債務整理(借金整理)をするとブラックリストに載ってしまい、登録されている期間はクレジットカードの利用やお借り入れができなくなります。
「どのくらいの期間、クレジットカードが使えなくなるのだろう・・・。」「もうずっと借り入れができないのか?」と不安になる方もいらっしゃると思います。
この記事では、ブラックリストとは何かということからその期間やどのような影響があるのか、そしてブラックリスト登録されているかどうか確認する方法などについて解説します。
ブラックリストとは?
「ブラックリストに載る」という言い方をよく耳にしますが、これは正確な表現ではありません。実際には、ブラックリストという名簿は存在しないからです。
ブラックリストに載るというのは、信用情報の管理機関で扱う個人ごとの信用情報に、事故情報が登録されている状態を指します。
信用情報とは、金融機関と消費者の間で行われた、クレジットやローンなどの取引についての記録です。具体的には、クレジットカードやローンの申し込みをしたとき、金融機関は信用情報のデータベースに消費者の情報を登録します。
登録されたデータベースには、その後取引が行われるたびに情報が追加されていきます。お借り入れの残高や返済状況、延滞の有無などが、データベースに記録されていくのです。
事故情報とは?
このように、信用取引が行われた情報が記録されていきますが、途中で返済の遅延や滞納が発生すると、そのことが「事故情報」として登録されてしまいます。
信用情報は、個人の返済能力や信用度を判断する基準の一つになるため、そこに事故情報が登録されていると、当然審査の際には不利になるというわけです。また、債務整理を行なったこと自体も、事故情報として登録されます。(過払い金の返還請求については、基本的には登録されません。)
ブラックリストに登録される期間は?
ブラックリストに登録されてしまっても、その状態が一生続くわけではありません。とは言え、どのくらいの期間登録されるのか気になるでしょう。登録期間は、どの債務整理手続きを行ったかによって異なります。
ブラックリストの登録期間は手続によって異なる
下記の表はおおよその目安です。基本的には手続きを依頼した時から、ブラックリストに載ると考えておいたほうが良いでしょう。
また、登録されている期間は、信用情報を管理している機関によっても異なります。ご自身の確実な状況をお知りになりたい場合は、各々の機関に開示請求することで確認することができます。
手続き | 期間 |
---|---|
任意整理 | 通知を受け取ったタイミング〜契約終了・完済後約5年以内 (信用情報の管理機関によっては登録されないことも) |
個人再生 | 再生手続の開始決定日から約5〜10年以内(信用情報の管理機関による) |
自己破産 | 免責許可が確定した日から約5〜10年以内(信用情報の管理機関による) |
ブラックリストに載るとどうなる?
債務整理を行ってブラックリストに載ることになった場合、主に下記のことができなくなります。不都合なこともありますが、別の方法で対処できることも多いので、その期間だけのことと割り切って乗り切りましょう。
また、「ブラックリストから解除することができますよ。」という広告を、見かけることがあるかもしれません。このような勧誘についても解説します。
新たなお借り入れができない・クレジットカードの利用や作成ができない
ブラックリストに載っている期間は、新たなお借り入れはできなくなります。申し込みをしても、審査が通らないからです。また、原則としてクレジットカードの利用や更新・作成もできなくなります。債務整理を専門家に依頼して、お借入先が受任通知を受け取ったら、すぐにクレジットカードは強制的に解約されると考えておきましょう。
任意整理の場合、対象でないカードは使用できることもありますが、中間審査の際に利用できなくなる可能性があります。その場合は、デビッドカードや、家族カード(本人以外の家族が主契約者となる)を使用することで不便を感じることは少なくなるでしょう。
賃貸住宅の契約に支障がある可能性も
ブラックリストに載っている=賃貸住宅の契約ができない、というわけではありません。しかし、住宅を借りる際、信販系の会社が家賃保証会社となっている場合は、入居審査で信用情報を確認される可能性があります。そのため、ブラックリスト登録期間中に住宅を借りる場合は、事前に家賃保証会社について確認しておきましょう。
奨学金の保証人になる・携帯電話の分割払いをすることはできない
ブラックリストに載っている期間は、保証人になることができません。近年お子さんの奨学金を申し込むケースは増えており、保証人になれないと困る方もいらっしゃるでしょう。中には、日本学生支援機構のように、機関保証制度を設けている場合があります。
機関保証制度とは、支援機構が指定する保証機関の連帯保証を受ける制度で、保証機関に保証料を支払う必要がありますが、保証人は不要です。
また、携帯電話の購入時に、分割払いをすることはできません。現在では、携帯端末の料金は、毎月の利用料金と一緒に分割して支払うのが一般的です。しかし、この端末の分割払いはクレジット契約となるため、審査を通過することができません。
