争うことになります。

過払い金を請求する側は、請求する権利があれば全て権利を主張するため、裁判が首尾よく進めば以下のようなお金を取り戻せる可能性があります。

  • 過払い金
  • 過払い金に対して発生する利息

ただし、負ける可能性は低いものの、一部の主張しか認められないこともあり得ます。

示談交渉による和解の場合、返還率は低いが、早く決着がつきやすい

「示談交渉」の場合、お互いに細かい争点では争わずに、早期の決着を目指すことになります。

一般的に、当事者間の話し合いでは、片方にとっての不利益が大きすぎる場合は相手が納得しないことが多いと思います。

したがって、示談交渉による和解で決着させようとする場合は、お互いが要望の100%を達成しようとはせず、双方での要望を下げつつ、お互いが納得する内容で早期決着を目指すことになります。

過払い金を取り戻すまでの4つのステップとは

それでは、過払い金を取り戻すまでの流れを解説していきます。

(Step.1) 取引履歴の取り寄せ

過払い金が発生しているのか、過払い金を計算する必要があります。

まずは、過払い金の計算をするために、貸金業者に取引履歴を請求します。

(Step.2) 過払い金の金額計算

貸金業者から取引履歴が届いたら、次は過払い金の金額の計算をします。

以下のような手順で計算を始めます。

  • 取引履歴の返済日・返済金額や、貸出金利に基づいて、契約上の利息・残借金を計算する
  • 法律上の上限金利で返済した場合の利息・残借金を計算する
  • 契約上の利息(残借金)の金額と、法律上の利息(残借金)の金額の差が、過払い金となる

複雑な計算が必要なことが多いので、間違えないよう注意が必要です。

(Step.3)貸金業者との交渉

過払い金の計算ができたら、交渉を始めるため、過払い金の計算書(引き直し計算書)と返還請求書を「内容証明郵便」等で貸金業者へ郵送します。

郵便が届いたら貸金業者の担当者から連絡がきて、交渉に入ります。

通常、まずは話し合いによる和解を目指して交渉することになりますが、両者が合意できない場合は裁判へと進みます。

両者が合意できない場合には、このような書類を準備し、訴訟提起の手続きを進めて、裁判を始めます。

  • 貸金業者に訴えの内容を述べた訴状
  • 裁判所や貸金業者に過払い金が発生する事実を証明する証拠の内容を伝えるための証拠説明書
  • 貸金業者とどのような取引がおこなわれたかを証明する取引履歴
  • 過払い金がいくら発生しているかを証明する引き直し計算書
  • 貸金業者の会社の情報が書かれた登記簿謄本(資格証明書)

(Step.4) 過払い金の受け取り

最終的に、交渉に合意、もしくは裁判で判決が出たら、過払い金が口座に支払われます。

もし、ご家族に内緒にしたい事情などがあれば、専門家に依頼した場合、一度司法書士事務所の口座に振り込んで、入金元がわからないように対応してくれるところもあります。

過払い金請求のメリット・デメリット

過払い金の取り戻しを行うと、お金が返ってくる可能性があるというメリットがある一方で、デメリットも発生する可能性があります。

過払い金請求のメリット

過払い金が取り戻せると、そのお金を借金の返済にあてることができるので、現在返済している利息の支払いから解放されるというメリットがあります。

複数の会社の過払い金を、同時並行で請求できる

複数の会社からお金を借りていて、過払い金を払ってしまっていると、過払い金の総額は大きくなります。

加えて、それらの借金がまだ返済中だった場合は、複数の貸金業者に利息を払い続ける必要があり、生活への影響も大きいでしょう。

過払い金の請求は、複数の貸金業者に対して並行して請求できるので、一気に完済できて、利息の支払いから解放される可能性もあります。

過払い金が発生してない貸金業者への返済も前倒しできる可能性

過払い金を取り戻せた場合、別の貸金業者で返済中の借金の繰り上げ返済が可能です。

臨時でお金が必要ならば、そのお金として使うこともできます。

過払い金請求のデメリット

過払い金の取り戻しを行う場合の代表的なデメリットは、2つあります。

過払い金をを取り戻した貸金業者からはお金を借りられなくなる

過払い金を取り戻した貸金業者(消費者金融、カード会社)からは、今後一切お金が借りられなくなります。

クレジットカード会社に対して過払い金を取り戻す場合、その会社が発行したクレジットカードは使えなくなるので、公共料金やサービスの定額利用料金の引き落としなどに使っていた場合は、カードの切り替えが必要になります。

ブラックリストに載る可能性がある

返済中の借金に対して過払い金を請求すると、俗にいう「ブラックリストに載った」と言われる状態になる場合があります。

「ブラックリストに載る」とはどういうことか

貸金業者は、信用力の調査を効率化するために、「信用情報機関」という団体を通じて借金の返済状況を共有しています。

「ブラックリストに載る」とは、信用情報機関に、「この人は借金の返済が契約通り行われず、借金整理になりました」と記録されることです。

ブラックリストに載るデメリット

ブラックリストに載ると、貸金業者の間で「返済してくれない可能性がある人」と認識されるため、新たな借金や、ご自身名義のクレジットカードの作成ができなくなってしまいます。

