「応答率を改善したい」「効率よく電話対応を行いたい」このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。たしかに、人材確保が難しいとされるコールセンターでは、業務の効率化を図ったり、生産性向上を目指したりするのは簡単なことではありません。
しかし、「IVR」を上手に活用できれば、業務の効率化は著しく向上し、コスト削減にも期待できます。
今回は、コールセンターにおけるIVRの概要と仕組み、併せてIVRのメリット・デメリットについてご紹介します
コールセンターにおけるIVR(Interactive Voice Response)とは?
IVRは、深刻化している人材不足を打破する対策として、多くの企業で取り入れている機能です。コールセンターも例外ではなく、業務効率の改善に欠かせないツールとして利用されています。
ここでは、コールセンターにおけるIVRの意味と仕組みについて解説します。
IVRの意味とは?
IVRとは、Interactive Voice Responseの略で、「音声自動応答システム」のことを意味します。
お客様から入電があった際、オペレーターの代わりに、音声自動応答システムが、一次対応の受付や問題解決までを導いてくれる機能です。
IVRはコールセンター以外にも、病院やクリニックの予約受付、電気・ガス・水道のライフラインの契約手続きなど、さまざまな場面で使われています。
人の判断や感性を必要としない定型的な業務をIVRに任せることによって、業務の効率化や人的リソース不足の解消に役立つため、今や必要不可欠のシステムとなりつつあります。
IVRの仕組みについて
IVRの基本的な仕組みは、以下の通りです。
1. 着信があると音声装置が自動で応答
2. 想定される問い合わせ内容にそった選択肢からプッシュ操作を促す
3. お客様が選択した項目から、問い合わせ内容を割り振る
4. IVRが回答
5. 必要に応じて適切な部署のオペレーターに転送
IVRの特徴は、予約受付や配送状況の確認、各種手続きの案内など、IVRが自己解決できる用件であれば、24時間対応が可能な点です。
また、定型業務以外の専門性の高い内容や苦情・クレーム対応などは、オペレーターに転送、または折り返し対応にもできます。
コールセンターでIVRの導入を検討すべき理由とは?
コールセンターでは、以下の理由からIVRの導入を検討すべきといえます。
● 24時間365日受付可能になるから
● 対応の効率化を図れるから
● オペレーターの負担を抑えられるから
それぞれの理由について、詳しく説明します。
24時間365日受付可能になるから
IVRを導入することで、24時間365日いつでも受付が可能になります。
有人対応のコールセンターの多くは、コスト面や人的リソース不足を考慮し、「9時〜18時」などのように受付時間を設けています。しかし、IVRがオペレーターの代わりに応答してくれれば、いつでもお客様の問い合わせに対応し、基本的にお待たせすることがありません。
対応の効率化を図れるから
プッシュ操作によって、問い合わせ内容を割り振ることで、お客様対応が効率的に行えます。
コールセンターと言っても、「クレーム」「商品の使い方」「購入前の相談」など、問い合わせ内容はさまざまです。それらの用件をひと通り聞いたあと、担当部署に取り次ぐ流れだと、お客様に余計な時間を取らせてしまいます。
しかし、入電時の段階で、内容に応じた担当部署の振り分けを行えれば、お客様をお待たせすることなく、スムーズな対応が可能になるでしょう。
オペレーターの負担を抑えられるから
繁忙期や人材不足時など、入電数に応じた人員配置が難しくなると、オペレーター1人あたりの対応量は必然的に多くなります。
それに伴い、オペレーターは「短時間でお客様対応しなければならない」という負担からミスが続出し、結果としてサービス低下を招いてしまうかもしれません。
そこでIVRに一次対応を任せ、オペレーター対応が必要なお客様だけに絞ることで、オペレーターの対応量が減り、負担も抑えられるでしょう。
IVRのメリット・デメリット
IVRを導入することにより、得られるメリットもあれば、残念ながらデメリットも存在します。
ここでは、IVRのメリットとデメリットを紹介しますので、取り入れることで受ける影響を踏まえ、導入の可否を判断しましょう。
IVRのメリット
IVRによってコールセンターが得られるメリットは、以下の通りです。
● 応答率の改善
● 顧客満足度の向上
● 生産性向上
● 人的リソース不足の解消
<応答率の改善>
IVRを活用することで機会損失を大幅に減らし、応答率の改善にもつながります。
入電数に応じた人材の確保が難しい場合や、予想外のタイミングで入電数が増え、対応が追い付かないこともあるでしょう。
そのようなときでも、IVRによって電話業務を自動化することで、本来なら取りこぼしていたであろう電話対応を可能にし、応答率アップを図れます。
<顧客満足度の向上>
お客様からの視点でみると、「応答率が高い=電話がつながりやすい状態」ということです。
お客様を待たせることなく解決までスムーズに案内できれば、おのずと顧客満足度の向上にも期待できます。
<生産性向上>
IVRは、問い合わせ内容に応じた適切な窓口へと振り分け、なおかつオペレーターのスキルに応じて、電話の割り当てを設定することもシステムによっては可能です。
それによりオペレーターは、専門分野に特化して対応できるため、高品質かつ無駄のない迅速な対応ができます。結果として生産性が向上し、より多くの問い合わせを受けられるでしょう。
<人的リソース不足の解消>
電話応対をIVRとオペレーターが分担することで、人的リソース不足を解消できます。
たとえば、FAQなど定型的な問い合わせはIVRに任せ、専門知識が必要な内容にだけオペレーターが対応することで、最小限の人数でも効率的な対応が可能になります。
IVRのデメリット
IVRによって、コールセンターが影響を受けるデメリットは、以下の通りです。
● 操作時間が長くなる
● 正しい選択ができない
● 応答率を下げる可能性がある
<操作時間が長くなる>
