遅延損害金は、借金の返済が遅れたときに発生することがあります。借金の返済が遅れてしまった場合の、損害賠償の性質があるものが遅延損害金で、利息とは異なる性質のものです。
過払い金と、遅延損害金の関係については、すでに返済した分と、これから返済する分に分けて考える必要がありますが、過払い金と遅延損害金の関係について、以下でご説明します。
遅延損害金とは何?
遅延損害金とは、返済日から返済が遅れた場合に課されるもので、損害賠償金の性質があるお金のことです。
遅延損害金は、「借入残高×遅延損害金利率÷365×延滞日数」で計算され、借金に適用される利率よりも、ペナルティである遅延損害金利率のほうが高い率に設定されていることがほとんどです。
遅延損害金利率は、年率で表示されていることが普通ですが、計算は日割り計算で行われ、借金の返済が遅れた場合には返済時に遅延損害金を加えて返済する必要があります。
遅延損害金と過払い金の関係は?
遅延損害金は、今まで返済した分と、これから返済する分に分けて、考える必要があります。
今まで返済した分に遅延損害金が適用されていると、これも過払い金に含めて請求できるのか、また、これから返済する分については、すでに過払い金がある場合、過払い金の申込をすると遅延損害金の発生がストップできるかが問題になるのです。
遅延損害金と過払い金の関係は?
遅延損害金は、今まで返済した分と、これから返済する分に分けて、考える必要があります。
過払い金とは、払いすぎた利息のことです。特に2010年の利息制限法改正以前にした借金に適用されていたグレーゾーン金利のために発生した過払い金は、現在でも返金してもらえる可能性があります。
次の二つの条件を満たしていると返金される可能性があるのです。
- グレーゾーン金利が適用されていたこと
- 消滅時効により、過払い金返還請求権が消滅していないこと
グレーゾーン金利とは、かつて、以下の2つの法律で定められた上限金利の間にあたる利率のことをいいます。この利率は、貸金業者からのお借り入れにかつて適用されていたことがあります。現在では、グレーゾーン金利は違法な利息とされています。
- 利息制限法・・・利息の上限は、年15〜20%
- 出資法 ・・・利息の上限は、年29.2%
一方、遅延損害金は上限までの範囲は法律上適用が認められますが、それを超えた分について、返金してもらえる可能性があります。上限について詳しくご説明します。
遅延損害金の上限とは?
遅延損害金利率は、貸し付けの上限金利(15%~20%)の1.46倍までは認められます。2010年6月17日の利息制限法の改正後は、消費者金融の遅延損害金利率の上限=20%までが認められることとなっていますが、超過して支払った場合は、遅延損害金も含めて過払い金返還請求を行うことが可能です。
上記から、遅延損害金は、次のように整理することができます。
(利息制限法改正前)
貸し付けの利息制限法による上限金利を超えない利率×1.46倍までは返還請求はできないが、超えると返還請求が可能
(利息制限法改正後)
遅延損害金は20%までが認められ、超えると返還請求が可能
利息制限法改正前の遅延損害金の上限は、次の表のとおりです。
(利息制限法改正前の遅延損害金の上限)
お借入額 | 利率の上限 | 遅延損害金の上限 |
---|---|---|
~10万円未満 | 20% | 29.2% |
10万円~100万円未満 | 18% | 26.28% |
100万円以上 | 15% | 21.9% |
すでに支払った遅延損害金を返してもらえるかどうかは、過去のお取引の記録を確認して見極める必要があります。
遅延損害金については、過去の記録からいつ適用があったか・いくら返してもらえるか、ご自身だけで進めていると確認・計算がうまく行かず、困ってしまう場合もあります。こうした場合には、過払い金を多数扱っている、信頼できる事務所に相談すると、過去の記録の確認方法を知っていて、計算も正確に行ってくれます。
遅延損害金の上限を超える場合
過去に返済した借金の遅延損害金に上限を超える部分があった場合、返還請求はどこまでできるのか、事例を少し確認してみましょう。
この場合は、利息制限法に定められる上限利率は、15%ですので、過払い金が発生しています。しかし、遅延損害金割合が24%とすると遅延損害金の上限は21.90%となるので、差分の2.1%の分について過払い金に加えて請求をすることができます。
過払い金の返金を請求し、借金の返済を止めたら遅延損害金は発生するの?
