現在返済中の人には、過払い金なんて発生しないと思っていませんか?
返済中でもいくつかの条件にあてはまる方は、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金が発生していた場合、現在行っている返済の必要はなくなり、お手元にお金が戻ってくるかも知れません。
また、借金が残ってしまう場合でも、返済総額が減るケースもあります。
しかし、いずれの場合も時効を過ぎてしまうと、過払い金は戻ってきません。
過払い金返還請求の手続きには、消滅時効があるのです。
具体的にどの時期のお借り入れが過払い金発生の対象になるのか、また、過払い金計算の方法である引き直し計算についても詳しく解説します。

借金返済中に過払い金請求をした場合2つのパターンがある
返済中で過払い金が発生している場合には、引き直し計算の結果、借金がなくなり過払い金が返金されるパターンと、借金総額が減額されるパターンの2つがあります。
なぜ現在も返済しているのに、お金が戻ってきたり、借金が減ったりするのか不思議に感じる方もいらっしゃるかも知れません。
そこには、「グレーゾーン金利」やそのグレーゾーン金利から起こる「過払い金のしくみ」、そして「貸金業法という法律」が関わってきます。
それらの説明も交えながら、この両方のパターンについて一つずつ見ていきましょう。借金がなくなって過払い金が発生するパターン
これまでの貸付や返済などの取引を、法律で定められた利息で引き直すことを、引き直し計算と言います。
「借金がなくなって過払い金が発生するパターン」とは、引き直し計算をした結果、契約上の残高はすでに支払いが終わっていて、なおかつ利息を支払い過ぎていると判明した状態と言えます。
つまり借りている側からすると、返済の必要がなくなる上に、払いすぎていた分を返金してもらえるということになるのです。
支払いが終わっているのに返済を続けていたなんて、そんなことあるの?と疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
その疑問にお答えするために、グレーゾーン金利や過払い金発生のしくみについて、簡単に解説したいと思います。
グレーゾーン金利とは、利息制限法と出資法の上限利息の間にある不透明な利息のことを指します。
以前は多くの消費者金融が、このグレーゾーン金利で貸付を行っていました。
2010年に改正貸金業法が施行されて以降は、グレーゾーン金利での貸付はなくなったため、現在の利息でお借り入れをしても支払い過ぎという状況にはなりません。
しかし、以前にこのグレーゾーン金利でお借り入れをしていたことがある場合は、利息を支払い過ぎている可能性があるのです。この支払い過ぎた利息が過払い金です。
いつまでのお借り入れに過払い金は発生するのか?
過払い金の広告などを見て、過払い金が戻ってくるのは良いけれど、実際にいつまでのお借り入れに過払い金が発生しているのかわからない。と思っていませんか?
この章では、過払い金発生の可能性があるお借入時期について、具体的に解説します。
最近のお借り入れにも過払い金は発生する?
最近のお借り入れにも過払い金は発生するのか?と気になっている方も多いと思います。
最近借りたお金に過払い金は発生しません。2010年に出資法や利息制限法の改正法が施行され、グレーゾーン金利は撤廃されました。
つまり、それ以降は完全に過払い金は発生していないということになります。
現在では、貸金業者の上限利息は借入額に応じて15~20%となっています。
過払い金発生の可能性があるお借入時期
前章で、2010年の改正貸金業法の施行以降は、グレーゾーン金利が完全に撤廃されたため、過払い金は発生しないことをお話しました。
ただし実際には、その少し前から多くの消費者金融やクレジットカード会社では、貸付利息を利息制限法の範囲内に変更し始めています。
これは、2006年ごろからグレーゾーン金利は認められないという判決が出始めたことにより、その後の法改正を見越してグレーゾーン金利での貸付を止めていったという経緯によるものです。
現在では、貸金業者の上限利息は借入額に応じて15~20%となっています。
つまり2007年(平成19年)から2008年(平成20年)ごろを境に、利息の変更が多くの消費者金融で行われたということになります。
では、具体的にはいつごろにお借り入れをしていた方に過払い金が発生している可能性があるのでしょうか?
