過払い金を請求すると、実際に入金されるまでどのくらいの期間がかかるのか?と疑問に思いますよね。
ここでは、過払い金の手続きや入金までにかかる期間と、その理由について解説します。
また、少しでも早く取り戻すためのポイントについても、解説します。
過払い金の請求を検討しているが、入金までの期間が気になっているという方は、ぜひ参考にしてください。
過払い金が入金されるまでに時間がかかるのはどうして?
過払い金の請求と言っても、請求する方法や、請求するお借入先の貸金業者によって、かかる時間が異なります。
最も大きな差は、過払い金の請求をするのか、それとも任意和解を選ぶのかによる違いでしょう。
それ以外にも様々な要素があり、それらが複合的に組み合わさった結果、かかる時間がケースによって異なると言えます。
また、専門家に依頼した時点で借金がある場合、他の貸金業者への返済に回そうと考えたり他の大きな出費に充てようと、予定されたりする場合には、もどかしく感じられることもあるでしょう。
その要素となる事柄をひとつずつ見ていきましょう。
過払い金の請求を裁判で行うと時間がかかる
過払い金の請求する場合に、裁判を行うとなぜ時間がかかるのでしょうか。
最も大きな理由は、裁判所のタイムスケジュールに沿って期日が進行することです。
裁判の期日は、初回が1〜2か月先となります。
その後も裁判所が指定するスケジュール通りに進行していくため、どうしても時間がかかります。
また、請求先にあたる借入先の貸金業者の対応や、方針によっては、さらに時間が費やされることもあります。
このように裁判は、自身、裁判所。請求先にあたる借入先の貸金業者の三者で進めるため、時間がかかってしまいます。
請求先にあたる借入先の貸金業者の対応や経営状況によって入金までの期間が異なる
過払い金の請求をしても、請求先にあたる借入先の貸金業者によっては。対応が異なります。
過払い金の請求書を受け取ると、即日対応してくる貸金業者もあれば、何度連絡をとっても「順次対応中」という木で鼻をくくったような対応の会社もあります。
また、各社の経営状態も、対応ぶりに大きく影響します。
過払い金を返還するための予算をたてている貸金業者も多く、その範囲内で返金を調整しているという事情もあるようです。
そのため、予算をたっぷり取れる経営状況であれば、訴訟になる前に妥当な金額で早めの返金が可能となりますが、予算が少なければ必然的に対応が遅く、返金できる金額も低い金額の提案となるため、交渉に時間がかかってしまいます。
過払い金の実績が少ない専門家に依頼した場合、時間がかかる可能性が
司法書士や。弁護士の取り扱う業務は幅が広く、その中でも得意な分野というものがあります。
多くの実績を持つ分野では、適切な判断のもと効率の良い進捗が可能となりますが、そうでない分野では、例え法律に詳しくとも、必要以上に時間をとられてしまうことは否めません。
つまり、司法書士や、弁護士であれば、必ず過払い金請求に長けているというわけではないのです。
そのため、過払い金の請求に強い、実績豊富な事務所に依頼することが、過払い金の入金までの期間を短くするひとつのポイントになります。
また、豊富な実績がある事務所は、現在の過払い金の事情にも詳しいため、無駄な時間をかけずにより多くの過払い金を取り戻せる可能性が高くなります。
自身で過払い金請求を行うと、慣れないことから時間がかかってしまうことも
過払い金の請求を専門家に依頼せず、自身で行うことは可能です。
確かに自身で行えば、司法書士や弁護士に依頼する費用がかからないので、その分節約できるというメリットがあります。
しかし、過払い金の請求手続きは複雑なため、慣れない人が自身ですべてを行うと、過払い金が入金されるまでの期間は専門家が行うよりずっと長くかかってしまいます。
手続きの過程には、取引履歴など必要な書類を揃えたり、過払い金の引き直し計算を行ったりと一般の人にとって慣れない作業が多く、加えて貸金業者との対応も自身でこなさなくてはならないからです。
そのため、過払い金の請求に慣れた、司法書士や、弁護士に依頼して、過払い金の入金までの期間を短縮されることをおすすめします。
裁判を行ったほうがよい?交渉による和解の方がよい?
