過払い金は、「消滅時効」を迎えると返してもらえません。
消滅時効により、過払い金を返金をしてもらえる権利が消滅してしまうからです。
しかし、消滅時効はよく確認しないと本当に成立しているかどうかがわかりません。
「ずいぶん前に借りたお金だから、過払い金は発生していないのでは」と思い込んでしまって、過払い金を返してもらえないのはもったいないです。
また、時効後でもあきらめずに過払い金を実際に返してもらえたケースがあります。
そこで、この記事では、時効の確認や、時効後でも過払い金を返してもらえる方法について、解説します。
返してもらうには過払い金の確認と、時効の確認が必要
過払い金を返してもらうには、過払い金が発生しているのかどうか、時効が成立しているかどうか、確認が必要です。
過払い金の確認は、利用記録を手元に置き、確認することから始めます。
利用記録が手元にあれば、グレーゾーン金利が適用されていたかどうかを確認できます。
ない場合は、貸金業者や金融機関から過去のご利用記録を取り寄せる必要があります。
グレーゾーン金利と過払い金発生の関係とは?
グレーゾーン金利とは、利息制限法と、出資法という2つの法律で定められた上限の間にあたる利息のことをいいます。この利息は、貸金業者や金融機関からのお借り入れにかつて適用されていたことがあり、適用されていた借金の返済をしたときに、払いすぎた利息が過払い金です。
- 利息制限法・・・利息の上限は、年15〜20%
- 出資法 ・・・利息の上限は、年29.2%
利息制限法の改正があった2010年6月18日までは、利息制限法の上限の利息と、出資法の上限の利息の間は、法律に反する利息かどうかははっきりとしていませんでした。
しかし現在、グレーゾーン金利は違法で、お借り入れの際には適用できないこととされています。
利息制限法改正以前にグレーゾーン金利が適用されたお借り入れを返済した場合は、払いすぎた利息=過払い金が発生している可能性があります。
払いすぎた利息は、不当利得返還請求権にもとづき、条件がそろえば返してもらえます。
時効の確認
法律上一定の期間を経過すると権利がなくなることを消滅時効といいます。
過払い金を返してもらえるためには、時効の確認が必要です。
時効が完成していると、過払い金の申込ができませんが、いつ完成するかは、状況に応じた確認が必要です。
消滅時効の制度のため、過払い金最終の取引=最終返済日から一定の期間を過ぎてから請求すると、すでに返してもらえる権利がなくなっている可能性があります。
最終返済日から10年
過払い金を返してもらえる権利が時効にかかるのは、まず借金をしていた人が過払い金を返してもらえる権利を行使できる時から10年が経過したとき(民法166条2項)です。
過払い金を返してもらえる権利を行使できるときとは、最終の返済日をいいます。ここから10年を過ぎると、請求できなくなるのが原則です。
過払い金を請求できることを知ってから5年
民法にはもう1つ5年の消滅時効があります。
返してもらえることを知ったときから5年が経過したとき(民法166条1項)には過払い金を返してもらう権利が消滅時効でなくなってしまいます。
ただし、5年の消滅時効については、2020年4月1日よりも前に借金を完済している場合には適用がありません。
10年の時効が適用になります。
同じ貸金業者や金融機関から複数借金していると、時効が延びる可能性が?
ただし、時効は同じ貸金業者や、金融機関から複数借金をしている場合は、延びる可能性があります。
1つ目の借金を返し終わった後、2つ目の借金を返していた場合、「最終取引日」は、2つ目の借金の最終返済日である可能性があります。
1つ目の借金も2つ目の借金のために、時効にかからなくなることが考えられます。
こうした同じ貸金業者や、金融機関から、複数の借金があり、「一連の取引」として見られる場合、時効は複数の借金の中での最後の返済日から数える必要があります。場合によっては、時効が延びるのと同じ効果が生じる可能性があるのです。
過払い金の発生と時効を確認するにはどうしたらよい?