但し、ご家族のクレジットカードの家族カードや、プリペイド式のクレジットカードは作ることはできるので、ブラックリストに載る影響を小さくすることは可能です。

ブラックリストに載ってしまう期間

ブラックリストに載ってしまう期間は、「完済しているか」「過払い金が返金された時点での残借金」によって変わってきます。

借金を完済していれば、その借金に対する過払い金を請求しても、ブラックリストに載ることはありません。

また、借金を返済中で、過払い金が返金された時点で残借金がなくなる場合は、ブラックリストに載る期間は過払い金を請求している数ヶ月のみとなり、ブラックリストに載る影響を非常に小さくできます。

一方で、借金を返済中で、過払い金が返金されても残借金がなくならない場合は、5年間ほどブラックリストに登録されてしまいます。

過払い金請求の注意点

過払い金を取り戻すまでの各ステップには注意点が存在します。

自身で請求する場合は、注意して手続きを進めてください。

取引履歴を自身で請求しない

借金を返済中に、取引履歴を自身で請求した場合、貸金業者との交渉が不利になる可能性があります。

取引履歴を請求すると、貸金業者が「過払い金があります」と伝えてくることも

貸金業者は、取引履歴の請求を受けると内容を集計します。

その時に、過払い金があることに気づき、請求者に「過払い金があります」と通知してくる場合があります。

民法上は、「返す必要がないお金を返したら、取り戻せない」

民法705条では「返さなくてもよいと知りながら借金を返した場合は、それを取り戻すことができない」と定められています。


(債務の不存在を知ってした弁済)

第七百五条 債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。


出典:総務省 電子政府の総合窓口 民法第七百五条

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#3012

貸金業者からの通知を受けると、交渉が不利になる場合があります

民法705条を考慮すると、過払い金があることを通知されてしまうと、返済を続けるかストップするかの決断に迫られる可能性があります。

どちらを選択しても不利な状況になってしまいます。

  • 過払い金があることを知って返済を続けた場合、後の交渉で「支払う必要がないのに知って返済したから、過払い金を返す必要がない」と反論する余地を与えてしまう。
  • 返済をストップすると、延滞したせいでブラックリストに載ってしまう

過払い金の引き直し計算を間違えないようにする

過払い金の計算を間違えてしまうと、貸金業者との交渉において争点が増えてしまいます。

争点が増えると、交渉にかかる時間が延びるため、過払い金を取り戻すまでの時間も長くかかってしまいます。

お金に余裕がない場合など、交渉を早期に決着させるために、不利な条件での和解をのまざるを得ない状況になってしまう可能性もあります。

取引履歴の請求・過払い金の計算は短時間で完了させる

過払い金の請求には時効があります。時効が迫っている場合は素早く履歴の取り寄せ・計算を行わないと、時効を迎えて過払い金を取り戻す権利を失ってしまう可能性があります。

また、貸金業者によっては、過払い金の請求が経営上の重荷となっている場合があり、ゆっくり計算している間に倒産してしまう可能性もあります。

取引履歴の請求・過払い金の計算は短時間で完了して、極力早めに請求に進みましょう。

過払い金を取り戻すコツ

ここまでご説明してきた条件、注意点を踏まえて、過払い金を取り戻すコツをお伝えします。

できるだけご自身で請求せず、専門家に依頼する

ここまでの説明から、過払い金の取り戻しは複雑で、難しいと、感じたと思います。

また、過払い金には時効があることや手間がかかることを考えると、自身で過払い金の取り戻しを行うよりも、専門家に依頼することをお薦めします。

過払い金の取り戻し実績が豊富だと、交渉に強い&要望に応えてくれる

過払い金の取り戻し実績が豊富な事務所は、貸金業者との交渉を有利に進める様々な方法を知っています。どの程度の要求であれば認めてもらえるかを熟知しており、戻ってくる金額を最大化することができます。

加えて、「家族にばれないように」「住宅ローンに影響がないようにしたい」などの様々なご要望にも対応してきた経験から、満足のいく過払い金の取り戻しを行ってくれます。

無料相談で相性が良いと感じた事務所

過払い金の取り戻しを専門家に依頼すると、担当者に交渉の状況を伝えてもらったり、わからないことや悩みがあれば連絡をとって質問することが多く発生します。説明が分かりにくかったり、連絡がしにくいなと感じている専門家だと、どうしても不満に感じることが多くなってしまいます。

感覚や印象で構いませんので、「この人なら任せてもいいな」と思える方や事務所に頼むことが、自身

にとって満足のいく過払い金の取り戻しにつながります。

本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎

中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

伊藤 竜郎
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