過払い金の請求を検討している方の中には、裁判と任意交渉どちらが良いのか?と疑問に思いますよね。
この点、返金までにかかる期間と返金される金額が、裁判と任意交渉それぞれに一長一短があり、一概にどちらが良いと言えません。
それぞれのメリット・デメリットを比較して、ご自身がなにを優先させたいかによって、選択は異なってくると言えるでしょう。
裁判を行う場合のメリット・デメリット
裁判では、過払い金の元金+利息の請求を行います。
法律上支払うべきものであるため特に争いがなければ、裁判所は利息を付加した金額を返金するよう判決を出してくれます。
特に過払い金の金額が大きい場合は、その利息も大きくなるため、利息が付加されるかどうかで、返金総額に大きな違いが出ることがあります。
過払い金の元金満額とその利息も返金してもらえる、これが裁判を行った場合の大きなメリットです。
一方、裁判はその始まりから終わりまで、裁判所のタイムスケジュールに則った進行となり、どうしても時間がかかってしまいます。そのため入金までの期間が長くなってしまう、これがデメリットと言えるでしょう。
「返金を焦っていないので、裁判をして取り戻すべき金額をしっかりと請求したい」とお考えになる場合などは、裁判を行うことを選択することになります。
交渉による和解のメリット・デメリット
任意交渉では、取引履歴の開示後に引き直し計算を行い、作成した請求書を借入先の貸金業者に送付後、交渉を開始するという流れになります。
請求先の借入先の貸金業者によって対応の違いはありますが、裁判を行う場合と比べると、訴訟提起の手続きが不要な分、かかる全体の時間が大幅に短縮されます。
任意交渉のメリットは、過払い金入金までの期間が裁判を行う場合より短い点にあります。
一方、任意交渉ではほとんどの貸金業者が、過払い利息を容易に支払ってくれません。
中には、元金を減額してきたり、支払期日をずっと先に延ばしたりと、様々な条件をつけてくる貸金業者もあるため、期待通りの返金額が望みにくいという点がデメリットと言えるでしょう。
「請求の満額ではなくても、1日も早く返金してもらいたい」とお考えになる方などは、任意交渉を選択することになります。
過払い金の請求手続きの流れとそれぞれにかかる期間
過払い金の請求手続きにはどういった行程があるのか、またそれらの手続き一つ一つは時間がかかる業務であるのかなど、普段ほとんど知る機会はないと思います。
それらの内容について確認していきましょう。
借入先の貸金業者から取引履歴を取得
借入先の貸金業者に受任通知を送り、取引履歴の開示を請求します。
この取引履歴の開示にかかる期間が、1か月~遅いところでは3か月かかるところもあります。
また、お借入先の貸金業者が合併している場合などは、合併前の会社から履歴を別々に送ってくるケースもあります。
一社分は開示されているが残りはまだということも起こり、すべてが開示されないと適切な判断ができないため、待たされることもあります。
過払い金の引き直し計算をして借入先の貸金業者へ請求書を送付
取引履歴が開示されると、その内容を1つずつ確認します。
違法な利息でお借り入れをしていた箇所がある場合は、利息制限法で計算し直して正確な過払い金額を算出します。
その際、時効や取引の分断がないかどうかなど、精査する必要があります。取引の分断とは、完済後に再度借り始めたりした場合に、貸金業者は「これらは別々の取引である。」つまり、取引の分断があると主張してくることがあります。
取引の分断があると認められると、過払い金の総額が減ったり、時効を主張されたりする可能性があります。請求書の作成自体は、さほど多くの時間を要する作業ではありませんが、引き直し計算を行って、取引の分断などを確認するには、相応の時間がかかることがあります。
借入先の貸金業者と任意交渉あるいは裁判を行う
過払い金の正確な金額が確定すると、どのように請求手続きを行うのか、お客さまのご希望を伺いながら方針を決めていきます。
「裁判」を行う場合には、その準備期間も含めて和解・返金まで、6か月~12か月ほどかかることが多くなります。
また、「任意交渉」を選択した場合には、交渉から和解までにかかる時間は、請求先であるお借入先の貸金業者の対応によっても異なります。
