「債務整理中に新たにお借入れが必要になった場合どうするのか?」と疑問を持つ方がいらっしゃいます。
債務整理を依頼した後に、どうしてもまとまったお金が必要になった。
返済中だけど予想外の出費がある。
など、債務整理する前には予測できなかった事態が起こることがあります。
しかし、債務整理中のお借り入れは難しく、またお借り入れができたとしても様々なリスクが伴います。
そこで今回は、下記について解説します。
- 債務整理中のお借り入れが難しい理由
- 債務整理中にお借り入れをすべきでない理由
- 債務整理中に借金が必要になった場合の手段について
債務整理中は融資の審査が通らない
債務整理をすると、キャッシングなどのお借り入れができなくなります。
理由は、債務整理手続きを開始すると、そのことが事故情報として個人の信用情報に記録され、いわゆる「ブラックリストに載っている」状態になるからです。
金融機関は、お借り入れの審査の際に信用情報を参照します。
そこで、事故情報が確認されるとまず、審査には通りません。
すでに契約済みの金融機関で、これまでもお借り入れをしている場合は、債務整理手続きの直後に借りられることがあります。
しかし、こちらもいずれは利用できなくなります。
債務整理中に借金をするべきではない理由
債務整理中でも一時的にお借り入れができる場合があります。
しかし、そこにはさまざまなリスクが潜んでいるため、決しておすすめできません。
お借り入れしてしまった後で後悔することのないように、どんな危険があるのか解説します。
借金問題の解決がより困難になる
債務整理中に新たなお借り入れをすれば、さらに借金が大きくなって解決はより困難になります。
生活を立て直すために債務整理を進めているのに、新たにお借り入れしたことで状況が悪化すれば本末転倒です。
どうせ借金があるのだから、少しくらい増えても変わらないだろうと軽い気持ちで借りてしまうと、借金問題が悪化して解決できなくなる可能性があります。
手続き中の債務整理ができなくなる可能性がある
債務整理中にお借り入れをすると、ご自身の信用を失い債務整理自体が白紙に戻ってしまう可能性があります。
債務整理は、お借入先と示談交渉を行ったり、裁判所へ申立を行ったりする手続きです。その渦中にお借り入れをすると、債権者である金融機関との交渉が頓挫したり、裁判所から再生できる見込みがない、返済不能になったことを反省していないとみなされて、手続きが進められなかったりする可能性もあります。
本来の目的である手続きをスムーズに進めるためにも、債務整理中のお借り入れは絶対にやめましょう。
依頼している専門家から辞任される可能性も
債務整理を借金の専門家に依頼するときに、新たなお借り入れはできないという説明がなされたと思います。
にもかかわらず、債務整理中に借金をするということは、手続きの依頼はしてもご自身に改善の意思はないとみなされる可能性があります。
債権者への交渉や裁判所への申し立てを行う前の段階であったとしても、手続き途中のお借り入れは、それまでに作成した資料や書類のやり直しが必要になります。
何より失った信用を取り戻すのは容易ではありません。
借金の専門家が本来行う予定の仕事が約束できなくなったとして、辞任を申し出る可能性も否定できません。
ヤミ金に借りてしまうリスクあり
債務整理を開始すると、通常はお借り入れができなくなります。
それでも貸してくれるお借入先となると範囲は限定され、中小貸金業者であることが多くなります。
中にはヤミ金業者がまぎれていることもありますが、ヤミ金業者は「審査がなくても借りられる」「即日OK!」といった甘い勧誘を行う反面、一度借りると法外な利息での請求と、違法な取立てを行う悪質な無登録業者です。
絶対に手を出さないようにしましょう。
SNSを利用した「個人間融資」に注意!
