過払い金詐欺は、弁護士・司法書士を名乗る者、あるいは、悪徳弁護士・司法書士による犯罪です。
加害者は過払い金の請求を行いたい方から情報を取得し、口座からお金を引き出したり、お金を報酬や預かるなどと称し、だまし取ったりします。
過払い金が返ってくるか、あるいは返ってこないか、見通しがつきにくい心理につけこんで、もっともらしい肩書を名乗る、あるいは、信用させておいて裏切るなど、非常に悪質な犯罪です。
詐欺の手法を知っておくこと・被害のあった事例を知っておくことが予防に有効ですので、手法と事例をご紹介すると同時に、行っておくと有効な予防策についてご説明します。
過払い金詐欺の手法
過払い金詐欺は、法律の専門家以外の者が加害者になるケースと、弁護士・司法書士が加害者になるケースがあります。
法律の専門家以外は、あたかも本物の法律専門家であるかのように名乗ったり、その他もっともらしい肩書を名乗ったりします。
これに対して、弁護士・司法書士が加害者になるケースでは、通常の事件の処理を装って、何もせずにお金を持ち逃げしてしまう、といったようにその立場を悪用する手口を用いています。
手法の例:弁護士・司法書士をかたる者等による詐欺
弁護士や司法書士は国家資格であり、これらの資格がある者でないと名乗ることはできません。
加害者は弁護士・司法書士を名乗り、あるいはNGO職員・会計士・裁判所職員などを名乗って専門家であるようにふるまい、被害者からお金をだまし取ります。
これらの肩書の中には、そもそも法律の専門家でない肩書の者がいますが、過払い金請求を扱えるのは弁護士と司法書士(認定司法書士に限ります)のみです。
手法の例:暗証番号を教えたら、残高が0に
「あなたの過払い金を専用の口座から支払いますので、口座番号と、暗証番号を教えてください」
実際に、教えたところ、預金を0に引き出されていたという被害も発生しています。
現在警察や、貸金業者で注意喚起している還付金詐欺と類似した手口ですが、どんな場合であっても、絶対に暗証番号は他人に教えてはいけないものです。
過払い金に関しても、暗証番号を聞こうとしている者がいたら、詐欺を働こうとしていると疑うことが重要です。
弁護士・司法書士による詐欺
法律の専門家である弁護士・司法書士の資格を悪用して、悪質な詐欺を行う加害者もいます。
弁護士・司法書士の中には、過払い金詐欺のために逮捕された者、弁護士会や司法書士会の懲戒処分にかかった者もいます。
過払い金の請求や、借金の整理を行うことができるのは、弁護士・司法書士のみですが、ポイントは、肩書のみで信用せず、専門的知見と実績のある事務所を選ぶことです。
手法の例:返還請求を進めない・着手金だけが目当て
弁護士・司法書士が着手金だけ支払わせ、あとは請求を放置し、着手金をだまし取る被害があります。
事務所に赴いた被害者から、相談を受けて、何食わぬ顔をして手続きを全く進めなかったケース、あるいは少しだけ手続きをしておけば詐欺と非難されにくいことを利用し、手続きをわずかに進めてあとは放置するケースまであります。
放置の末に、過払い金を請求する権利が10年の消滅時効にかかってしまうことさえもあります。
これらの行為は被害者の権利をないがしろにし、専門家への社会的信頼を裏切り、大変に悪質です。
優良な事務所を選ぶことは重要な詐欺対策の一つですが、着手金の詐取に関しては、例えば着手金0の事務所に依頼すると、被害を予防できます。
中央事務所は、過払い金の案件を多く処理したことがある実績の豊富な事務所ですが、相談料と着手金は0としています。
手法の例:依頼者に返ってきた過払い金を戻さず着服
過払い金が返ってこなかったといいながら、実は弁護士や司法書士は貸金業者と交渉し、返金を受けていることがあります。
そして、返ってきたお金を着服してしまうのです。
返金の方法・額について、きちんと和解契約を締結し、書面にしておくことや、返金額を書面で確認することでこうした被害を防ぐことができます。
委任契約や、和解契約などの書面を、依頼者に見せずに手続きを進める弁護士・司法書士は要注意です。委任契約はそもそも、依頼者と弁護士・司法書士の間で締結していないと、依頼すらできないはずです。
口頭の契約は、後からすればないのと同じ、ということにもなりかねませんから、書面にしておきましょう。
そのため、特に委任契約については、締結について説明しない・いつまでも書面が出てこない、といった不審な点が生じた場合、依頼はしないようにして、早めに事務所をスイッチしましょう。
過払い金詐欺を防ぐ対策とは?
