金利18%の借入でも過払い金は発生する?請求の注意点も解説

年18%の法定金利で借り入れをしても、契約内容や借入状況によっては過払い金の対象になります。過払い金には時効があり、基本的には請求しないと返還されないため、可能性がある方は早めに行動を起こすことが重要です。

本記事では、年18%の借入で過払い金が発生するケースや条件、請求時の注意点などをまとめました。個人での請求を考えている方に向けて、問題になりやすいポイントや専門家に頼るメリットもご紹介します。

過払い金はなぜ発生するのか

2010年6月17日以前に結んだ契約において、利息制限法で定められた以上の利息を支払った人は、過払い金を請求できる可能性があります。過払い金請求は正当な手続きであり、利息制限法の超過分については民事上でも「無効になる」との判断が下されています。

債務者(借主)が過払い金を請求できるようになった背景には、最高裁判所の判例があります。最高裁判所は2006年1月に、利息制限法を超える金利は「有効な支払いとはみなせない」との判断を下しました。これにより、利息制限法の超過分は元本に充当されることとなり、一部の債務者には利息を支払い過ぎている状況が生まれています。

過払い金の概要や実際の手続きについては、こちらのページで詳しく解説しています。

高金利で借りると過払い金が発生する

過払い金の対象は、利息制限法を超える高金利で借り入れた債務です。

かつては、一定の条件を満たすと利息制限法を超える金利も有効とされていましたが(※みなし弁済という)、2010年6月18日からの法改正により、過払い金の明確なルールが定められました。

主な変更点としては、貸金業法の改正による「みなし弁済規定の撤廃」と、出資法(※)における上限金利の引き下げ(年29.2%から年20%)が挙げられます。みなし弁済自体が無効となり、かつ刑事罰がある出資法の上限金利が引き下げられたことで、現在では貸金業者による高金利の貸付が難しくなりました。

「グレーゾーン金利」が原因で過払い金が発生

グレーゾーン金利とは、旧出資法と利息制限法の間に存在している金利帯のことです。前述の通り、利息制限法の超過分は元本の支払いに充当されることから、グレーゾーン金利で支払った利息は「過払い金」になります。

利息制限法には刑事罰が存在していないため、かつてはみなし弁済となるように契約を結び、旧出資法を上限として貸付をする業者が存在していました。債務者には最大で年29.2%の金利が課されていたため、簡単に言うと多くの利息を支払わされていたのです。

みなし弁済が認められなくなった以降の契約(2010年6月18日以降に結んだもの)では、事実上グレーゾーン金利が撤廃されています。

過払い金が発生する金利は15~20%以上

以下の表は、利息制限法によって定められた上限金利と、過払い金の対象になるグレーゾーン金利をまとめたものです。

借入金額利息制限法の上限金利グレーゾーン金利
10万円未満年20%年20%~29.2%
10万円~100万円未満年18%年18%~29.2%
100万円以上年15%年15%~29.2%

個々の借入金額により変動しますが、過払い金が発生する金利は「15%~20%以上」が目安とされています。借入金額に応じた利息制限法の上限金利を1%でも超えると、過払い金を請求できる可能性があります。

金利18%でも過払い金が発生するケース

年18%の金利で借り入れた人は、どのようなケースで過払い金が発生するでしょうか。具体的な条件としては、次の2つが挙げられます。

  • 借入開始が2010年6月17日以前
  • 借入金額が100万円以上

(※いずれの条件も満たすことが必要)

ご自身で判断ができるように、該当するケースを以下で確認しましょう。

借入開始が2010年6月17日以前

グレーゾーン金利による過払い金が発生するのは、貸金業法と旧出資法が改正された以前に結んだ契約です。つまり、2010年6月17日以前に借り始めている必要があります。

ただし、2010年6月18日以降の借入であっても、利息制限法や出資法に違反する契約は無効となります。

【出資法違反の例】

  • 借入金額に応じた上限金利(年15%~20%)を超えている
  • 上限金利は超えていないものの、法外な手数料(保証料など)を徴収している
  • 契約書にはない利息を支払わされている など

借入金額が100万円以上

前述の通り、利息制限法の上限金利は借入金額で変わります。金利が年18%の場合は、100万円以上の元本がないと過払い金の対象になりません。

ここで言う「元本」とは、利息を含まない借入金額のことです。例えば、99万円の借入金額に1万円の利息がついても、法律上の元本は99万円となるため注意が必要です。

過払い金請求する際の注意点は?

