任意整理後クレジットカードはどうなる?
任意整理をすると、利息のカットや長期分割に応じてもらえる反面、利用者にとって困ることもあります。
どのような不利益が生じるのか、理解しておきましょう。
クレジットカードは原則使用不可になる
任意整理をすると、対象のクレジットカードは、通常、強制解約となります。任意整理をしたことが、個人の信用情報に事故情報として登録されるからです。
いわゆる「ブラックリスト入り」した状態となるため、クレジットカードは強制解約されることになります。
強制解約のタイミングは、債務整理の依頼後、受任通知がカード会社に届いたときからです。
また、事故情報は他のカード会社にも共有されるため、任意整理をしていない会社のクレジットカードもいずれ使用できなくなります。
中にはしばらく使用できる場合もありますが、更新のタイミングなどで使えなくなるでしょう。
新規でクレジットカードの発行はできない
個人の信用情報に事故情報が登録されると、現在、使用中のカードが解約されるだけでなく、新たなカードの発行もできなくなります。
任意整理をした会社とは別のカード会社に、クレジットカードの申し込みをしたとします。
新規の申し込みを受けたカード会社は、審査の過程で信用情報の照会をして、申込者の信用情報の提供を受けるしくみになっています。
そうすると、当然審査を通過することは難しくなります。
また、任意整理をしたクレジットカード会社では、手続きが終了して事故情報が消えても、新規のカード発行はできません。
任意整理をしたクレジットカード会社内でブラックリストとして情報を保管することがあるためです。
任意整理をしたお借入先とは、社内ブラックの登録によってずっとカードを作れない可能性があります。
クレジットカードの更新もできなくなる
では、手元にあるクレジットカードの更新はどうなるのか、不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
残念ながら、新規のカードを発行できないのと同様の理由で、更新も難しくなります。
強制的に解約されるとクレジットカード自体が使えなくなるので、次回の更新もできなくなると頭にいれておきましょう。
クレジットカードには有効期限が設けられていて、通常期限が来ると更新されますが、その際に更新の審査が行われます。
個人の信用情報に事故情報があると更新は認められず、カードが利用停止になる可能性が高くなります。
任意整理後にクレジットカードを更新できた例は?
一方、手続き後にクレジットカードの更新ができたケースや、事故情報があっても更新審査に通る場合があります。
毎月の返済をきちんと行っている場合、カード会社から返済能力があると認められ、更新審査に通るケースもあるようです。
しかし、ほとんどの場合一時的に更新ができても、いずれ強制解約される恐れがあることは念頭においておきましょう。
クレジットカードはいつから作れるようになる?
事故情報が登録されている5年から7年ほどは、クレジットカードが作れません。
しかし事故情報が削除されれば、再びクレジットカードを作ることが可能になります。
任意整理後クレジットカードの審査に通りやすくなるコツ
任意整理後にクレジットカードの審査に通りやすくするには、どうしたらよいのでしょうか。
そのコツをいくつかお伝えします。
任意整理した以外の会社に申し込む
任意整理を行ったクレジットカード会社では、新規カードの作成やローンの契約はできない可能性が高いです。
そのため、任意整理したカード会社以外のカード会社に申し込みをしましょう。
できれば、これまで一度も作ったことのないカード会社に申し込むとよいでしょう。
また、カード発行の審査基準は、クレジットカード会社によって異なります。
比較的、審査の通りやすいカード会社もあるため、審査基準を調べて申し込むというのもひとつの方法です。
複数のカード会社に申し込みはしない
個人の信用情報には、クレジットカードやローンの申し込み情報についても登録されています。そのため、複数のクレジットカードを短期間で申し込むと、申し込みブラックになる可能性があります。一度申し込みブラックになると、しばらくの期間カードの審査に落ち続ける可能性が高くなります。
任意整理を行った後にクレジットカードの申し込みをする際は、短い期間で複数のカード会社に申込みをするのは避け、1つの金融機関の審査が終わってから次の申し込みをするようにしましょう。
キャッシング枠を設定せず作成する
クレジットカードの申し込み時に、キャッシング枠の設定を選べるようになっていますが、設定せずに申し込みをしましょう。