インターネットの普及に伴い、近年では「個人間融資」の利用者が急増しています。個人間融資とは、SNSやネット掲示板などで勧誘して、個人同士でお金の貸し借りをすることです。
個人同士といっても、貸し手は個人を装ったヤミ金融業者であることも多いのが現状です。
金融機関の融資と違ってルールが甘く気軽に借金できるからと、安易に利用することは絶対にやめましょう。トラブルに巻き込まれる可能性もあり、金融庁のホームページでも注意を呼びかけています。
金融庁HP 「SNS等を利用した「個人間融資」にご注意ください」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/kinyu_chuui.html
債務整理中にお借り入れが必要になった場合は?
債務整理手続きを始めたら、一定の年数が経過するまではお借り入れはできないと理解していても、どうしてもお借り入れが必要になる場合もあるでしょう。
そんなときは以下のことを試してみましょう。
現在の家計を見直す
家計の見直しをしても変わらないと考える方もいらっしゃいますが、1つずつ見直すと意外に減らせるものが見つかることがあります。
また、ご自身だけで見直すのではなく、ご家族と一緒に考えることで削れる支出が出てくる場合もあります。
まずは、現在の収支を把握した上で、収入の範囲内に支出を抑えられるように。それがどうしても難しい場合は、ご家族にも協力してもらい収入を増やすことも検討してみましょう。
依頼している専門家に相談して方針を見直す
手続きを依頼している専門家に、事情を伝えて相談してみましょう。
もし、現在の方針でどうしても難しい場合は、他の方法への変更を検討することも必要になるかも知れません。
生活福祉資金貸付制度を利用する
どうしてもお金が必要な状況の場合、国の生活福祉資金貸付制度を利用するという方法もあります。
生活福祉資金貸付制度とは、所得が低い世帯や障害者・高齢者などに国が低金利で貸付を行なって、生活の立て直しをサポートする制度です。貸付資金には、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類があり、各々貸付条件があります。各市区町村の社会福祉協議会が窓口となって実施しています。
生活保護や一部減免制度の利用を検討する
生活の困窮程度に応じて必要な保護を行い、その自立を助ける制度が生活保護です。
地域や家族構成などの条件によって支給される金額は異なります。
また、一部負担金減免制度とは、災害や失業などで医療費の支払いが難しくなったときに、医療費の一部を減額または免除してもらえる制度です。
対象となる世帯には条件がつきますが、困窮した時や医療費の支払いにこまったときは、相談を検討してみましょう。
債務整理後は再びお借り入れができるように
債務整理中のお借り入れはできませんが、ずっとできないわけではありません。
一定の年数が経過すれば、クレジットカードの作成や住宅・自動車のローンを組むことも可能になります。
手続き終了後すぐのお借り入れはできない
債務整理手続きが終了して、任意整理と個人再生では完済してから約5年、自己破産では手続きの終了から7年経過すれば、再びお借り入れができるようになるとされています。その頃には債務整理を行なったという事故情報が、信用情報から抹消されているケースがほとんどだからです。
手続きが終了次第、カードの作成やお借り入れが可能になるわけではないことを認識しておきましょう。
グループ会社からのお借り入れは?社内ブラックに注意
信用情報に事故情報が登録されている状態(ブラック状態)は、5~7年が経過すれば回復します。
しかし、信用情報とは別に、各々の金融機関が社内で管理している情報があります。この社内情報にブラックリストとして登録されているのが、「社内ブラック」と呼ばれる状態です。
社内ブラックであると、何年経ってもお借り入れやカードの作成ができない可能性があります。
また、その金融機関と同系列の会社では、社内ブラックの情報が共有されているため、グループ会社からのお借り入れもできない可能性が非常に高いです。
債務整理中のお借り入れはハイリスク!目の前の借金解決を
債務整理中にお借り入れをすると、依頼している債務整理そのものが手続きできなくなる可能性があります。
どうしてもお金が必要だからと慌てて借金することは控えて、市区町村の窓口や借金の専門家に相談してみましょう。
借金の返済に悩まれたときは、借金の専門家の力を借りるのが早期解決の近道です。
中央事務所では、債務整理の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。
ご相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法をご提案させていただきます。
WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。
投稿日: 2024年6月10日
更新日: 2024年12月5日