法律で定められた利息の上限を超えて支払われた利息を過払い金といいます。支払う必要がなかったお金であり、一定の条件に当てはまれば、法律上も返してもらえることになっています。
一方、過払い金の返金にはデメリットや注意しておきたい点がありますが、うまくこうしたリスクをコントロールしながら上手に返金を進めるコツもあります。
お借り入れに過払い金が発生しているかどうかの調査・返してもらえるかどうか確認する方法と、コツを踏まえて過払い金を返金してもらう手続きの進め方について解説します。
払いすぎた利息=過払い金とは?
過払い金とは、貸金業を営むクレジットカード会社・消費者金融などが、返済の時に借金をしていた人から取り過ぎていた利息のことをいいます。
過払い金の返金のための手続きを「過払い金返還請求手続き」といいます。この手続きを使い、過払い金を裁判所での訴訟などの手続きで返金してもらった方が過去多数います。
法律が返金を受ける権利を認めているので、まだ返金を受けていない方も一定の条件に当てはまると返してもらえる可能性があります。
払いすぎた利息とは、利息制限法の上限を超えた利息のことです。利息制限法の上限利率と出資法の上限利率の間の利率のことをグレーゾーン金利といいます。グレーゾーン金利が適用されていた借金には、過払い金が発生している可能性があります。
グレーゾーン金利とは?
グレーゾーン金利とは、利息制限法と、出資法という2つの法律で定められた上限利率の間にあたる利率のことをいいます。この利息は、金融機関からのお借り入れにかつて適用されていたことがあります。
- ・利息制限法・・・利息の上限は、年15〜20%
- ・出資法 ・・・利息の上限は、年29.2%
利息制限法の改正があった2010年6月18日までは、利息制限法の上限利率と、出資法の上限利率の間の利息は、法律に反する利息かどうかははっきりとしていませんでした。しかし、現在グレーゾーン金利は違法で、お借り入れの際には適用できないこととされています。
利息制限法改正以前にグレーゾーン金利が適用されたお借り入れを返済した場合は、払いすぎた利息=過払い金が発生している可能性があります。払いすぎた利息は、不当利得返還請求権にもとづき、条件がそろえば返してもらえます。
払いすぎた利息の返金の条件とは?
実際に返してもらうためには、グレーゾーン金利が適用された借金を返済したこと、そして消滅時効にかかっていないことが条件です。
消滅時効にかかると、法律上過払い金の返金を認める権利=「不当利得返還請求権」が消滅するので、行使することができなくなってしまいます。
消滅時効とは?
消滅時効とは、法律上認められた権利を一定期間行使しない場合に、その権利が消滅することを認める制度です。
民法では次の通り、10年・5年と期間が違う、2種類の消滅時効を認めています。
- ・借金をしていた人が過払い金を返してもらえる権利を行使できる時から10年が経過したとき(民法166条2項)
- ・返してもらえることを知ったときから5年が経過したとき(民法166条1項)
過払い金が発生しているかどうか、調べる方法は?