ご自身に過払い金があることが判明し、その一方で借金も返済している場合、借金の返済は止めてよいか、また止めたら遅延損害金は発生するのかが問題になります。また、どのように対応すると適切なのでしょうか。
過払い金の返金額>借金の額の場合
過払い金の返金額が、現在の借金の残額よりも大きい場合です。返金される過払い金で借金が返せる場合にあたりますので、過払い金返還請求すると、今後の利息も遅延損害金も発生しないこととなります。返金される過払い金ですべて借金が完済できるからです。
そのため、借金を返済するのが苦しい場合でも、過払い金返還請求ができると借金の負担を免れられる可能性があります。ただし、督促を止めることについては留意点がありますので、のちほど詳しく説明します。
過払い金の返金額<借金の額の場合
過払い金の返金額が、借金の額よりも小さい場合です。この場合は過払い金で借金が返せない場合ですので、今後の利息も遅延損害金も発生します。
しかし、過払い金の返金額を上回る借金については整理することにより、利息・遅延損害金の発生を止めることができる可能性があります。借金の整理はどのように行うのか、のちほど説明しますが、過払い金と、借金の整理を専門に扱う事務所に相談して行うことをおすすめします。
司法書士や弁護士に依頼すると、督促が止められる
借金の額が過払い金の額を上回っても、下回っても、ご自身で過払い金の申込を行うだけでは督促がストップできません。
司法書士や弁護士が依頼を受けて、過払い金の返還請求を代行し、依頼をうけて手続きを行うことを記載した書面=受任通知を貸金業者に送ることにより督促を止めることができます。
督促は電話や督促状の送付(郵便で行う)などで行われ、家族に借金を知られたくない場合や、お仕事で忙しい場合などは精神的にも負担になります。事務所に依頼すると、督促を周囲に知られたくない場合も、事務所を連絡先にするなどして極力秘密に配慮してもらえる場合も多く見られます。
督促は止めておいて、過払い金の返金や、借金の整理ができれば負担が少ないですので、司法書士や弁護士に督促を止めてもらうのがおすすめです。
借金の整理とは?
ここでいう借金の整理は任意整理とも呼びますが、お借入先との交渉により、利息をカットする・遅延損害金をカットするなどして弁済すべきお金の総額を減額したり、月々の返済額を減らしたりすることを意味しています。
月々の返済額もさらに返済回数を増やすなどして減額してもらい、返済しやすくすることにより、無理なく完済できるようにします。
過払い金の返金があっても借金が残る場合には、借金の整理で返済の負担を軽くします。借金の整理もご自身だけできないことではありませんが、専門の事務所に相談して行うほうが安心です。
借金の整理は、過払い金と借金の整理に強い事務所に依頼するとスムーズ
借金の整理の方法は、お借入先の交渉で個別の借金について行う任意整理、あるいは裁判所ですべての借金について整理を行う民事再生・破産など、方法がいくつかあります。
過払い金と借金の整理に強い事務所なら、例えば借金の額が多く、裁判所で行う手続きを選んだ方が解決しやすい場合もアドバイスしてくれます。
また、貸金業者からの督促が止められる、借金の整理の交渉も貸金業者と対等に進めやすいなど、メリットが大きいと考えられます。
こんな事務所に依頼しよう
司法書士や弁護士に依頼をするといっても、有資格者であることだけでは、信頼して過払い金について相談することはできません。
司法書士や弁護士も専門分野はそれぞれ異なっていて、例えば商業登記に強い事務所・離婚に強い事務所に相談しても、過払い金の問題に適切に対処できるわけではないからです。過払い金に強い事務所を選んで依頼しましょう。
そこで、過払い金と借金・遅延損害金について相談する場合には、必ず認定司法書士・弁護士の資格があり、過去に過払い金の返金や借金の整理に豊富な実績のある事務所であるかどうかを確認してから相談するようにします。
こうした事務所であれば、過払い金・借金の整理両方とも適切にアドバイスしてくれます。
まとめ:過払い金と遅延損害金は、借金がある場合注意。信頼できる事務所に相談を
すでに支払った遅延損害金は法律の認める上限を超える場合、返金してもらうことができます。
一方、借金がある場合、今後遅延損害金をストップしたい場合は、過払い金で借金を返済できる場合はストップすることが可能ですが、借金が残る場合は、借金の整理も必要となります。
過払い金・借金の整理双方に強い事務所に依頼し、督促を止めたうえで任意整理など適切な手段で借金を整理しましょう。
過払い金の対象になるかならないか迷ったら専門家に相談を
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本記事の監修/
司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。
借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

投稿日:2023年1月31日