コールセンターにおけるBCP対策とは?進め方やポイントを解説
公開日 2024.05.31
更新日 2024.05.31
用語

コールセンターにおけるBCP対策とは?進め方やポイントを解説

コールセンターは、顧客の質問やクレームへの対応、商品・サービスの案内などを行う重要な拠点です。そのため、自然災害やシステム障害などの有事に備え、事業の継続性を確保することが不可欠です。 そこで、BCP(事業継続計画)対策が注目されています。BCPを実施することで、災害や緊急事態においても企業の損害を最小限に抑え、業務を継続し、早期に復旧することが可能です。 この記事では、コールセンターにおけるBCP対策の概要と方向性、そして実施のポイントについてわかりやすく解説していきます。  

BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)とは

BCPとは、Business Continuity Planの略で、組織が災害や緊急事態に対処し、事業活動を継続させるための計画です。たとえば、地震や台風などの自然災害、火災や爆発などの人為的な事故、またテロ攻撃などのリスクに備え、組織の業務や機能を守るために策定されます。 具体的なBCPの目的は、以下の3つです。 ● 事業継続性の確保:災害や緊急事態が発生しても、事業を継続できるようにすること ● リスクの評価と管理:組織が直面するさまざまなリスクを評価し、それに対処するための対策を講じること ● 従業員とリーダーの連携:有事発生時に、従業員やリーダーの行動を明確にし、協力体制を構築すること BCPは、大企業だけでなく、中小企業や非営利組織にも必要な考え方です。災害や緊急事態に対する準備が整っていることは、組織の持続可能性と信頼性を向上させる重要な要素と言えます。  

コールセンターにおけるBCP対策とは?

コールセンターにおけるBCP対策とは、自然災害やテロ、システム障害などの緊急事態が発生した場合でも、コールセンター業務を継続できるようにするための対策です。 コールセンターは、顧客からの問い合わせやクレームを受け付ける重要な業務を行っています。そのため、緊急事態が発生した場合でも、業務を継続できないと、顧客の信頼を失うだけでなく、企業の経営にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。 コールセンターにおけるBCP対策には、以下のような取り組みがあります。 <運営拠点を複数の都市に分散する> コールセンターの拠点を複数の都市に広げることで、災害があった場合でも他の拠点から業務を継続できます。 <拠点閉鎖の判断基準や指揮系統を決定する> 緊急事態時に拠点の閉鎖を判断する基準や、指揮系統を事前に定めておくことで、素早く適切な対応が可能です。 <停電・断水時の備えとして備蓄品を用意する> 停電や断水に備え、発電機や非常用電源、食料・飲料水などの備蓄品を準備しておきます。 <従業員の安全確保やケア・サポート体制を整える> 緊急事態発生時には従業員の安全が最優先です。安否確認や避難誘導、心理ケアの体制を整備します。 BCPは一度策定したら終わりではなく、定期的な点検と更新が必要です。最新の状況に合わせて柔軟に対策を見直し、修正していくことが大切です。  

コールセンターのBCP対策の方向性

コールセンターでは通信障害や災害など、予測不可能な状況においても適切な対応が求められます。そのため、幅広い対策を慎重に計画することが重要です。 ここでは、BCP対策の方向性として以下の3つを紹介します。 ● ノンボイス化 ● セルフサービス化 ● 在宅化 これらのアプローチを組み合わせることで、コールセンター運用の安定性や事業継続性を高められるでしょう。  

ノンボイス化

ノンボイス化は、電話ではなくメール、チャット、SMSなどの非音声コミュニケーション手段を重視するアプローチです。 ノンボイス化を進めることで、以下のメリットがあります。 ● 電話回線への依存度を下げられる ● オペレーターの遠隔勤務が可能になる ● 情報の迅速な提供や問題解決が容易になる ● 顧客からの問い合わせを24時間365日受け付けられる 電話回線が不安定になる可能性がある災害時や緊急事態において、ノンボイス化はビジネスコミュニケーションの継続性を確保する有効な手段です。  

セルフサービス化

セルフサービス化は、顧客が自ら問題解決や情報取得を行う仕組みを整え、オペレーターとの直接対話を最小限にするアプローチです。ウェブサイト上での情報提供やFAQ(よくある質問)の充実、自動音声応答(IVR)システムの活用、チャットボットやアプリを通じた対話型の自己解決手段などが具体的な取り組みです。 セルフサービス化を進めることで、以下のメリットがあります。 ● 問題を顧客自ら解決しやすくなる ● オペレーターの業務負荷を軽減できる ● 顧客が必要な情報を迅速に入手できる ● 大量の同時問い合わせに対応しやすくなる セルフサービス化は、顧客体験の向上やコスト削減に寄与する手段であり、多くのコールセンターが導入を検討している方法の一つです。  