過払い金詐欺の手法は、お金を返してもらいたい人の心理に漬け込むものが見られます。
今手元になく、多額のお金のことを考えると、心理が浮ついてしまい、判断がいつもと違ってしまうこと、あるいは不安を感じることもよくあります。
そんな時、何かとお金にまつわるトラブルは多いものだと思って、慎重に、かつ冷静に判断することが大事です。
ところで、お金をめぐるトラブルの多くは、正しい知識を持つと防ぐことができますが、過払い金詐欺も同様です。そこで、次に掲げることを頭に入れて置き、ぜひ詐欺を防ぎましょう。
対策:弁護士・司法書士の資格の確認・有資格者でないと過払い金の取り扱いはできません
過払い金請求を扱うには法律の専門家の資格が必要です。
弁護士・司法書士以外の肩書を使用している場合は(NPO/会計士/裁判所等)即座に「おかしい」と考えるようにしてください。
「NPO法人〇〇の、△△ですが、過払い金の申込はお済でしょうか?もしまだでしたら手続きを代行しますので、XXXXX円を振り込んでください。」
ここで、NPO法人が過払い金の請求を取り扱っている点は、おかしい、と考えてください。
法律上、NPO法人が過払い金の請求を行うことはできませんし、裁判所も同様に、依頼者からの手続きを行える機関ではありません。
また、弁護士・司法書士であれば、日弁連・日本司法書士連合会の規程により、借金の整理に関する案件は対面で対応します。
過払い金と借金の整理を一緒に進める際には、この規程があるので、一部の限られた例外を除き、対面で対応しないといけないのです。
実際に事務所で無料相談ができること、その際におかしな点がないか確認できることは、ニセの弁護士・司法書士に関する被害を防ぐために役に立つことなのです。
なお、全員がサーチに登録しているとは限りませんが、日弁連ひまわりサーチによる、登録弁護士の検索https://www.bengoshikai.jp/、日本司法書士連合会の司法書士検索http://kensaku.shiho-shoshi.or.jp/search/
などで、本当に実在している弁護士か、そうでないかの簡易な検索を行うこともできます。
有資格者(弁護士・認定司法書士)の登録番号と合わせて検索を行うとよいでしょう。
対策:弁護士・司法書士の勧誘は「おかしい」「取り合わない」
また、専門家は勧誘をすることはありません。ご自身から連絡してきた方の相談・依頼に応じます。
「司法書士〇〇事務所です。あなたには、過払い金があるようです。弊事務所で手続きしませんか?」といった勧誘メール・ショートメッセージ・ラインなどで目にする勧誘は、すべて違法である可能性が強いものです。
電話・インターネットだけで話を済まそうとしている兆候にも要注意です。無料相談ができないと、有資格者は借金の整理に関する案件を引き受けられません。
ところで、上の例では司法書士の肩書を使っていますが、「認定司法書士」といって
- 過払い金・借金の整理に関する代理
- 140万円までの上限にかからなければ簡易裁判所での訴訟も可能
と法律上定められている司法書士でないと、案件を取り扱えないことも知っておきましょう。
過払い金に関する問題を依頼できるのは、司法書士では認定司法書士の有資格者のみです。
有資格者が肩書を名乗ることから、肩書をまったく名乗らないのも不審、と思って間違いないでしょう。
対策:絶対に暗証番号・カード・通帳は渡さないで
暗証番号・カード・通帳を他人に渡すことは絶対にやめましょう。
特に暗証番号は、裁判所職員・弁護士・司法書士の専門家・会計士・警察職員でも聞くことはありません。
還付金詐欺の予防策などと同様に、貸金業者に関する重要情報を絶対に他人に渡してはならないことをしっかり守ることは、過払い金詐欺に関しても対策として有効です。
「暗証番号を教えてくれれば、すべて過払い金の返金はお任せいただけます」
暗証番号を他人が聞いてサービスを提供するようなことは一切ありません。
キャッシュカード・クレジットカードなどカードや通帳を渡してしまうことは非常に危険です。知った情報を悪用し、お金を引き出すようなこともあります。気が付いたら口座の残高を0にされてしまった、といったことも実際の被害例として知られています。
対策:弁護士・司法書士には、必ず報告と書面の提示を求めましょう
残念ながら、着手金をもってそのあと行方をくらます、手続きを進めない、あるいは、依頼者の過払い金を渡さず行方不明になる、といった弁護士・司法書士の有資格者もいます。
こうした悪徳弁護士・司法書士の被害にあわないようにするためには、
- 委任契約書を作成し、必ず手元に1部を持っておく
- 業務の進捗状況は必ず報告をもとめて、不明点がないようにする
- 事務職員だけに任せず、必ず有資格者からの説明を聞いておく
- 報酬の相場を知っておき、高すぎるところには依頼しない
といったポイントを守っておくことにしましょう。
対策:過払い金の返還請求は、実績のある専門性の高い事務所に依頼を
過払い金詐欺を防ぐ最も重要な対策は、もしも過払い金の問題があるなら、ご自身で信頼できる専門家を見極めて選び、依頼することです。
- 過払い金案件の実績が少ない・経験不足
- 書面で依頼者に説明をしない
- 有資格者が直接対応しない
- 委任契約を結ばない
- 説明がわかりにくい
これらが当てはまる事務所は、信用できませんので依頼しないほうが無難です。また、ご自身から依頼をしないとそもそもおかしい、ということを知って事務所を選ぶなら、向こうからふいに来た勧誘に騙されてしまう、ということは防げます。
過払い金の請求で悩まれたときは、専門家の力を借りるのが早期解決の近道です。
中央事務所では、過払い金の知識と実績が豊富な専門家が、あなたのお悩みをしっかりとお聞きします。
ご相談時にお話しをよく伺った上で、あなたの状況にあった解決方法をご提案させていただきます。
WEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

投稿日: 2024年6月10日
更新日: 2024年12月9日