例えば「一連の取引」の場合や、金融機関の脅迫的な取り立てがあったなどの場合、時効が完成しているかを確認するのは難しくなります。
そもそもこうした知識がないことが普通です。
また、古い借金では記録も開示されないこともあり、利用記録がわからず、確認できない場合もあります。
そんな時には、過払い金の専門家に確認してもらいましょう。
まずは過払い金の専門家に早めに相談
まずは過払い金の専門家に相談し、時効を含めた過払い金に関する心配事をなんでも聞いてみましょう。
過払い金を専門に取り扱っている多くの事務所では、過払い金の有無を無料で迅速に確認することができます。
そのため、過払い金の返金に見通しを持って取り組むことができます。
返金される可能性がなければ、時間をかけてそれ以上に取り組む必要はありませんが、返金の可能性があれば、さらに進めるうえで調査の代行なども引き受けてくれます。
過払い金を専門にしている事務所に依頼すると、調査にかかる時間や手間が節約できるので、忙しい方も代行してもらえれば、過払い金の返金をあきらめなくて済みます。
また、古い借金で記録が取り寄せられないという困りごとがある場合も解決方法を専門家は知っています。
専門家が過払い金を調べ、時効についても判断してくれる
自身で過払い金の調査を進めていると次のような問題点が生じる可能性があります。
- 利用記録を確認しようとしたら、古い記録なのでもうないと貸金業者や、金融機関から言われた
- 時効が成立しているかどうかよくわからない
- 返金に必要な過払い金の計算(引き直し計算)が正確にできない
専門家なら、これらの解決の方法を知っています。
例えば、時効の判断を適切に行い、引き直し計算も正確にすることができます。
そのため、専門家に過払い金の調査を任せると、円滑に進めることができるのです。
家族に昔の借金を知られないように進めたい・ほかの借金のこともいっしょに解決したいなど、困り事は状況によって違いますが、専門家なら最大限に配慮して調査を進めてくれて、借金の整理の相談にも乗ってくれます。
すべての司法書士や弁護士が過払い金の専門家ではない
過払い金を扱うことのできる司法書士や、弁護士は多くの専門分野があります。
中でも過払い金を専門にしている事務所は、過去に過払い金の返金を多く手掛け、借金の整理にも取り組んでいる事務所のことです。
すべての事務所が過払い金を専門に手掛けているのではありません。
過払い金の案件を専門にしていて、過払い金の専門家の多くが取り組んでいる無料相談や電話相談、過払い金の診断などの業務を提供している司法書士・弁護士事務所を選び、相談するようにしましょう。
無料相談を行っている専門家に相談してみよう
過払い金の専門家の中には、無料相談を何度でもしてくれるところがあります。
納得いくまで相談をし、調査や過払い金の返金の申し込みの代行を依頼することができます。
中央事務所もこうした無料診断を回数無制限で行う事務所の一つですので、お金のことは気にしないで早めになんでも相談してみましょう。
過払い金をまだ返してもらえる場合、手続きはどう進める?