返済した借金に過払い金が発生しているかどうかを確認しないと、返金はうけられませんので、返金を受けようとする場合は過払い金が発生しているかどうかを調べることが必要です。
借金の記録を集めて、グレーゾーン金利が適用されているかどうかを調べ、適用されていれば、過払い金の額を計算して確定させます。
過払い金は、ご自身で調査する方法と、専門家に依頼する方法があります。ご自身で調査を進める方法には留意しておきたい点があります。
ご自身で調べる場合は、次のようにすすめます。
ご利用記録を探す
お手元に利用記録があっても、古い記憶を頼りにご利用記録を探すのは容易なことではありません。かなり時間がかかることが普通です。すべて手元にあるとばかりは言えないので、お手元にない場合は、ご利用記録を金融機関に請求する必要が出てきます。
ご利用記録を金融機関から取り寄せる
お借り入れ記録を、各金融機関で個人情報の開示請求などの制度に基づき開示してもらうことができます。ただし、特に10年以上前のご利用記録ですと、保存期間を過ぎてしまったなどの理由で開示をしてくれないことがあります。
会社が合併、または経営統合しているケースなどでは、どこの会社の記録を取り寄せるべきなのか、ご自身ではわからなくなる場合もあります。
信用情報機関から情報を取り寄せる
金融機関に加えて、お借入先の金融機関が加盟している信用情報機関(シー・アイ・シー、日本信用情報機構 、全国銀行個人信用情報センター)から取り寄せることもできます。
信用情報機関には、返済能力を示す信用情報が登録されており、加盟する金融機関は返済能力を照会してから取引を行うこととされています。
返済実績の記録から借金の記録を調べることができますが、こちらも記録の保有期間が決められていることから、取引が古い場合は記録をすべて調査することが難しい可能性があります。
引き直し計算を行う
過払い金は引き直し計算という方法で計算することができます。
引き直し計算では、取り寄せたお取引の記録をもとにして、返済の都度発生した上限利息を超える利息を元本の返済に充てる計算を行います。計算を繰り返して、完済したときの総支払額と、実際に支払った金額の差額が過払い金です。
ところが、ご自身で進める場合はなかなかこの計算を正確にできないことがあります。正確に計算できないと、金融機関が返金に応じてくれないことがあることには注意が必要です。
ご自身で調査する場合の留意点・デメリットとは?
今までご説明した手順から、ご自身だけで進めると次のような問題が起こりがちです。
- 金融機関の記録・信用情報は、10年より以前のものはないので、取り寄せも難しい場合がある
- 過去の借金や、過払い金についてご家族に知られないように進めたくても難しいことがある
- 引き直し計算が正確にできない
特に記録を見ても時効が完成しているかどうか判断することはご自身では難しく、過払い金専門の司法書士や弁護士に相談するなどして判断したほうが賢明です。
例えば、時効は最終の返済日から期間を計算することとされていますが、どの日が「最終の返済日」といえるのか、同じ会社から複数の借金をしている場合は確定が難しいことがあります。
専門家に相談しながら調査を進める方法とは?
専門家に相談しながら調査を進めることができると、調査は一人で進めるデメリットに陥らず、効果的で効果的に進めることができます。
まずは相談をする
過払い金を専門に取り扱っている事務所では、多くの事務所で過払い金の有無を無料で迅速に確認することができます。
そのため、見通しを持って取り組むことができます。返金される可能性がなければ、時間をかけてそれ以上に取り組む必要はありませんが、返金の可能性があれば、さらに進めるうえでの心配事を相談することができます。
調査を依頼する
相談を納得いくまで行ったら、次に過払い金の調査を依頼します。過払い金専門の事務所に依頼すると、調査にかかる時間や手間が節約できるので、忙しい方も代行してもらえれば、過払い金の返金をあきらめなくて済みます。
専門家に相談して過払い金を調べるメリットとは?
ご自身のみで過払い金の調査を進めていると解決しにくい問題点も、専門家なら解決の方法を知っています。例えば、時効の判断を適切にするうえ、引き直し計算も正確にすることができます。
家族に昔の借金を知られないように進めたい・ほかの借金のこともいっしょに解決したいなど、困り事は状況によって違います。秘密を守れるように可能な限り配慮してもらえるなど、過払い金の専門家なら状況に合わせた手段・アドバイスを提示することができます。
払いすぎた利息を返してもらう方法とは?
調査を行い、過払い金が発生していて、消滅時効が完成していない場合は、過払い金の返金を申し込みます。
過払い金の返金には、次の2つの方法があります。
- • 金融機関と交渉をして合意する(和解契約を結ぶ)
- • 裁判を起こす(訴訟の提起)
2つの方法で、返してもらえる額と期間が異なります。
示談交渉と裁判、それぞれの手続きの違いとは?
