「過払い金を返してもらえたら、借金も返して楽になれるのに…」借金で悩む方が、借金の整理=借金整理と、過払い金と2つの問題で悩んでいることもあるでしょう。
過払い金がもしも戻ってきたら借金の返済に充てることができるので、2つの手続きをほぼ同時に行うこともよくありますが、手続きの順序や、進め方については留意点があります。
借金整理と過払い金の請求の違いと関係、そして、過払い金を返してもらって、スムーズに借金整理を進めるコツについて説明します。
債務整理と過払い金の請求の違い
過払い金は、払いすぎた利息のことです。借金を返済した際に利息を払いすぎた方は金融機関から一定の条件を満たせば返してもらうことができます。
借金整理は、借金を減らすために行う任意又は法的な手続きです。
借金をした人は債務者として金融機関にお金を払わなければならないため、過払い金とは方向が逆です。
過払い金と借金整理の問題双方を抱えている方は、過払い金を金融機関から返してもらえれば借金を減らすために使えます。
さらに過払い金で借金が完済できれば、借金整理が必要なくなる場合もあります。
それぞれの手続きをもう少し詳しく見てみましょう。
債務整理(借金整理)とは
借金の整理のことで、借入先との任意交渉や、法律で定められた手続きにより、借金の額を減らし、返済しやすくしたり、支払義務の免除を受けたりすることをいいます。
借金整理には主に利用される手続きとして、次の3種類の手続きがあります。
- 任意整理
お借入先との交渉により、個別の借金を減額する手続き
- 民事再生(個人再生)
借金を最大10分の1の額にまで一律に減額する手続き裁判所で行われ、借金の種類を問わず整理することになるが、「住宅ローン特則」の適用を受けることにより、持ち家に住み続けることができる点が特徴
- 破産
借金の支払いを免除してもらう手続き
裁判所で行われ、この手続きを行うと、借金からは解放されるが、財産を債権者に原則全部分配する配当手続きを行うので、持ち家等の財産を使い続けることができなくなるデメリットがある
借金整理のメリット
借金整理のメリットは、借金が減らせることです。
任意整理や、個人再生では、借金の額を減額した後、残りの借金を返しやすくなります。
任意整理では、借金に関する利息分(将来利息)を減額できるのが一般的で、また、個人再生では、借金の額を最大10分の1まで減額することが可能です。
また、破産では、借金の支払いを免除してもらうので(ただし、税金・養育費等、例外的に免責されない非免責債権があります)、借金から解放されることがメリットです。
借金整理のデメリット
借金整理のデメリットは、一定期間いわゆるブラックリストに載ってしまうため、金融機関からの新規のお借り入れや、クレジットカード取引ができなくなることです。
任意整理や民事再生で整理が始まってから約5年、破産の場合は免責といって、借金が正式に0となった日から約5~10年ほど新規のお借り入れ、クレジットカード取引ができなくなります。
なお、任意整理と個人再生は手続きが終了しても返済は続くので、返済が滞るとまた事故情報が登録されます。
ブラックリストは、一定期間の間のみ取引ができなくなるにとどまるため、期間が終了すると、原則としてまた金融機関との取引ができるようになります。
過払い金とは
支払いすぎた利息=過払い金は、法律で定められた利率を超えて支払った利息に相当するお金のことをいいます。
特に「グレーゾーン金利」が適用されていた借金に、過払い金が発生している可能性があります。
グレーゾーン金利とは、以下の2つの法律で定められた上限の間にあたる利息のことをいいます。
この利息は、金融機関からのお借り入れにかつて適用されていたことがあります。
- 利息制限法・・・利息の上限は、年15〜20%
- 出資法 ・・・利息の上限は、年29.2%
利息制限法の改正があった2010年6月18日までは、利息制限法の上限の利息と、出資法の上限の利息の間は、法律に反する利息かどうかははっきりとしていませんでしたが、現在グレーゾーン金利は違法で、適用できないこととされています。
そのため、利息制限法改正以前にグレーゾーン金利が適用されたお借り入れを返済した場合は、払いすぎた利息=過払い金が発生している可能性があります。
払いすぎた利息は、不当利得返還請求権にもとづき、返してもらえることがあるのです。