過払い金の時効がまだ完成していない、時効の後でも返してもらえることが分かった場合、手続きは次の2つの方法があります。
- 貸金業者や、金融機関と示談交渉をして合意する(和解契約を結ぶ)
- 裁判を起こす(訴訟の提起)
これらの異なる2つの方法で、過払い金を返してもらえる金額と期間が異なります。
示談交渉の場合は、額は裁判より少なめの傾向があり、利息も戻ってきません。
しかし、数か月で決着し、裁判よりはスピーディに解決します。
裁判であれば全額が戻りやすく利息も戻りやすい反面、時間がかかります。
和解(示談交渉)の場合の手続きの流れ
和解(示談交渉)を専門家に任せて行う場合、次のような流れで進めます。
- 過払い金の専門家の事務所を予約、相談をする
- 依頼者と過払い金の専門家で受任契約を締結
- 過払い金の専門家は受任通知を貸金業者や金融機関に送付する
- 過払い金の専門家に貸金業者や、金融機関が、取引記録を開示する
- 取引記録をもとに引き直し計算を行い、過払い金の金額を算出する
- 貸金業者や、金融機関に、書面で過払い金の返金を請求
- もし、交渉が妥結すると、和解契約を締結
- 和解契約で合意した内容に従い、貸金業者や、金融機関が銀行振り込みで過払い金を返金
- 依頼者は過払い金を受取り、手続きを終了する
過払い金の専門家に依頼する場合は、相談から受任まで数日、受任通知がお借入先のもとに届くまでに2~3日、引き直し計算から、交渉の妥結までは貸金業者や、金融機関によりますが、目安として3か月以内と考えておくとよいでしょう。
裁判の場合の手続きの流れ
示談交渉の場合の⑥までは裁判の場合でも流れは同じです。
- 訴訟の必要性を検討し、訴訟を提起。裁判所に訴状・書面による証拠・切手・印紙などを提出
- ⑦から約1か月後の口頭弁論期日には、専門家だけが裁判所に出廷、主張を行う
必要に応じて事情を説明したり、取引の記録を提出したりする
それまでに、貸金業者や、金融機関には、裁判所が訴状を郵送する
貸金業者や、金融機関からは、答弁書(反論などを書いた書面)が送られる - 口頭弁論期日を最終期日まで何度か繰り返し、主張と反論を繰り返す
または 途中で裁判官の和解勧告に応じて、合意・和解する
貸金業者や、金融機関は合意内容に応じて、過払い金を支払う - (⑨で合意がない場合)判決、勝訴の場合、貸金業者や、金融機関から過払い金の支払いを受ける
- (場合によって)判決を不服として控訴する・貸金業者や、金融機関から控訴される
過払い金の専門家に依頼する場合は、訴状の送付から、判決までは約半年が目安ですが、むしろ第2回口頭弁論期日までに和解ができるケースの方が大半です。
しかし、中には控訴しても支払わない姿勢の貸金業者や、金融機関があり、こうした場合は1年以上になってしまうこともあります。
過払い金の専門家に依頼するメリットとは?
自身で過払い金の返金手続きを進める場合には、次のような問題点が生じる可能性があります。
- 和解(示談交渉)か、訴訟か、どちらの結果が良いか、判断しにくい
- 貸金業者や、金融機関との交渉がうまく行かない
- 借金がまだある場合には、ブラックリスト入りしてしまうことがある
これらの問題点のため、自身で手続きを進めると結果も専門家に依頼した場合と比べて、過払い金の戻って来る金額が少なくなることや、時間的にも見通しが立てにくいデメリットが考えられます。
過払い金の請求は、借金が残っている状態で行う時には、ブラックリスト入り(信用情報登録)を可能であれば避けるように注意しないと自身に不利なことがあります。
一般に、過払い金で残りの借金を返せるのであれば、ブラックリスト入りは避けることができますが、専門家に任せると順序・留意点に配慮して進めてもらえます。
まとめ:時効後の過払い金、返してもらえないとの思い込みは禁物。確認が肝心。
借金をしたのがだいぶ前のことなので、過払い金が発生していない、とうっかり思い込み、本来返してもらえる過払い金を諦めてしまっている可能性があります。
こうした事態を避けるため、過払い金の確認をする必要があります。
過払い金の専門家に相談しながら進めると、時効の完成についても十分な確認ができます。
また時効後で通常であれば返金されない場合も、事情によっては例外的に返してもらえる場合もあるので、過払い金の専門家に事情をよく話して相談に乗ってもらいましょう。
中央事務所では、過払い金と債務整理の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。
相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法を提案させていただきます。
WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。
投稿日: 2024年6月10日
更新日: 2024年12月9日