自己破産とは、財産、収入が不足し、借金返済の見込みがないことを裁判所に認めてもらい、原則として、法律上、借金の支払義務を免除してもらう手続きです。
借金をした人の財産を債権者に原則すべて分配する一方で、借金の支払義務を免除して、借金をした人の経済的な再建を図ります。
自己破産の際には、過払い金の債権は債権者に分配されるはずですが、あとから過払い金を返してもらえることがわかった場合に、返してもらえるかどうかが問題になります。
過払い金とは?
過払い金は、貸金業者に払いすぎた利息のことです。グレーゾーン金利といって、かつて利息制限法の上限利息を超えた違法な利息が適用されていた借金を返済していた場合に発生します。
過払い金の請求を行うには、グレーゾーン金利が適用されていたことと、消滅時効で請求権が消滅していないことが基本的な条件です。
グレーゾーン金利とは、以下の2つの法律で定められた上限の間にあたる利息のことをいいます。
この利息は、貸金業者からのお借り入れにかつて適用されていたことがあり、現在は違法な利息として扱われています。
グレーゾーン金利と、利息制限法の上限の利息の差額について、過払い金が発生するのです。
- 利息制限法・・・利息の上限は、年15〜20%
- 出資法 ・・・利息の上限は、年29.2%
さらに、過払い金を取り戻せる権利が時効にかかっていないことも条件です。
過払い金を取り戻す権利が時効により消滅するのは次の場合です。
- 借金をしていた人が過払い金を返してもらえる権利を行使できる時(通常は最終返済日)から10年が経過したとき(民法166条2項)
- 返してもらえることを知ったときから5年が経過したとき(民法166条1項)
ただし、2020年4月1日よりも前に完済した借金については、10年の消滅時効が適用されます。
自己破産後の過払い金を返してもらえる条件とは?
自己破産では通常、過払い金も調査にかかるので、自己破産の際に過払い金の返金が終わっていることが多いとされます。
そのため、もともと件数として多くはありませんが、自己破産後の過払い金の申込が認められる可能性があるのは、以下の条件を満たしていることとされています。
- 過払い金の調査をせずに、破産を申し立てたこと
- 破産が同時廃止で終了したこと
- 支払停止から10年経っていないこと
上記の3つの条件を満たしているから、必ず返してもらえるのか、というとそうではありません。これらの3つの条件は「前提条件」なので、状況によっては返してもらえないことがあります。そこで、条件をもう少し詳しく説明します。
支払停止から10年たっていないこと
支払停止は、債権者に支払いができないことがわかるような行為をした時点です。例えば閉店の張り紙をする・債権者に支払えないことを通知する、などのケースで支払停止が認められます。
支払停止から10年たっていないことは、過払い金の申込の消滅時効に関係します。自己破産をした場合、過払い金の返還請求を行使できるとき、つまり消滅時効がスタートする時点は支払停止の時とされているためです。
注意したい点は、支払停止とはいつなのか、一律にいつ、ということは難しいと考えられますので、時効がいつからスタートするのかは過払い金に強い法律専門家による判断が必要であることです。
条件を満たしているか、無料確認を利用してみよう
自己破産のあと、過払い金は、返金の可能性はあるものの、多くの場合は、過払い金の調査が入ることが通常なので、限られた場合といえるでしょう。
しかし、あとから過払い金の返金の可能性があることが分かった場合、実際に取り戻せるか、自身で判断するのは難しく、債権者の行動や、時効の成立の時期など、過払い金に強い法律の専門家に依頼したほうがよいでしょう。
そこでおすすめしたいのが、過払い金の無料確認です。
無料確認では、過払い金が取り戻せるかどうか、いくら返金されるか、確認できます。
また、無料確認は、過払い金と借金の整理に強い中央事務所が提供していますので、破産手続の経緯を踏まえて適切に診断を行ってもらえます。
これから自己破産?過払い金も気になるときの正しい対応法とは?