実際に返してもらうためには、グレーゾーン金利が適用された借金を返済したこと、そして消滅時効にかかっていないことが条件です。
過払い金を返金してもらえる条件
2010年6月18日以前の借金については、グレーゾーン金利が適用されている可能性があるため、過払い金の発生可能性があります。
ただし、金融機関によってはさらに前にグレーゾーン金利の適用をやめている場合があります。過払い金を専門に扱っている司法書士事務所や、弁護士事務所に相談すると、発生しているかどうかをより正確に確認することができます。
また、借金にグレーゾーン金利の適用があり、過払い金が発生している場合でも、消滅時効が完成すると返金してもらえません。
消滅時効が完成している場合とは、以下に当てはまる場合です。
- 借金をしていた人が過払い金を返してもらえる権利を行使できる時から10年が経過したとき(民法166条2項)
- 返してもらえることを知ったときから5年が経過したとき(民法166条1項)
そのため、実際に過払い金を返してもらうには、
①グレーゾーン金利が適用されていたこと
②消滅時効が完成していないこと
2つの条件がそろうことが必要です。
過払い金の請求によりブラックリストに登録されるケース
過払い金の請求を行っただけでは、ブラックリストに登録されることはありません。
しかし、借金がある場合には、ブラックリストに登録されてしまう可能性があることに注意が必要です。
過払い金の請求により返金を受け、借金全額の返済が可能になるのであれば、ブラックリストに登録はされません。
これに対して過払い金の返金を受けても借金の返済ができない場合は、信用情報に事故情報の登録が行われ、「ブラックリスト入り」してしまうのです。
過払い金を返してもらえれば、借金は減らすことができます。
その一方で、ブラックリストの登録がデメリットとして考えられます。
ブラックリスト入りするとクレジットカードが使えなくなるなど、生活に影響があります。
そこで、過払い金により借金全額の返済ができるか、また、残った借金をどのように整理するか司法書士事務所や弁護士事務所へ相談し、見通しをもって取り組むのがおすすめです。
過払い金と借金整理の深い関係とは
借金がある方が過払い金の請求を行うことは、まれではありません。
過払い金の請求は、借金を減らすための手段としてしばしば使われます。
過払い金の請求を行うと、返ってきたお金で借金を減らすことができ、場合によっては完済できることもあります。
完済できればブラックリストに登録されることもありません。
そのため、借金整理をしたい場合は、先に過払い金を返してもらうことから着手します。
ところが、順番が逆になると、次のような不利益が起こる可能性があります。
- ブラックリスト(信用情報)に載る
- クレジットカードなど金融取引を制限されてしまう
過払い金で借金を完済できる場合は、特に過払い金の返金を先に進めて、その後に返済に充てる順序を守ることが必要です。
過払い金の請求の方法
過払い金の請求の方法は、和解(示談交渉)による場合と、裁判(訴訟の提起)による場合があります。
どちらの方法も、ご自身で進めることができます。
示談交渉は、金融機関との交渉により、過払い金を返金してもらう方法です。
裁判は、裁判所で訴訟を提起して、過払い金を返金してもらう方法です。
和解(示談交渉)の場合
和解(示談交渉)とは、金融機関との話し合いによって合意をし、返金の条件を記載した和解契約を締結、過払い金を返金してもらう方法です。
この方法では、交渉から過払い金の返金まで早く決着しますが、取り戻せる金額は小さくなる傾向にあります。
また、訴訟では過払い金に法定利息をつけて返してもらえるのが普通ですが、示談交渉の場合、法定利息はつかないことが一般的です。
訴訟提起による場合
これに対して、訴訟を提起して金融機関と交渉を進める場合は、より時間がかかります。
裁判所で訴訟を行うには、決められた書面の準備に時間と手間がかかります。
さらに、スケジュールを裁判所に合わせる必要から、示談交渉と比べると進み方が早くありません。そのため、時間がかかってしまうのです。
しかし、過払い金が戻ってくる金額は裁判の方が大きい傾向にあり、請求すれば過払い金に利息がついて返金されるのが一般的です。
過払い金の請求手続きは一人でできる?