示談交渉で返してもらう場合は、必ずしも過払い金全額は返ってこないですし、利息も返ってこないのが通常です。しかし、数か月程度の決着が多く、裁判所で手続きをするよりも早めに返してもらえる傾向にあります。
裁判を起こす場合は、過払い金の調査をもとに、裁判所に書面を提出し、訴訟の提起を行います。期日といって、スケジュールを決められるので、迅速に進められない面があります。1年以上かかる場合もあるなど、粘り強く望むことが必要です。
ただし、返金の額は示談交渉の場合と比べて多めであり、過払い金全額に加えて、法定利息まで付けて返してもらえることが一般的です。
ご自身で手続きを行う場合の留意点
示談交渉も、裁判もご自身でもできる手続きです。裁判所に提出する書面も、書式が決められているので、ご自身で作成できないわけではありません。
しかし、交渉や、裁判のため書面を準備すること、裁判所に出向くことは大変手間と時間がかかり、それだけで手続きをあきらめる方もいます。また、次のようなデメリットもあります。
- 示談交渉か、訴訟か、どちらの方が良いか、判断しにくい
- 金融機関との交渉がうまく行かないことがある
さらに、過払い金返還請求は、借金が残っている状態で行うと、ブラックリスト入り(信用情報登録)を避けることが難しいですが、専門家に依頼すると、借金の整理と並行して進め、ブラックリスト入りを免れるような場合もあります。
特に借金の整理をする場合は、額がいくら返金されるかにより、借金をどれだけ整理できるか結果が違うので、一人で進めない方が無難です。
専門家に依頼する場合のメリットとは?
過払い金の専門家は、一人で手続きを進める際のデメリットを解消する手段を知っています。
示談交渉か訴訟か、最適な手続きを状況に応じて選んでもらえます。金融機関との交渉も一人で進めるとプレッシャーを感じがちですが、過払い金に豊富な実績をもつ専門家なら知見をもとに粘り強く進めてもらえます。
また、借金の整理に関しては、過払い金請求を最大限にして返金の額を多くし、借金を減らせるように工夫しながら進めてもらえます。
「過払い金の専門家」の選び方とは?
過払い金の専門家は、今までに過払い金の返金を多く扱い、実績があること、借金整理も扱っていること、そしてなんでも相談できる司法書士・弁護士であることの3点がそろっている法律専門家です。
適切な専門家を選ぶには、どうしたらよいのでしょうか。
専門分野が過払い金の司法書士・弁護士を見つけよう
司法書士・弁護士は多くの専門分野があります。商業登記を専門としている司法書士は過払い金の専門家ではありません。また、離婚や交通事故の専門の弁護士もまた過払い金の専門家とは言えないのです。
過払い金の案件を専門に受け付けていて、過払い金の専門家の多くが取り組んでいる無料相談や電話相談、過払い金の診断などの業務を提供している司法書士・弁護士を選ぶようにしましょう。
信頼できる司法書士・弁護士の見分け方とは?
中でも信頼できる司法書士・弁護士の見分け方のポイントは、次の通りです。
- 過払い金の案件の実績を公開している
- 債務整理も併せて扱っている
- 他の借金のことや心配事など過払い金に関することならなんでも相談できる
実績や、借金整理取り扱いについて確認し、実際に無料相談で話してみて、安心して相談できると感じられる事務所を選ぶようにしましょう。
なんでも相談できる中央事務所なら
中央事務所は、過払い金を専門とする司法書士事務所です。過払い金について、消費者金融・クレジットカード会社など各社に豊富な実績をもち、借金整理も強く、無料相談を何度でも受け付けています。中央事務所ではWEBから、24時間いつでも受付していますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。
過払い金について相談してしっかりと返金してもらいましょう。
まとめ
過払い金は払いすぎた利息のことで、グレーゾーン金利が適用されていること・消滅時効が完成していないことを条件に返金してもらえる可能性があります。
返金を進めるためには、調査も実際の返金手続きも、専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。一人で進めると陥りがちな問題点を解決してもらうことができます。豊富な実績を持ち、過払い金を専門としている事務所に相談して進めてみましょう。
過払い金の対象になるかならないか迷ったら専門家に相談を
中央事務所では、過払い金返金の対象であるかどうか、また過払い金はいくらあるのかの診断を無料で行っております。
もし、対象でなかった場合でも費用はかかりません。
WEBからは24時間いつでも受付しておりますので、是非一度、お気軽にご相談いただければと思います。
本記事の監修/
司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。
借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

投稿日:2023年5月24日