住宅ローンの返済中に債務整理はできる?住宅への影響や注意点を解説

目次

「住宅ローンの返済が苦しい…」「カードローンの支払いが重なってもう限界」

そんな悩みを抱える方の中には、「債務整理をしたら家はどうなるの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

実際、収入減や物価高の影響で住宅ローンとその他の借金の返済を両立できず、債務整理を検討するケースは年々増加しています。

しかし、債務整理には種類があり、方法によっては家を手放さずに借金を整理することも可能です。

本記事では、「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの債務整理の特徴と、住宅への影響をわかりやすく解説します。

さらに、状況に応じた最適な選択肢や注意点、よくある質問にも丁寧に答えていきます。

「家を守りたい」「家族に迷惑をかけたくない」

そんな方にこそ知ってほしい、住宅ローンと債務整理のリアルをお伝えします。

まずは正しい知識を得て、後悔しない判断を下しましょう。

住宅ローン返済中に債務整理を考える人が増えている理由

近年、住宅ローンを抱えたまま債務整理を検討する人が増えています。

その背景には、コロナ禍以降の収入減少や物価高、生活費の増加など、さまざまな社会的要因があります。

ローン返済が家計に重くのしかかり、他の借金と合わせて返済困難に陥るケースも少なくありません。

「住宅ローンがある状態でも債務整理できるのか?」

「家を手放さずに済む方法はあるのか?」といった不安の声に応えるためにも、まずはその理由や状況を整理しておきましょう。

収入減や物価高で住宅ローンが重荷に

会社の業績悪化による給与減やボーナスのカット、さらには物価上昇による生活費の増加により、住宅ローンの返済が以前よりも厳しくなったという家庭が急増しています。

特に、固定費である住宅ローンは金額も大きいため、少しの収入変動でも家計への影響が大きくなります。

さらに、変動金利でローンを組んでいた場合、利上げによって毎月の返済額が増えることもあり、「将来的に払いきれなくなるのでは」と不安を抱える方が多くなっています。

カードローンや他の借金が膨らんで返済困難に

住宅ローンに加え、カードローンやキャッシング、リボ払いなどを重ねた結果、返済が困難になったというケースも少なくありません。

家計をやりくりするための一時的な借り入れが、いつの間にか借金総額を増やしてしまい、雪だるま式に膨らんでしまうのです。

このような場合、住宅ローンは滞納していなくても、他の借金が理由で、債務整理を検討せざるを得ない状況になります。

家を手放さずに債務整理できるか不安

「債務整理」と聞くと、「家を手放すしかない」と思い込んでいる人も多いのですが、実は手続きの種類によっては住宅を残したまま借金を整理することも可能です。

例えば「任意整理」では住宅ローンに手をつけずに他の借金だけを整理することができ、「個人再生」では特定の条件を満たせば住宅を守ることができる「住宅ローン特則」の適用も可能です。

そのため、「今の生活を維持したまま借金を減らす方法がないか」と考え、早い段階で相談に来る方が増えているのです。

家を失わずに済む道があることを知り、最適な方法を選ぶことが重要です。

債務整理の3つの種類と住宅への影響

債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの主な手続きがあり、それぞれ住宅への影響が異なります。

持ち家を守りたい場合は、どの方法を選ぶかが非常に重要になります。

以下で、それぞれの特徴と住宅への影響について解説します。

任意整理|住宅ローンには手をつけず他の借金を整理

任意整理は、裁判所を通さずに借金の利息や返済計画を見直す手続きです。

対象となるのは主に消費者金融やクレジットカード会社などからの借入れであり、住宅ローンを整理対象から外すことが可能です。

そのため、住宅ローンをそのまま支払い続ける意思がある場合は、任意整理で家を守りながら、他の借金だけを減額・再構築することができます。

また、任意整理では財産の処分が不要なため、持ち家や車などを手放す必要は基本的にありません。

ただし、任意整理では借金の元金自体は減らず、あくまで将来利息のカットや返済期間の延長といった調整が中心となります。

そのため、借金総額が大きすぎる場合や、収入が著しく減っている場合には適さないこともあります。

参考記事

個人再生|一定の条件下で住宅を残せる手続き

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額する手続きで、住宅ローンがある人にとって非常に有効な選択肢です。