いずれにしても、裁判を行うよりは短い期間で和解することになります。
借入先の貸金業者から過払い金が返金される
任意和解では、交渉の中で返金期日も決めていきます。
弁護士や司法書士に依頼した場合、当然1日も早い返金を求めることになりますが、返金期日については、貸金業者の方針や経営状態にも大きく左右されます。
期日の方針は、貸金業者によって傾向があるため、実績がある事務所はその情報を基に、お客さまのご希望を伺いながら無駄のない交渉を行うことが可能です。
しかし、過払い金の請求に不慣れな事務所に依頼したり、ご自身で行ったりという場合は、少ない情報の中で交渉を行うことになるため、返金までの期間がさらにかかってしまう可能性もあります。
主な貸金業者の過払い金入金までにかかる期間
実際に、返金までにどのくらいの期間がかかっているのかの目安を、貸金業者別に記載しました。
弊所での実績(2017年5月1日~2023年12月31日の期間に着金のあった全案件について、受任通知送付日から着金日までかかった日数を算出)について、裁判・示談両方を含むかかった平均日数を記載しています。裁判の場合は、コロナ禍による影響から裁判所の休廷などもあり、通常以上に日数がかかっているケースもあります。
アコムの場合
アコムの過払い金入金までにかかった弊所での平均日数は、185.86日(約6か月)です。裁判・任意和解両方が含まれているため、任意和解した場合では6か月より少ない期間で受任通知送付から返金までを行っています。裁判を行った場合は、6か月を超えるケースもあります。
プロミスの場合
プロミスの過払い金入金までにかかった弊所での平均日数は、204.67日(約7か月弱)です。プロミスは、これまでにいくつかの貸金業者を吸収・合併しています。ポケットバンク(三洋信販)やクラヴィス(クオークローン、タンポート)から借りたものも、プロミスに過払い金を請求できる可能性があります。
アイフルの場合
アイフルの過払い金入金までにかかった弊所での平均日数は、218.48日(約7か月)です。アイフルの任意和解での返金率は高くないため、訴訟を提起されることも多く、アイフルは裁判の対応にも慣れているようです。判決が確定すればそれに従って支払いを行いますが、第1審判決後に控訴してくることもあります。控訴されると、さらに返金までの時間が延びてしまいます。
オリコ(オリエントコーポレーション)の場合
オリコの過払い金入金までにかかった弊所での平均日数は、367.03日(約12か月)です。オリコは、みずほフィナンシャルグループとの結びつきが強く、資金面での不安は少ないと思われます。一方で、みずほ銀行カードローンなどについてオリコが保証会社となっているケースがあり、その場合の手続きには注意が必要です。
レイクの場合
レイクの過払い金入金までにかかった弊所での平均日数は、137.53日(約4か月強)です。レイクは、新生銀行の傘下にあるため、経営状態も比較的安定していると言えるでしょう。現在のレイクでは、新生銀行カードローンでのお借り入れとなりますが、このカードローンでは過払い金は発生しません。レイクでの過払い金発生は、レイクが新生銀行グループに入るずっと以前にお借り入れをされていた方となります。
まとめ
過払い金が入金されるまでの期間を短くするには、一般的には裁判をすることなく、任意和解するということが一つの考え方となります。
また、過払い金の実績が多数ある専門家に依頼をするという点も、重要なポイントです。
過払い金の請求はご自身で行うことも可能ですが、過払い金の入金までに時間を要することと、返金される金額も専門家に依頼した場合と比べて減ってしまう可能性があります。
中央事務所では、過払い金の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。
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本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
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投稿日: 2024年6月10日
更新日: 2024年12月6日