キャッシング枠を希望すると、その分より審査が厳しくなるのは避けられません。
キャッシング枠は、クレジットカードを作り返済の実績を重ねた後で、いつでも申し込むことができます。
最初の申し込みの際は、キャッシング枠を申し込まないことで、少しでも審査が通過する可能性を高くして申し込むとよいでしょう。
クレジットカードが使えるようになるまでの対処法
クレジットカードが使えなくなると、その後の支払いに不便を感じるかも知れません。クレジットカードが使えるようになるまでの対処法として、審査がないキャッシュレスの決済方法をご紹介します。
デビットカードを使用する
デビットカードとは、利用した代金が銀行口座から、即時に引き落とされる仕組みのカードです。
審査がなく、クレジットカードと同様に店舗で使うことができます。
銀行口座残高の範囲内でしか利用できないため、利用金額には注意しなければいけません。
しかし、その分使いすぎを防ぐことができ、お金の管理もしやすいというメリットがあります。
家族カードを作成する
クレジットカードをご自身で契約できなくても、カード契約者の家族に発行される家族カードなら作成できます。
家族の方にクレジットカードを作ってもらい、家族カードを発行してもらいます。
審査があるのは、カード契約者となる家族の方ですので、家族カードを持つご自身が審査されることはありません。
ただし、利用料金の引き落としは、契約者である家族の方の銀行口座になるため、話し合って理解を得ておくことが大切です。
QRコード決済を利用する
QRコード決済とは、スマートフォンにアプリをダウンロードし、QRコードを読み取ることで決済を行うサービスです。
提携しているお店でQRコードを表示したり読み取ったりすることで、スマホで支払いをすることができます。
クレジットカードを持っていなくても、銀行口座との紐付けや、あらかじめコンビニATMでチャージをしておけば利用できます。
QRコード決済の代表的なサービスには、「Pay Pay」「LINE Pay」「メルペイ」などがあります。
クレジットカードを任意整理する際の注意点
クレジットカードを任意整理すると、ブラックリストに掲載されてカードの利用は停止されます。そのため、事前に注意しておきたいことがあります。
携帯料金の支払いをクレジットカードにしている場合
毎月の携帯料金を、クレジットカードで支払っている方はたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、クレジットカードが解約されると、その後の支払いができなくなってしまいます。
そのため、携帯料金の支払い方法を事前に変更しておきましょう。
預金口座からの引き落としや、コンビニ払いなどへ変更することができます。
また、携帯料金の支払いに延滞がある場合は、任意整理の手続き前に支払いをして滞納状態を解消しておく必要があります。
ショッピングローンで商品を購入している場合
任意整理するクレジットカードで、ショッピングローンを利用している場合、購入した商品を引き揚げられてしまう可能性があります。
商品を引き揚げるか、の有無はクレジットカード会社の判断です。
換価する価値が低いと判断された商品は、引き上げられないこともあります。
自動車のように換価する価値の高い商品は、ほぼ引き揚げられてしまいますが、商品を引き揚げられたくない場合には、引き揚げられたくない商品のローン会社を外して任意整理の手続きをする必要があります。
ただし、ショッピングローンで商品を購入している会社と同じカードで、キャッシングも利用しているような場合には、ショッピングだけを手続きから外すということはできません。
任意整理で悩んだら借金の専門家に相談を
借金問題の解決のために任意整理をお考えの方は、まずは司法書士や弁護士などの借金の専門家にご相談ください。
任意整理を含め、どの債務整理が適しているのかなど、今後の生活スタイルも踏まえたご相談が可能です。
借金の返済に悩まれたときは、借金の専門家の力を借りるのが早期解決の近道です。
中央事務所では、債務整理の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。ご相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法をご提案させていただきます。
WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。
投稿日: 2024年6月7日
更新日: 2024年10月29日