特に注目すべきなのが、「住宅ローン特則」と呼ばれる制度です。

この特則を利用することで、住宅ローンは従来通り返済を続けながら、それ以外の借金を最大で5分の1程度にまで減額することが可能になります。

家を残しながら借金を大幅に減額できる代表的な法的手段が個人再生です。

ただし、住宅ローン特則を使うには以下のような条件があります。

・住宅ローンがある物件が自宅として使われていること

・保証人がいない、または保証人との協議が取れていること

・他の担保権(住宅以外のローン担保)が設定されていないこと など

これらを満たしていれば、借金の大幅減額と住宅の維持を両立できる非常にメリットの大きい方法です。

自己破産|原則として住宅を失うが例外もある?

自己破産は、支払い不能状態にある人が借金の支払い義務を免除してもらう法的手続きです。

その代わり、原則として持ち家や車などの資産は処分され、債権者への配当に充てられます。

したがって、住宅ローンが残っている家を持っている場合、その家は競売にかけられ、手放すことになるのが基本です。

ただし、次のような例外的ケースでは、家を手放さずに済む可能性もあります。

・住宅ローンの返済が終了しており、住宅に大きな価値がない場合

・親族名義で所有している住宅に住んでいる場合(本人名義ではない)

ただしこれらはあくまで特殊な事例であり、基本的には「住宅を失う代わりにすべての借金をゼロにする」手続きだと理解しておくべきです。

状況別|住宅ローンがある場合の債務整理の選び方

住宅ローンを抱えたまま借金の返済に苦しんでいる場合、「どの債務整理を選ぶか」で生活の再建や住宅の維持に大きな差が出ます。

ここでは、状況ごとに最適な債務整理の方法を解説します。

住宅ローン以外の借金だけを整理したい場合(任意整理)

「住宅ローンの返済は問題なく続けられるが、カードローンやキャッシングなどの返済が難しい」という場合には、任意整理が最適です。

任意整理では、どの借金を整理するかを自分で選べるため、住宅ローンを除いた借金だけを交渉で減額・分割することができます。

この方法のメリットは、持ち家を守りながら、生活の立て直しが図れる点です。

借金の利息をカットしたり、返済期間を延長したりすることで、月々の返済負担を大幅に軽減できます。

ただし、任意整理では借金の元金が減ることは少なく、総額が大きすぎる場合には返済が難しいこともあります。

また、任意整理をすると一定期間、信用情報に「事故情報(いわゆるブラックリスト)」として記録されます。

その間は、新たな借入やクレジットカードの利用が制限される点にも注意が必要です。

住宅ローンの返済は継続しつつ借金も減らしたい場合(個人再生)

「住宅ローンの返済も継続したいが、他の借金が膨らみすぎて返済が難しい」というケースでは、個人再生の住宅ローン特則を利用する方法が非常に有効です。

個人再生は、裁判所を通じて借金を原則5分の1程度に減額できる制度です。

住宅ローンに関しては従来通り返済を続けるという特別なルール(住宅資金特別条項)を使うことで、家を手放さずに借金を整理できます。

この手続きには一定の条件がありますが、条件を満たせば住宅を維持しながら生活再建を目指せる数少ない法的手段です。

特に、給与収入が安定しており、住宅ローン以外の借入が多い方に向いています。

どうしても家を維持できないときの選択肢(自己破産+任意売却)