過払い金の返金は、手続きをご自身で進めることができます。
しかし、返金をご自身で進める場合には、デメリットがあります。
特に借金整理とほぼ同時に手続きを進める場合には、確実に過払い金を返金してもらい、借金を減らしておくことが必要になる場合もあります。
次にあげるようなデメリットや注意点を理解しておくと同時に、難易度が高いので、できるだけ、過払い金の専門家に相談しながら進めることを検討することをおすすめします。
ご自身のみで進めるデメリット
ご自身で過払い金を返金してもらう場合は、過去の借金の記録をもとに、過払い金の調査をすることが必要です。
加えて、書類を作ること、裁判所・金融機関に赴くことには時間や手間がかかってしまいます。忙しい方などは、時間・手間が理由で、返金してもらうことを諦めてしまうことさえあるでしょう。
また、交渉を進めるうえでは、先方と交渉がうまくいかなくなる、時効の問題があるときにどのように説明したらいいか分からないなど、解決が困難な問題もあります。
引き直し計算が正確でない場合は、お借入れ先が返金に応じてくれません。
さらに、借金がある場合には、過払い金の返金により先に借金を減らし、残った借金は整理を進めるのが正しい順序です。
ところが、この順序を一人で進めると間違えてしまうようなこともあります。
ご自身で進めると、こうしたデメリットのために、最終的に返金・並行して進める借金の整理の結果に満足できない場合があります。
過払い金の専門家に相談するメリットとは
過払い金の専門家に依頼すると、次のようなメリットがあります。
- 過払い金の返金と、借金整理の順序を間違いなく進めてくれる
- 調査・引き直し計算も正確に行えて、交渉も代わりに行ってもらえる
- 示談交渉と訴訟とどちらがよいか、的確なアドバイスをしてくれる。
- 事務手続きがスムーズで、時間的な見通しを立てやすい
- 時効の問題にも対応してくれる
特に、過払い金の返金があれば借金の整理の手続きが不要になる場合は、過払い金専門家に依頼し、できるだけ多くの額の返還を受けるのが賢明です。
また、過払い金が時効にかかる直前の場合などは適切に対応できないと取り返しがつかないため、過払い金の専門家が正確に判断し、見通しを立てた方が結果もよいと考えられます。
事務所を選ぶポイント
過払い金を扱う信頼できる事務所には、次のような特徴があります。
- 多数の実績がある
- 過払い金だけでなく借金整理にも実績がある
- なんでも話せて納得するまで説明してくれる
過払い金を扱う事務所では、無料相談・着手金0でも始めてくれる事務所もあります。
過払い金を扱う事務所で、無料で相談を受け付け、着手金は0で成功報酬制、かつ債務整理も扱っている事務所の一つが中央事務所です。
多数の実績と、知見があり、無料相談は何度でも納得するまで受けることができます。過払い金・債務整理のことならどんなことでも相談してみてください。
債務整理と過払い金で迷ったら専門家に相談を
借金を減らす手段として、過払い金は非常に有効です。
もしも、借金の整理や過払い金を返金してもらう方法で迷ったら、ご自身のみで抱え込まず、まずは相談してみましょう。
借金返済や過払い金に悩まれたときは、専門家の力を借りるのが早期解決の近道です。
中央事務所では、債務整理と過払い金の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。
ご相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法をご提案させていただきます。
WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。
投稿日: 2024年6月10日
更新日: 2024年12月9日