過払い金の取り戻しには時効があります。
時効とは、一定の期間に権利を行使しないことで、その権利がなくなってしまうことです。
時効は10年といった言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
では、20年前に借り入れした借金で過払い金が発生している場合は、時効で取り戻せないのでしょうか。
そんなことはありません。
20年前に借り入れした借金でも、最終の返済日から10年経過していない場合などには、過払い金を取り戻せる可能性があります。
あきらめずに、確認をして過払い金を取り戻しましょう。
ということで、今回は過払い金を取り戻せるか、どうか、について時効以外にも条件があるので、そのポイントを紹介します。
過払い金とは?
過払い金は、貸金業者に返しすぎた利息のことをいいます。
かつて、利息制限法の上限を上回る「グレーゾーン金利」で貸し付けが行われていた時期があり、グレーゾーン金利で借りた借金には、過払い金が発生している可能性があります。
グレーゾーン金利とは、利息制限法の定める上限(金額により年15%から20%)を越えるが、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(「出資法」)の上限金利(年29.2%)を越えない範囲の利息をいいます。
これらの高い利息で貸し出されていた借金は、超過した利息の部分は違法あたります。
そのため返済されたお金のうち、超過した利息の部分は、貸金業者が不当に得た利益=不当利得とされ、民法の規定により返金してもらえることができるのです。
グレーゾーン金利は、2010年6月18日の利息制限法改正前の借金に発生しますので、それ以降の借金は過払い金が発生していないと考えられます。
グレーゾーン金利が適用されていた借り入れであると確認できた場合、返金のためにはさらに時効がいつから進行し、いつ過払い金を取り戻す権利がなくなるのかを確認することが重要です。
過払い金の時効は何年?
過払い金の時効は、原則として10年です。
なお、2020年4月1日以降に完済した借金は、以下の民法の規定により5年で時効にかかる場合もあります。
- 借金をしていた人が過払い金を返してもらえる権利を行使できる時から10年が経過したとき(民法166条2項)
- 過払い金を返してもらえることを知ったときから5年が経過したとき(民法166条1項)
時効はいつからカウントされる?
また、時効はいつからカウントされるか、ですが、最後の返済、つまり完済した時から進行するものとされています。
たとえば、今から20年前以上の借金(2000年1月1日にお借り入れ)を2020年1月1日に完済した場合、10年を過ぎた日である2030年1月2日には時効となります(原則初日不算入。民法140条)。
20年前の借金でも時効にかからないことも
たとえ20年前に借り入れした借金でも、最終返済日=時効の起算点から10年(5年)たっていない場合は、時効にかかりません。
また、次のような場合には、最終返済日は法律をよく知る専門家でないといつとなるか、明確にはならないことがあります。
- 1つの契約書で複数口の借金をしており、それぞれの口の完済日が異なる場合
- 同一のカードで借り換えをし、キャッシングの利用を断続的に続けている場合
これらの場合には、最終返済日の日付が遅くなる・あるいはまだ最終返済日が来ていない可能性があるので、特に注意深く確認する必要があります。
そこで、複数の口の借金、カードでのキャッシング利用の場合、司法書士や弁護士などの専門家に確認してもらうことで、時効の起算点はいつなのか、確認することをおすすめします。
過払い金を返してもらえる条件は?
20年前に借り入れした借金で過払い金を取り戻すには、時効以外にもいくつか条件があります。
グレーゾーン金利が適用されていること
先ほど少しご説明しましたが、2010年6月18日の利息制限法の改正前にお借り入れがあり、上限となる利息を超えていた場合に、過払い金が発生します。
グレーゾーン金利が適用されない場合は、過払い金がそもそも発生していないので返してもらうものはありません。
貸金業者によっては、利息制限法の改正前にグレーゾーン金利を適用しないようにしたケースも見られますので、取引の記録などでの確認が必要です。
ショッピングや住宅ローンではNG
ショッピングの利用は、グレーゾーン金利が適用されません。
また、住宅ローンの場合も、利息制限法の上限の利息を超えるようなことはないので、過払い金は発生していません。
そのため、ショッピングの利用や住宅ローンの場合は20年前のお取引であっても過払い金が発生することはありません。
また、倒産してしまった借入先に返金をしてもらうことはできません。
かつて大手の消費者金融であった武富士が倒産して話題になりました。
必ずしも財政状況がよい借入先ばかりではないので、この点にも注意して、可能であれば早めに返金を進めた方がよいでしょう。
過払い金を取り戻す進め方とは?
20年前の借り入れでも、返してもらうことが可能なら手続きを進めて返してもらいましょう。
過払い金を取り戻す進め方を簡単に説明すると次の通りです。
借金の記録を調べて過払い金を計算する
取引の記録から、いつ、いくら借りていたか、を調べることができます。
調べた取引の記録に基づいて「引き直し計算」をすることで、過払い金の金額を計算することができます。
過払い金の計算を行なうことで、過払い金として請求する金額が決まるので、正しく計算することが必要です。
引き直し計算は、
①上限利息を超えた利息分にあたる返済額を元金に組み入れ
②これを完済まで繰り返して計算
③実際に返済した合計額との差額を計算
ただし、自身で進める場合には、次のような問題が生じる可能性があります。
- 貸金業者が一定期間の記録しか保管していないため「記録がない」と言われてしまう
- 引き直し計算を正確に行うことができない
こうした場合は、適切な相談先を見つけて相談することがおすすめします。
過払い金に強い事務所に相談してみよう
過払い金の取り戻しに困ったら、過払い金に強い事務所にぜひ相談しましょう。
時効の起算点の確認・記録の集め方・過払い金の計算も、過払い金に強い事務所なら解決方法を知っています。
また、他にも借金があって困っている・相続した借金に過払い金の問題がある、など気になる法律問題がある場合も、事務所なら相談に乗ってくれます。
ただし、過払い金に強い事務所を探すことが相談の際の重要なポイントになります。
登記専門の司法書士に相談しても過払い金が適切に解決できるとは限りません。
交通事故に強い弁護士が過払い金にも必ず強いという可能性は低いでしょう。
司法書士・弁護士は、このように専門性が分かれているため、過払い金の取り戻し実績が豊富な事務所を探し相談することが必要です。
また、司法書士の場合、過払い金の返金のための訴訟を扱えるのは認定司法書士のみです。
このことを知っておくと事務所探しに役立ちます。
20年前の過払い金請求は事務所に相談するのがコツ
20年前のお借り入れでも、時効の起算点=最終返済日 がいつであるかによっては、まだ返金が可能な場合があります。
あきらめずに確認して過払い金を取り戻しましょう。
中央事務所では、過払い金の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。
相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法をご提案させていただきます。
WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。
投稿日: 2024年6月10日
更新日: 2024年10月8日