2007年ごろまでにお借り入れした方
法改正を起点に考えると、2010年以降は違法とされるグレーゾーン金利はなくなりました。
しかし前述したとおり、実際には多くの消費者金融やクレジットカード会社が、2007年(平成19年)ごろまでに貸付利息を利息制限法の範囲内に変更し始めていました。
それを考慮すると、「2007年(平成19年)ごろまでにお借り入れをしていた方」というのが1つの基準と言えるでしょう。
さらに2007年(平成19年)よりずっと以前からお借り入れをしていた方には、より多くの過払い金が発生している可能性があります。
2007年ごろまでに最初のお借り入れを行い現在も継続してお借り入れしている方
2007年(平成19年)ごろまでに最初のお借り入れを行い、そのまま継続して現在も利用している方については、過払い金が発生している可能性が高いです。
また、返済期間が長くなると支払う利息の総額も増えるため、過払い金の額も大きくなる傾向にあります。
最初に借りたのがいつ頃かはっきりしなくても、おそらく2007年より前ごろからお借り入れを始め、その後一度完済してはまた借りてということを繰り返してきたという方も、一定の条件を満たせば、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金を計算する方法が知りたい!
借入金額や借入日数がわかっている場合、計算式に当てはめることで、ご自身に過払い金があるかどうか、おおよその目安をつけることができます。
また、実際に過払い金額を計算する引き直し計算の方法が知りたい方もいらっしゃると思います。
この章では、過払い金の有無がわかる計算や、引き直し計算の方法について解説します。
過払い金の有無がわかる計算の仕方
ご自身がこれまでお借り入れしてきた利息がはっきりしない場合は、下記の計算式に当てはめることで確認することができます。
借入金額×利息制限法の利息×借入日数÷365日=利息
もしこの計算で出た利息以上の利息を支払っていれば、支払う必要のない利息を支払っていた、つまり過払い金が発生している可能性があります。
尚、お借り入れの上限利息は、
- 元本の金額が10万円未満のときは年20%
- 元本の金額が10万円以上から100万円未満のときは年18%
- 元本の金額が100万円以上ときは年15%
を入れて計算します。
ただし、毎月返済することで元金も月々減って利息が変わることもあり、あくまで目安としてご利用ください。
引き直し計算とは?
過払い金の金額を計算する場合、分割で返済したり新たにお借り入れをしたりして、毎月残金が変わっていくことになるため、単純な計算では求められません。
過去のお借り入れと返済のすべてがわかる取引履歴を取り寄せて、過去に高い利息で返済していた借金を現在の上限利息に合わせて計算し直すことで、正しい金額を算出します。
これは引き直し計算と呼ばれて、過払い金の計算をするときにはこの計算方法を用います。
インターネットで検索すると、過払い金専用の計算ツールがありますので、ご自身でも計算することが可能です。
引き直し計算を、ご自身でするために必要なもの
- パソコン(Excelを使って計算します)
- お借入先から取り寄せた取引履歴
- 過払い金計算ソフト
取引履歴の請求方法
取引履歴とは、いついくら借りていついくら返したかなどの取引経過の全容が、記載されている書類です。
債権者には取引履歴開示義務があることが、判決で示されています(最高裁判所第三小法廷平成17年7月19日)。
そのため、請求者が専門家か債務者ご自身かに関わらず、すみやかに開示請求に応じてくれるでしょう。
電話や郵送、FAX、インターネットなどで取り寄せることができます。
過払い金請求にも消滅時効があるので注意しましょう!
過払い金を請求出来る権利には時効があり、これを「消滅時効」と言います。
2020年4月に施行された改正民法により、過払い金請求権の消滅時効は、「権利を行使することが出来るときから10年間」と「権利を行使することが出来ることを知ったときから5年間」のいずれか早い方と定められました。
時効が成立してしまうと、過払い金請求をすることはできません。
悩まれる前に、信頼出来る実績豊富な専門家に相談されることをお勧めします。
中央事務所では、過払い金返金の対象であるかどうか、また過払い金はいくらあるのかの診断を無料で行っております。もし、対象でなかった場合でも費用はかかりません。
WEBからは24時間いつでも受付しておりますので、是非一度、お気軽にご相談いただければと思います。
本記事の監修/
司法書士法人 中央事務所 司法書士 伊藤竜郎
中央事務所はお客さまのお悩みに寄り添い、常にお客さまの目線に立ってアドバイス、解決するためのお手伝いをさせていただきます。
借金、過払い金請求のことでお悩み、お困りの方、ぜひお気軽に中央事務所にご相談ください。

投稿日:2022年11月29日/ 更新日:2023年1月12日