「収入が著しく減少し、住宅ローンの返済も厳しい」

「他の借金も多く、全体的な返済が不可能」

こうした場合は、自己破産と任意売却の組み合わせが現実的な選択肢となります。

自己破産は、裁判所を通じて借金を帳消しにする制度ですが、住宅ローン付きの持ち家は基本的に手放す必要があります。

ただし、競売ではなく任意売却(債権者の同意を得て通常の不動産取引として売却)を選べば、引っ越し時期の調整や残債の圧縮が可能になるケースもあります。

自己破産を選ぶことは精神的なハードルがあるかもしれませんが、ゼロから生活を立て直す手段としては非常に強力です。

専門家と連携しながら任意売却を進めることで、少しでも有利な条件での再出発が望めます。

家を守りたい人が知っておくべき注意点

住宅ローンを抱えながら債務整理を考える際、「家を守れるかどうか」は最も大きな関心ごとの一つです。

ですが、誤った判断や対応の遅れが、家を失う原因になることもあります。

ここでは、住宅を守りたいと考える方に向けて、知っておくべき注意点を解説します。

住宅ローンの滞納が始まる前に行動する重要性

住宅ローンを滞納してしまうと、金融機関は保証会社への代位弁済を請求し、その後競売手続きに進むリスクが一気に高まります。

滞納が長引けば長引くほど、取り戻しが難しくなるため、「払えなくなってから考える」では遅すぎます。

大切なのは、滞納が始まる前に専門家へ相談することです。

任意整理や個人再生といった債務整理手続きは、住宅ローンの支払いが継続できる前提で進めるものもあるため、早めの判断が家を守るカギになります。

「毎月の返済が苦しくなってきた」「カードローンの返済に追われて住宅ローンが後回しになっている」といった段階で、一度専門家に相談しましょう。

保証会社や競売のリスクを理解する

住宅ローンを組む際、多くの場合は保証会社がついています。

滞納が数ヶ月続くと、銀行などの金融機関は保証会社に「代位弁済」を請求し、以後は保証会社があなたに対して返済を求めてくることになります。

この流れが始まると、保証会社は速やかに競売の申し立てを行い、持ち家を売却する手続きに入るのが一般的です。

競売にかかると市場価格よりも安く売られてしまい、残債が多く残るうえ、精神的な負担も非常に大きくなります。

だからこそ、「競売になる前」に任意売却や債務整理などの対応を取ることが重要です。

早い段階であればあるほど、選択肢は多く、より有利な解決策が選べます。

家族名義の住宅でも影響はある?共有名義の場合の注意点

「住宅は配偶者名義だから関係ない」と思っている方も多いですが、注意が必要です。

たとえば、住宅が夫婦の共有名義だった場合、どちらかが債務整理を行うと、その影響が住宅全体に及ぶ可能性があります。

また、債務整理により信用情報にキズがつくと、将来の住宅ローン借り換えやリフォームローンの審査などにも支障が出ることがあります。

共有名義である以上、どちらか一方の信用状態が悪くなると、住宅全体の資金計画に影響を及ぼすのです。

さらに、自己破産をする際は、名義の持分があればその分が「財産」として見なされ、処分の対象になる可能性もあるため、共有名義の住宅を持っている場合は、特に慎重な判断が求められます。

債務整理と住宅に関するよくある質問

住宅ローンがある状態での債務整理には、多くの不安や疑問がつきものです。

ここでは、実際に多く寄せられる質問をもとに、重要なポイントをわかりやすく解説します。

家を売らずに債務整理した人の成功事例は?

債務整理をしても、すべての人が家を手放すわけではありません。

実際、個人再生や任意整理を活用し、住宅を維持したまま借金問題を解決した成功例は多数存在します。

たとえば、ある方は住宅ローン以外の借金が500万円あり、月々の返済が限界に達していました。

しかし、個人再生手続きで借金を100万円程度に圧縮し、住宅ローンはそのまま支払いを継続することで、持ち家を守ることに成功しました。

また、任意整理を選んだ別のケースでは、住宅ローンを整理の対象から外し、他の借金だけを分割で返済することで生活再建に成功しています。

ポイントは、「住宅ローンをきちんと返済できるか」「他の借金の整理が可能か」を判断し、適切な手続きを選択することです。

家を残したいという希望がある場合は、あきらめる前にまず専門家に相談することをおすすめします。

住宅ローン特則って何?個人再生で使えるの?