IVRのガイダンス音声は、老若男女誰でも聞き取りやすいように、音声速度が遅く、項目ごとの説明も長くなるのが一般的です。
また、回答を得られるまでに複数の質問に答える必要があり、急いでいるお客様には煩わしさを感じさせてしまうかもしれません。
そのため、顧客ニーズを探ったうえで、音声速度や文言を慎重に考慮することが重要といえるでしょう。
<正しい選択ができない>
IVRのシステムがいかに優れていても、お客様が操作を間違えてしまうことがあります。また、選択肢を増やし複雑にしたばかりに、お客様が選択肢に迷った結果、「その他」に集中するリスクもあります。
IVRのシステム設定では、顧客データの統計をもとに、問い合わせ内容の傾向を調べ、無駄な選択肢は極力無くす対策が必要です。
<応答率を下げる可能性がある>
回線の混雑状況によっては、そもそも電話につながるまで時間がかかるケースがあります。
また、IVRの音声ガイダンスによる案内が紛らわしかったり、音声時間が長かったりすると「あふれ呼(電話がつながらない状態)」を増やしてしまい、応答率を下げる可能性もあります。
IVRを導入する際には、シンプルな設計を心がけ、電話がつながりにくい場面を減らす工夫が必要です。
IVRの費用感
IVRを利用するにあたり、初期費用と月額利用料が発生します。
それぞれの費用感は、以下の通りです。
<初期費用>
初期費用は、数万円から数十万円と価格幅が広く、おもに後述する導入形態やコールセンターの規模によって左右されます。
<月額利用料>
月額利用料は、数千円から数万円程度です。おもに、回線数に応じて価格が変動します。また、搭載するシステムや依頼する会社によっても、費用感が大きく異なります。
導入の際は、費用面だけを見るのではなく、自社にはどういった機能が必要なのか、を洗い出し検討することで、コストパフォーマンスの良いIVRを導入できるでしょう。
IVR導入までの流れ
IVRには、オンプレミス型とクラウド型の2種類の導入形態があり、それぞれ導入までの流れが異なります。
導入までの流れや期間は、以下の通りです。
<オンプレミス型>
オンプレミス型とは、自社でIVRシステムを保有し、運用・管理することです。
導入の流れとしては、まずシステム構築に必要となる、サーバーやソフトウエアなどのネットワーク機器を自社で調達します。その後、システム開発や幾度となる試験運用を経て、IVRの利用を開始できます。
導入までには、早くて数週間、場合によっては1年以上の期間が必要です。
<クラウド型>
クラウド型は、オンプレミス型とは対照的に、システム構築に必要な機材を自社内に保有せず、IVRサービス提供会社のサーバーを、インターネット経由で利用する方法です。
インターネット環境があれば、あとはIVRサービスをクラウド提供している会社を選び、契約を結ぶことで導入できます。早ければ、契約後から数日で利用開始できます。
IVR導入における注意点
IVR導入における注意点は、以下の3つです。
● 選択肢は多くしすぎない
● 有人対応の選択肢をつくる
● 音声ガイダンスは短く、わかりやすく
それぞれの項目について、詳しく説明します。
選択肢は多くしすぎない
IVRを導入する際に最も注意すべき点は、選択肢の数を多くしすぎないことです。
問い合わせをしてくるお客様のほとんどは、早く答えを知りたいと思っています。お客様に時間をとらせないように、メニューは極力細分化せずに、選択肢は最小限にすることが大切です。
有人対応の選択肢をつくる
応答率や業務効率の向上を図ることを目的としてIVRを導入する場合でも、有人対応の選択肢は必ずつくりましょう。なぜなら、お客様が抱える問題や困りごとすべてに、IVRだけで対応することは難しいからです。
また、「オペレーターと直接話がしたい」「プッシュ操作が苦手だ」と思っているお客様も多くいます。そのようなお客様に不満を抱かせないためにも、オペレーター対応に切り替えができるようにしましょう。
音声ガイダンスは短く、わかりやすく
IVRによって、お客様を不快にさせる要因のひとつに「音声ガイダンスが長い」点が挙げられます。
丁寧な案内を目指すばかりに、冗長な表現を入れすぎてしまうと、かえってわかりにくい案内になる場合があります。音声ガイダンスは、可能な限り要点を簡素にまとめ、短く、わかりやすくしましょう。
まとめ
IVRとは、「音声自動応答システム」のことで、オペレーターの代わりに、一次対応の受付や人の判断や感性を必要としない用件であれば、回答することも可能です。
深刻化している人材不足問題を打破する対策として、コールセンターでも積極的に導入されています。
しかし、音声ガイダンスのシナリオ設定やシステムの設計・構築を間違えてしまうと、お客様に不満を抱かせ、顧客満足度の低下を招いてしまう可能性があります。
また、音声ガイダンスに苦手意識を持つお客様やプッシュ操作がうまくできず、回答を得る前にあきらめて電話を切ってしまう方もいます。そのようなお客様にも対応できるよう、電話代行サービスを利用してみてはいかがでしょうか。
株式会社中央事務所の電話代行サービスは、24時間・365日オペレーターによる電話受付が可能です。深夜帯の一次受付や繁忙期・人材不足時などのスポット利用にも、柔軟に対応いたします。
株式会社中央事務所には、専門講習を受けたプロのオペレーターが在籍しており、月間総受電数6万件(※1)、新規入電応対率98%(※2)、さらにカスタマー応対率95%(※3)を維持するなど確かな実績がございます。
「機会損失を減らしたいが、人材確保にコストをかけられない」とお悩みであれば、ご予算に合わせて最適なプランをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
※1: 月間総受電数6万件
2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計
※2: 新規入電応対率98%
2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出
※3: カスタマー応対率95%
2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出