在宅化

在宅化は、従業員がオフィス以外の場所からリモートで業務を遂行できるようにするアプローチです。クラウドベースの通信インフラやリモートアクセスの導入、在宅勤務に適したマニュアルやガイドラインの整備などが具体的な取り組みです。 在宅化を進めることで、以下のメリットがあります。 ● 災害や緊急事態に備えられる ● 従業員の安全性を確保できる ● 柔軟で効率的な働き方を促進できる 在宅化の最大の利点は、災害時や感染症拡大の際など、オフィス業務が難しい状況でも、業務の継続性を確保できる点です。また、在宅化は従業員の安全性を確保しつつ、柔軟で効率的な働き方を促進します。  

コールセンターのBCP対策の進め方

コールセンターのBCP対策を着実に進めるためには、具体的な手順と計画が欠かせません。災害や緊急事態に備え、円滑な業務継続を図るためには、以下のステップに基づいて実施することが大切です。 ● 対策対象の見極め ● 運用体制の整備 ● 勤務環境の整備 ● システムの導入 それぞれについて、詳しく見ていきましょう。  

対策対象の見極め

最初に行うべきステップは、対策の対象を明確にすることです。対象を具体的に把握することで、有事の際にも事業の継続性を確保するための計画が立てやすくなります。 具体的には、以下のポイントを検討します。 <重要業務の特定> 通常の業務遂行において最も重要な部分を特定します。たとえば、顧客とのコミュニケーション、業務の中核部分、ITインフラなど、業務を継続するために欠かせない部分を検討しましょう。 <リスクの評価> 特定した重要業務に影響を与える可能性があるリスクを評価します。たとえば、業務プロセス、データベース、通信システムが欠落した場合の影響度などを検討します。 これらの検討結果に基づいて、重要業務を優先順位付けしましょう。  

運用体制の整備

二つ目のステップは、運用体制の整備です。運用体制が整備されることで、コールセンターは災害や緊急事態にも素早く確実なサービス提供が可能となり、業務の安定性を確保できます。 具体的には、以下のポイントを検討します。 <指揮系統の確立> 緊急時の意思決定を迅速かつ効果的に行うために、BCP対策の指揮系統を明確にします。役割分担や連絡先を明確にし、混乱を最小限に抑えましょう。 <運用インフラの整備> 特定の拠点や設備に依存せずに業務を継続できるよう、運用拠点の分散や代替拠点の確保、必要な機器やシステムの備蓄などを行います。 <人的リソースの確保> 緊急時においても適切なスキルを持った人材が対応できるように、従業員の教育やトレーニング、代替の人員体制を整えます。  

勤務環境の整備

三つ目のステップは、勤務環境の整備です。勤務環境が整備されることで、コールセンターの従業員は安全で効果的な環境で業務に取り組めます。 具体的には、以下のポイントを検討します。 <リモートワークの整備> リモートワークが必要になった場合、従業員がスムーズに業務を遂行できる環境を整備します。具体的には、ハードウェアやソフトウェアの整備、高速で安定したネットワーク接続の確保などが挙げられます。 <セキュリティの確保> 勤務環境が変わることでセキュリティリスクが増大するため、データの暗号化やアクセス制限、VPNなどのセキュリティ対策を行い、機密性の高い情報を確実に保護します。 <従業員の健康とワークライフバランスの確保> 在宅勤務や代替拠点での勤務は、従業員の健康やワークライフバランスに影響を与える可能性があります。適切な休憩時間や業務外のサポートを提供し、ワークライフバランスを保つようにしましょう。  

システムの導入

四つ目のステップは、システムの導入です。システムの導入により、コールセンターはさまざまな状況に柔軟かつ迅速に対応でき、事業継続性を確保することが可能です。 具体的には、以下のポイントを検討します。 <クラウドベースのシステムの導入> クラウドベースのシステムを導入することで、オンプレミスの物理的な機器に頼らず、従業員はどこからでも柔軟にアクセスできるようになります。 <冗長性の高いシステム構成> サーバーの冗長化やデータベースのバックアップなど、システム全体において障害発生時のリカバリーが円滑に行えるような構造を整えます。これにより、システムの安定性が向上し、業務中断のリスクを低減できます。 <テレワーク環境を支援するシステムの採用> リモート作業においても円滑なコミュニケーションや安全なデータ処理が可能なシステムを整備します。たとえば、チャット、ファイル共有、プロジェクト管理などの機能が統合されたツールを使用することで、遠隔からでも安心して業務に従事できます。  

コールセンターのBCP対策に必要なこと

コールセンターのBCP対策を理解するためには、異なる視点からのアプローチが必要です。以下の5つのポイントに注目してみましょう。 ● 基本ルールの策定 ● 拠点の状況管理 ● 従業員のケア ● リモートワーク構築 ● セキュリティ向上 それぞれについて、詳しく説明します。  

基本ルールの策定

コールセンターのBCP対策において、基本ルールの策定は非常に重要です。 基本ルールは、災害や緊急事態においてスムーズな業務継続と安全確保を確実にするための指針となります。業務の優先順位、役割分担、連絡手段などを具体的に定義することで、従業員は緊急時に迅速に行動し、業務要件を適切に把握できます。 さらに、基本ルールには安全対策やセキュリティ対策も含まれるべきです。たとえば、自宅勤務が求められる場合は、安全なネットワーク接続やデータの暗号化に関するルールを策定すると良いでしょう。 基本ルールの策定は、トレーニングや定期的なリハーサルと組み合わせて行うことで、従業員のBCPへの理解を深め、緊急時の対応力向上にも寄与します。  