住宅ローン特則とは、個人再生手続きの中で「住宅を残すための特別ルール」として設けられている制度です。

通常の債務整理ではすべての借金を対象にしますが、この特則を使えば、住宅ローンだけはそのまま払い続けることが可能になります。

住宅ローン特則を使うことで、たとえば以下のような対応ができます。

・住宅ローン以外の借金を大幅に圧縮(5分の1程度に)

・家を売却せずにすむ

・安定収入があれば就業制限なしで利用可能

ただし、利用するにはいくつかの条件があります。

たとえば、その住宅に実際に住んでいること(自己居住)や、住宅ローンが担保付きであることなどが要件になります。

この制度の活用可否はケースによるため、「住宅ローン特則が使えるのか知りたい」という方は、早めに専門家の診断を受けることが大切です。

家族に知られずに手続きできる?

債務整理を検討する人の中には、「家族にバレずにできるか」が不安な方も少なくありません。

結論から言うと、任意整理であれば家族に知られずに手続きできる可能性が高いです。

任意整理は裁判所を通さずに、借金の減額や利息カットなどを交渉する手続きのため、書類が家に届くことがほとんどありません。

連絡先も本人の携帯電話やメールアドレスに指定できます。

一方、個人再生や自己破産は裁判所を通すため、官報掲載や書類の送付により、家族に知られてしまうおそれもあります。

また、住宅ローンが家族名義や共有名義の場合、手続きの影響が家族に及ぶ可能性もあるため注意が必要です。

「どうしても家族に知られたくない」という場合は、事前に事務所に事情を伝え、配慮した手続きを依頼することが非常に重要です。

相談は無料でできるところも多く、気軽にアドバイスを受けられます。

まとめ|住宅ローン返済中の債務整理は「早めの判断」がカギ

住宅ローンを抱えたままの債務整理は、対応の遅れが大きなリスクに直結します。

「家を残したい」「生活を立て直したい」と考えるなら、早めの情報収集と判断が何より重要です。

放置すればするほど選択肢が減り、競売や任意売却といった望まぬ結果を招くおそれもあります。

持ち家を守るか手放すか、後悔しない選択を

住宅を守るためには、「どの債務整理手続きが適しているか」「住宅ローンの返済が継続可能か」など、現状の正確な把握が不可欠です。

ときには家を手放す決断が将来の生活再建につながるケースもあり、「持ち家を維持すること」が唯一の正解ではありません。

大切なのは、自分と家族の将来を見据えた上で、最も後悔のない選択をすることです。

そのためにも、感情に流されず、専門的な視点を取り入れて判断しましょう。

不安があるなら無料相談を活用しよう

「住宅ローンを払いつつ、ほかの借金を減らせる?」

「個人再生や任意整理、どれを選ぶべき?」

そんな疑問や不安をひとりで抱え込む必要はありません。

債務整理に詳しい専門家に相談すれば、状況に応じた現実的な選択肢を提案してもらえます。

ほとんどの事務所が、無料相談や匿名相談を用意しており、気軽に第一歩を踏み出せる体制が整っています。

困ったときは中央事務所に相談を!

住宅ローンがある状態での債務整理に不安を感じているなら、実績豊富な中央事務所への相談がおすすめです。

中央事務所では、住宅ローンとその他の借金とのバランスを見ながら、最適な債務整理手続きの選定や返済計画の立案をサポートしています。

・持ち家を守りながら借金を減らしたい

・住宅ローン特則を使えるか知りたい

・家族に知られずに手続きしたい

このようなご相談にも丁寧に対応いたします。

少しでも迷いや不安がある方は、ぜひ一度【中央事務所の無料相談】をご活用ください。

早めの一歩が、安心できる未来への第一歩になります。

本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎

中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

伊藤 竜郎

上へ戻る