そうは言っても、新しい端末が必要になることもあります。そんな場合は、一括払いで購入する・中古品を購入する・家族の名義で購入するなどの方法があります。
ブラックリストから解除できるという甘い言葉に注意
「お金を支払えば、ブラックリストに載っている名前を削除できます。」という広告や誘いの通知がくる場合がありますが、これらはすべて詐欺広告です。
一旦登録された事故情報は、それが誤りであったと判明したケースを除いて、定められた期間が終わるまで削除されることはありません。まして、お金を支払えば情報を削除できるということは、絶対にありません。
信用情報を管理する3つの機関
下記が、信用情報を管理している機関です。それぞれに主に取り扱う情報が異なりますが、一定の事故情報については、これら3つの機関とその加盟会員(金融機関)の中で共有されていることがあります。
信用情報の管理機関 | 取り扱い情報 | サイトURL |
---|---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジットカード・携帯料金などの情報 | https://www.cic.co.jp/ |
日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融の情報など(カードローンの履歴等) | https://www.jicc.co.jp/ |
全国銀行個人信用情報センター | 銀行の情報など(銀行ローン全般の履歴等) | https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/ |
ブラックリストに登録されているかどうか確認する方法
ご自身がブラックリストに載っているかどうかは、各々の機関へ情報の開示請求をすることで確認ができます。
窓口、インターネット、郵送の3つの方法がありますが、すべての機関で、ご自身の希望の方法で請求できるわけではありません。
例えば、請求はインターネットで行えても、情報の開示は郵送のみとなっている場合もあります。一般的な開示請求の流れを、以下で簡単に解説します。
・インターネットでの開示請求
- 1. 開示請求する信用情報のサイトにアクセス、またはアプリをダウンロードする。
- 2. この後の手順については、請求先によって異なるため、指示に従って行いましょう。具体的にはクレジットカードの確認や、番号の発行・取得・入力、内容の入力、本人確認書類などの送信があります。
- 3. 開示情報が表示される、または郵送される。
・郵送での開示請求
- 1. 信用情報開示申込書をダウンロードして印刷し、必要事項を記入する。
- 2. 開示手数料を、定額小為替などで用意する。
- 3. 本人確認書類などの必要書類を用意する。
- 4. 申込書と必要書類、手数料を同封して、郵送する。
- 5. 開示情報が郵送される。
・窓口での開示請求
- 1. 本人確認書類などの必要書類を用意する。
- 2. 手数料や本人確認書類などの必要書類を持参して、窓口へ行く。
- 3. 受付窓口で本人確認書類を提示する。
- 4. 窓口で開示報告書を受け取る。
信用情報が削除されても金融機関が社内ブラック情報を記録しているケースもある
ブラックリストに載っていても、所定の年数が経過すれば、事故情報は削除されることをお話ししました。そして、事故情報が削除されれば、再びお借り入れしたり、カードを作ったりすることが可能になります。
しかし中には、事故情報が削除されているにも関わらず、審査落ちしてしまうケースもあります。それはなぜなのか?
理由の一つに、社内ブラックということがあります。各金融機関では、信用情報を管理している機関への報告とは別に、自社内部でこれまでの情報を保有しています。お借入金の延滞情報やクレーム情報など、自社の基準の中で信用情報を残していることがあるのです。信用情報に事故情報が載っていなくても審査に落ちる原因が、この社内ブラックであるケースがあります。
各金融機関が保有している社内の信用情報については、どうすることもできません。社内ブラックが疑われる場合は、これまで利用したことのない金融機関に申し込むなどの方法をとりましょう。
ブラックリスト入りしたとしても債務整理をするメリット
ブラックリスト入りしてしまうと、カードやローンの利用ができなくなるなど不便なことがたくさんあります。しかし一つ一つ対策をすることで、不便を最小限にしてブラック期間を乗り切ることができます。
ブラック期間の不便さを心配して、債務整理を躊躇する方もいらっしゃいますが、借金の返済を延滞してしまうことで信用情報に事故記録が登録され、結局ブラック状態となってしまう可能性もあります。
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本記事の監修/
司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤竜郎
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投稿日:2023年6月30日