過払い金請求をした場合、住宅ローンや自動車ローンに影響はあるのでしょうか?
これは、多く寄せられる相談の一つです。
当記事では、過払い金請求と住宅・自動車ローンの関係性など、不安や悩みを持つ方に向けて解説していきます。
過払い金請求後住宅・自動車ローンに影響はない?
結論としまして、過払い金請求をしたことにより、住宅ローンや自動車ローンに影響が出る事は、ほぼありません。
詳細について、具体的に見ていきましょう。
完済後の過払い金請求であればローンは組める
既に完済している借入金に対し、過払い金請求を行ったとしても、審査に問題が生じ、ローンが組めなくなるという事態は、ほぼ発生しないと思われます。
そもそも、過払い金=過去に多く払いすぎていた利息分、という見方ができます。
返済能力の良し悪しには関係しないため、ローン審査への影響は通常の場合ないといえます。
返済中の過払い金請求でも完済すればローンは組める
では、現在返済中の場合、過払い金請求をするとどうなるでしょうか?
現在返済中の借り入れに対しては、過払い金請求を行った場合、その過払い金で借金を相殺して完済できるかが焦点になります。
完済できた場合
過払い金を返済にあてて完済となれば、その後ローンを組む際に影響が出る事は、ほぼありません。
ただし、過払い金と借入金との相殺処理が完了し、さらに過払い金が残っている場合には、その過払い金が手元に返還されるまでの間は、住宅ローンなどの審査が通らなくなる可能性があります。
完済できなかった場合
過払い金請求を行って返済中の借金は減ったが、まだ一部残金がある場合は、少し注意が必要となります。
このケースにおいては、目安として5年ほど、住宅ローンの審査に通らない可能性が出てきます。
期間は人によって差異があります。
つまり、過払い金によって借金が全額返済できなかった場合は、住宅ローンに影響があるといえるでしょう。
そもそも自動車ローンや住宅ローンは過払い金の対象?
多額のお金を借り入れるという意味では、住宅ローンや自動車ローンも同じといえます。
「住宅ローンや自動車ローンに過払い金は発生しますか?」
という質問も多く寄せられますが、住宅ローンや自動車ローンなどは、過払い金の対象になりません。
理由としては、金利が低いことが挙げられます。
かかる金利自体が違法なものとはなりませんので、余分に利息をはらうこともなく、過払い金が発生しないことになります。
さらに自動車ローンに関しては、クレジットカードをショッピング枠で利用した場合と同じように、借り入れではなく「立替金」となります。
これらの理由により、住宅ローンや自動車ローン自体には、過払い金が発生しないことも覚えておきましょう。
各種ローンを支払い中に過払い金請求をしても影響はない?
では、現在既に住宅ローンや自動車ローンを返済中の方は、過払い金請求をすることで、なにか影響があるのでしょうか?
過払い金請求してもローンの見直しなどは大丈夫?
現在ローンを返済中の方が過払い金請求を行っても、月々の返済額が上がったり、一括返済を求められるということはほぼ無いと思われます。
このケースにおいては、過払い金請求で返還されたお金を、各種ローンにあてることも可能となりますので、メリットがあるといえます。
過払い金請求とブラックリスト(信用情報)の関係
ここでは、過払い金請求におけるブラックリストの説明をしていきます。
ブラックリストとは
ブラックリストとは、特定の信用情報機関に、個人のネガティブな情報が載ってしまうことを表す用語として用いられています。
現実にリストが存在するわけではありません。
このネガティブな情報が記載されてしまうことで、カードが使えなくなったり、新規の借り入れが難しくなることもあります。
対象期間はおよそ5年から、さらに数年かかることもあります。
ブラックリストにのる可能性があるケース
現在返済中の借金に対して過払い金請求を行い、返還される過払い金で完済できなかった場合は、ブラックリストに載ってしまう可能性があります。
これは、返済途中での過払い金請求が「任意整理」扱いとなるためです。
完済できる場合でも、特定の期間は任意整理となって情報が信用情報機関に載ってしまうことがありますので、注意が必要です。
できれば、一度司法書士などの専門家に依頼して、ご自身の状況を調べておくことをおすすめします。
過払い金請求で注意しておきたいこと(ローン審査が通りにくいケース)
過払い金請求は、住宅ローンに大きな影響はないことは説明しましたが、次に紹介するようなケースでは、住宅ローンの審査が通りにくくなることも考えられます。
過払い金請求とローンの審査を同時にしない
貸金業者側の対応によっては、過払い金請求の手続きが完了するまでのわずかな期間中は、信用情報機関に記載されてしまう可能性があります。
この間にローン審査を依頼すると、通りにくい場合がありますので、過払い金請求手続きが完了した後に、審査を依頼するようにしましょう。
ローンの対象金融会社が過払い金請求対象の貸金業者の関連会社
過払い金請求をした貸金業者と、住宅ローン審査を出す金融機関につながりがある場合は、審査が通らない可能性もあります。
これは、通称「社内ブラック」と呼ばれ、過払い金請求をした記録が、貸金業者側に残ることになります。
以下が、代表的な金融機関と貸金業者の関係性です。
三井住友銀行
- プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)
- ポケットバンク(三洋信販)
- セディナ(セントラルファイナンス)
住信SBIネット銀行
- プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)
三菱UFJ銀行
- アコム
- 三菱UFJニコス
みずほ銀行
- オリコ(オリエントコーポレーション)
りそな銀行
- オリックスクレジット
セブン銀行
- アコム
過払い金請求した会社で別ローンなどを組む時
同一の貸金業者に対して、新たにローンを申し込む際は、審査が通りにくくなります。
貸金業者内での顧客情報には、過払い金請求を行った記録が残ってしまうので、他サービスや新たなローンを組む時に、影響が出ることとなります。
過払い金請求後にローンが通らなかった場合の対応
住宅ローンの審査が通らなかった際に、以前過払い金請求をしていると、
「それが原因となっているのでは?」
と、疑心暗鬼になりがちです。
ここでは、ローンが通らなかった際の対応に触れてみたいと思います。
信用情報機関に問い合わせてみる
審査に関して不利益な情報がないか確認してみましょう。
下記が、代表的な機関です。
全国銀行個人信用情報センターJBA
主な会員:銀行等の団体が加盟
指定信用情報機関 CIC
主な会員:消費者金融、信販会社、クレジットカード等の団体が加盟
日本信用情報機構 JICC
主な会員:消費者金融、信販会社、クレジットカード等の団体が加盟
これら3つの機関は、請求することで情報を開示してくれます。
誤った情報が記載されている場合もありますので、気になる方は注意して確認してみましょう。
完済した後過払い金請求を行ったはずなのに、その後借入金は残額がある扱いになっており、任意整理したことになっている。
などが考えられます。
可能性として、それがローン審査の要因になっていることもありえますので、ご自身の情報が誤っていた場合は、異議申し立てをし修正してもらいましょう。
過払い金請求の時効には注意が必要
もう一つ気を付ける点は、過払い金請求の時効の存在です。
貸金業者との、最後の取引日から10年が経過してしまうと、時効によって過払い金の返還を請求する権利が消滅してしまうので、注意が必要です。
詳しくは下記の記事を参照してください。
過払い金請求に関する悩みは一度専門家に相談をしませんか
本記事の監修/
司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。
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投稿日:2020年5月11日