過払い金請求は、法律に則った正式な手続きです。しかし、実際に過払い金が返還されるかは、個々の契約内容や借入状況によって変わります。実生活に影響する場合もあるため、手続きの前には以下の注意点を押さえておきましょう。

  • 必ずしも過払い金が返還されるとは限らない
  • 過払い金請求がそもそもできない場合もある
  • 信用情報に影響がでる可能性がある

ここからは例を交えて、具体的に意識したいポイントを解説します。

必ずしも過払い金が返還されるとは限らない

過払い金の支払いに応じるかは、請求先の貸金業者によって変わります。

満額の返還を希望する場合に、訴訟を起こすことが必要になる場合もあります。参考として、以下では過払い金を受けとれない可能性があるケースをまとめました。

  • 貸金業者に過払い金を支払う意志がない
  • 貸金業者に支払い能力がなく、破産や再生の手続きをしている
  • 訴訟を起こしたものの、十分な証拠(取引履歴など)をそろえられなかった

裁判中に相手方の状況が変わることもあるので、過払い金請求はご自身での判断が難しいケースもあります。

過払い金請求がそもそもできないこともある

貸金業者との最終取引日から10年が経過、または過払い金請求の権利があることを認識した時点から5年が経過すると、過払い金請求は時効になります。

仮に2010年に借入をしたとして、2025年時点で時効になるケースとならないケースを整理してみましょう(※日付はいずれも1月1日を想定)。

<時効になるケース>

  • 当初の借入を2013年に完済し、それ以降は同じ貸金業者を利用しなかった
  • 完済後に追加で借り入れて2014年に再び完済し、それ以降は取引をしなかった
  • 貸金業者からの通知で2019年に過払い金の事実を知ったが、特に何もしてこなかった

<時効にならないケース>

  • 当初の借入をまだ返済している
  • 当初の借入を2015年以降に完済した

貸金業者との取引には返済のほか、「新たな借入」や「新たな借入に対する返済」も含まれます。10年以上前に完済したとしても、利用状況によっては過払い金請求をする権利が維持されます。

時効について、詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。

信用情報に影響がでる可能性がある

過払い金よりも残債(借金の残り額)のほうが大きいと、過払い金請求は債務整理の手続きとみなされます。つまり、信用情報機関に事故情報として登録される可能性があるため、事前に借入状況を確認することが重要です。

信用情報機関に債務整理の記録が残ると、原則5年間はその情報が消えません。クレジットカードの発行や新たな借入にも影響がでるため、「過払い金で残債を完済できるか?」は必ず確認しておきましょう。

過払い金請求は専門家へ依頼した方がいい?

過払い金請求は、債務者自身で行うことも可能です。しかし、資料集めや貸金業者との交渉、決裂した場合の訴訟手続きなどが必要になるため、個人での対処が難しい場合もあります。

結論から言うと、基本的には司法書士などの専門家に任せることが望ましいでしょう。ここからは、過払い金請求を専門家に依頼すべき3つの理由をご紹介します。

手続きが複雑で面倒くさい

過払い金請求を行うには、明確な取引履歴をもとにした「引き直し計算」が必要になります。引き直し計算とは、法的な上限金利から払い過ぎた利息を差し引きし、実際の過払い金を算出することです。

過払い金を計算したら、必要事項を記入した「過払い金返還請求書」を貸金業者に送付し、ご自身で返還交渉をしなければなりません。交渉が決裂したときの訴訟まで含めると、全体の手続きは非常に複雑で、場合によっては専門知識も求められます。

過払い金が返還されるまで時間がかかる

通常、過払い金が返還されるまでには最短でも3ヵ月ほどかかります。訴訟が必要になると、裁判所の判決がでるまでに半年~1年程度は要するため、自力では精神的な負担が大きいかもしれません。

専門家に依頼するケースでは、取引履歴の取得から貸金業者との交渉まで、ほとんどの工程を代行してもらえます。裁判についても書類の準備や出廷を任せられるので、日常生活への支障を防げるでしょう。

取り返せる可能性が低くなることもある

取り返す過払い金を増やす意味でも、専門家への依頼は重要です。交渉相手が専門家ではないことがわかると、貸金業者は不利な条件を押しつけてくるかもしれません。

訴訟に発展した場合は、さらにハイレベルな専門知識や交渉力が求められます。交渉や裁判に失敗すると、過払い金自体を取り返せなくなる可能性もあるので、専門家に依頼する方法が無難でしょう。

まずは中央事務所へご相談を

過払い金でお悩みの方は、90人以上の司法書士(2025年3月時点)が在籍する「中央事務所」にぜひご相談ください。

中央事務所は全国に展開する司法書士事務所です。中央事務所には、数十万件におよぶ過払い金請求や多重債務問題の実績があり、さまざまな角度から相談者様をサポートしております。

ご相談や着手にあたって、初期費用がかかることは一切ありません。

さらに、完全成功報酬制を採用しているため、万が一過払い金を受けとれなかった場合は、費用を無料とさせていただきます。

<中央事務所の強み>
・相談料や着手金などの初期費用が一切なし
・完全成功報酬制を採用・確かな実績と技術で、正確な引き直し計算を実現
・交渉や裁判で妥協しない粘り強さ
・日本全国かつ年中無休対応

いきなりのご依頼が不安な方に向けては、

最短1分で完了する「過払い金無料確認(電話またはメール)」もご用意しております。

外部への秘密厳守を徹底しておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。

本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎

中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

伊藤 竜郎
上へ戻る