借金の返済が苦しい場合に、自己破産?と心配なら、過払い金で借金が減らせる場合もあるので、落ち着いて考えてみることをおすすめします。
特に、長い間、借りている場合は長期間にわたり利息が発生し、多額の過払い金が発生している可能性があります。
自己破産の後の過払い金の申込は難しいことも踏まえて、事前によく検討しておくことがポイントです。
過払い金が返金されると、借金は少なくすることができる
過払い金を借金の整理と同時に解決すると、メリットがあります。
多額の過払い金が発生している場合には、返してもらって、借金の支払いに充てると場合によっては借金がなくなる・きわめて少額になることもあるのです。
また、過払い金の額を正確に計算しどれくらい返ってくるか、見通しをつけながら借金の整理をしたほうが借金の整理の手段を正しく選ぶことができますし、また、場合によっては解決までの時間が早くなると考えられます。
借金を少なくして自己破産以外の借金整理方法を選ぶことも可能
自己破産は、ご紹介した通り、原則としてすべての財産を債権者に分配する手続きですので、例えば家や車を手放すことが必要になることもあるなど、生活に大きな影響が生じます。
過払い金によって、借金を少なくして、自己破産以外の借金の整理方法を選んだ方が、すべての財産を失わなくて済むかもしれません。
借金の整理の方法には、主な方法として任意整理・民事再生があり、自己破産は最後の選択肢、とされています。
3つの方法は、次の通りにまとめられますが、任意整理・民事再生のほうが生活には影響が少ないとされているのです。
任意整理・・・個別の借金について貸金業者との交渉により、将来の利息や遅延損害金をカット、借金を減らす手続き。
民事再生・・・裁判所で原則すべての借金を整理する手続きで、財産を分配し、債権者に対して借金を減額したうえで返済する。ただし、住宅ローン特例を適用することにより、持ち家を失わなくて済むことがある。
自己破産・・・裁判所ですべての借金を整理する。原則としてすべての財産を債権者に分配するかわりに、借金の支払いを免除してもらう。
借金と過払い金の問題を抱えたら?まずは無料確認を利用してみよう
借金のために貸金業者による電話や手紙での督促に悩まされている・家族に心配を掛けたくない、など悩みがあるなら、過払い金と借金の整理に強い事務所を頼ってみてください。
借金の整理と、過払い金の手続きを並行して進めることもできます。
特に過払い金の金額は、過払い金を専門としている弁護士や司法書士に間違いのないよう正確に計算してもらうと返金の手続きはスムーズです。
過払い金の金額が正確ではないと、貸金業者が返金に応じないこともあります。
こうして上手に過払い金を返してもらえれば、借金の悩みは減らすことができるのです。
事務所に依頼すると督促が止まる?
過払い金と借金の整理に強い事務所に依頼すると、督促で悩まされている場合にも止めることができます。
事務所に依頼すると受任通知を発送しますが、受任通知が行われると法律上取り立てを止めることとされているからです。
督促で悩んでいる場合は、1人で対処しているよりも、督促をまずは止めて、落ち着いて過払い金・借金の整理を考えた方が精神的な負担も軽くなります。
事務所の選び方とは?
司法書士や、弁護士などの事務所を選ぶときには、法律専門家だからといって過払い金と借金の整理に強いとは限らない点に注意しておきましょう。
司法書士や、弁護士は、それぞれ専門分野が分かれており、例えば離婚や土地の登記を専門とする司法書士や、弁護士に依頼しても、必ずしも過払い金や借金整理の案件を適切に解決できるとは限らないからです。
自己破産のあと後に過払い金が取り戻せるのか?、これから自己破産を考える場合にも、過払い金の実績が豊富で、借金の整理も扱っている事務所を選ぶようにしましょう。
過払い金・借金の整理に強い事務所を選べば相談は無料でお願いできる事務所も多いのです。
まとめ:自己破産後の過払い金を請求できるケースは限られるので、事前に過払い金を使って借金を整理するのがおすすめ
自己破産の後の過払い金の申込には条件があり、条件に当てはまる場合は少なくなります。
自己破産の前にできれば過払い金について相談しておき、借金の整理を上手にすすめておきましょう。
中央事務所の過払い金の無料確認を利用すると、過払い金の確認をしながら、借金を整理することも可能です。
特に、長い間、借金をしていた人には多額の過払い金から借金が大幅に減る可能性もあるので、ぜひ無料確認を利用することをおすすめします。
本記事の監修/司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤 竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。 借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。
投稿日: 2024年6月10日
更新日: 2024年10月9日