拠点の状況管理

コールセンターのBCP対策において、拠点の状況管理は不可欠な要素です。これは、災害や緊急事態が発生した際に、各拠点の状況を正確に把握し、効果的な対策を講じるためのプロセスです。 具体的には、以下のポイントが挙げられます。 <拠点のリスク評価> 各拠点の地理的なリスクや特定の災害に対する脆弱性を評価します。特定の自然災害が予測される地域にある拠点に対しては、適切な対策を講じ、リスクを最小限に抑えます。 <拠点の状況把握> 拠点の運用状況や従業員の安否情報を、リアルタイムで把握できる仕組みを整備します。災害時には、各拠点がどのような影響を受けたかを把握し、必要な支援や適切な対応を迅速に行うことが可能です。 <代替拠点の用意> ある拠点が影響を受けた場合でも、別の場所で業務を引き継ぎ、事業の連続性を確保するために、バックアップ拠点や代替拠点を用意しておくことが重要です。  

従業員のケア

従業員のケアを徹底することで、コールセンターのBCP対策が円滑に機能し、チーム全体が安全かつ効果的に業務に従事できるようになります。 従業員のケアには、以下のポイントをおさえましょう。 <安否確認> 災害が発生したら、まず従業員の安否を確認する必要があります。電話やメール、SNSなど、さまざまな手段を組み合わせて、迅速かつ確実に安否を確認できる体制を整えましょう。 <教育とトレーニング> 災害が発生した際、従業員が適切に対応できるように、災害時の行動指針や緊急時のコミュニケーション手段、在宅勤務時の注意事項などを定期的に周知しましょう。 <心理的なケア> 災害や緊急事態は、従業員に大きなストレスや不安を与えます。EAP(従業員支援プログラム)を導入するなど、従業員の心理的なケアをサポートする体制を整えましょう。  

リモートワーク構築

リモートワークの構築により、従業員は遠隔地からも円滑な業務を継続でき、災害や緊急事態においても効果的なコミュニケーションが可能となります。 リモートワーク構築には、以下のポイントをおさえましょう。 <テクノロジーの導入> 高速で安定したネットワーク接続や遠隔アクセス可能なシステム、安全なデータ通信などを導入します。 <コミュニケーション手段の整備> ビデオ会議やチャット、プロジェクト管理ツールなどを活用し、従業員同士や上司との円滑な連絡を確保します。これにより、遠隔地からでもリアルタイムでのコミュニケーションが可能となります。  

セキュリティ向上

災害や緊急事態においても、顧客データや業務に関わる情報の機密性を確保することが不可欠であり、セキュリティ対策の徹底がその実現を支えます。 セキュリティ向上には、以下のポイントをおさえましょう。 <アクセス制御の強化> 従業員や関係者のアクセス権を適切に管理し、必要最小限の権限のみを付与します。また、認証プロセスやアクセス履歴のモニタリングなどを通じて、不正アクセスを防ぎます。 <データの暗号化> 転送中や保存時のデータを暗号化することで、機密情報の漏洩を防ぎます。 <従業員教育> 災害が発生したとき、従業員がセキュリティを意識して適切に対応できるように、行動ガイドラインのトレーニングを実施します。  

まとめ

コールセンターにおけるBCP(事業継続計画)対策は、災害や緊急事態が発生しても、業務を継続できるようにするための対策です。通信インフラの強化、運用拠点の分散、在宅勤務の導入、BCP教育・トレーニング、データの保護とバックアップが重要なポイントです。これらを実施することで、コールセンターは緊急事態にも対応し、業務を継続できます。 なお、自社でBCP対策が難しい場合、アウトソーシングを視野に入れてみてはいかがでしょうか。信頼性の高い代行先を選定し、豊富な経験と専門知識を活用することで、コールセンター業務の事業継続性を確保できます。 電話代行サービス会社の中央事務所は、月間の総受電件数6万件(※1)、新規入電の応対率98%(※2)という確かな実績を保持しています。また、カスタマー応対率95%(※3)を維持することで、手厚いサポートの実践に努めています。 中央事務所は、万一に備えた事前の体制・業務設計から、有事の際のお客さま対応までサポートします。最短で翌日から導入いただき、受架電サービスが開始可能です。BCP対策に課題を抱えている企業様は、ぜひ当社にご相談ください。 ※1: 月間総受電数6万件 2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計 ※2: 新規入電応対率98% 2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出 ※3: カスタマー応対率95% 2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
効果の上がるコールセンターサービスとは?
サービスの紹介資料・料金表をでご提供
効果の上がる
コールセンターサービスとは?
サービスの
紹介資料・料金表を
でご提供

コールセンター代行・電話代行
についての
お問い合わせはこちら

ご質問・ご要望などお気軽に
お問い合わせください。
資料請求も無料ダウンロードが出来ます。