公開日 2024.07.28
更新日 2024.07.28
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コールセンターの占有率とは?適正値についても解説
安定的なコールセンター運営を維持する上で「占有率」は非常に重要な指標の一つです。
ただし、しばしば「稼働率」と混同されることが多く、正しく活用されていない場合が少なくありません。
そこで今回は、占有率と稼働率との違いを明確にしながら、占有率の計算方法や適正な占有率を保つことで得られる効果について解説します。
占有率とは
コールセンターにおける占有率とは、オペレーターの稼働時間の中で実際に通話や後処理などで顧客対応した時間の割合を示す指標のことです。
占有率を明確にすることでスタッフにかかる負荷や人員配置の問題点がわかり、業務改善を行う上で欠かせない指標となります。
適正な占有率を割り出すためには、以下のポイントについて正しく理解することが重要です。
・稼働率との違い
・占有率と稼働率の関係
・占有率の計算方法
一つずつ解説します。
稼働率との違い
占有率がオペレーターの「稼働時間」に対して顧客対応した時間の割合であるのに対し、稼働率は、オペレーターの「勤務時間」に対して顧客対応が可能な時間の割合のことです。
よって、稼働率には待機時間が含まれますが占有率には含まれません。
どちらもコールセンターのパフォーマンスを計る上で重要な指標ですが、稼働率だけではオペレーターがどれだけ効率良く作業していたかを検証することができません。
作業効率の向上はコスト削減につながるだけでなく、応対品質を図る上でも重要な指標となるため占有率の把握は不可欠です。
占有率と稼働率の両方を検証することによって、オペレーターの勤務状態を正しく把握することが可能です。
占有率と稼働率の関係
占有率と稼働率は大きく分けて4つのパターンがあり、いずれかに当てはまることが多いものです。
①占有率が高く稼働率が低い
顧客対応時間が多い反面、研修時間や休憩などの生産性の低い時間も多いことを表しています。
②占有率が低く稼働率が高い
占有率が低い場合、待機時間の長さが考えられますが、同時に稼働率が高ければ業務効率が悪い可能性があります。
③占有率と稼働率のどちらも高い
占有率と稼働率のどちらも高い場合は、オペレーターに負荷がかかりすぎていないか検証する必要があります。
④占有率と稼働率のどちらも低い
占有率と稼働率のどちらも低い場合に考えられるのは過剰な人員配置であり、コストの見直しが必要です。
それぞれの解決方法は「占有率が適正値でないとどうなる?」で解説しています。
占有率の計算方法
占有率の計算方法は以下の通りです。
占有率(%)=(通話時間・保留時間・後処理時間の合計)÷(通話時間・保留時間・後処理時間・待機時間の合計)×100
<計算例>
通話時間 : 5時間
後処理時間 : 1時間
保留時間 : 0.5時間
待機時間 : 1.5時間
(通話時間5+後処理時間1+保留時間0.5)÷(通話時間5 +後処理時間1+保留時間0.5+待機時間1.5)×100=81.25%
つまり、処理時間が長く待機時間の割合が低ければ占有率は高くなり、逆に処理時間が短く待機時間の割合が高ければ、占有率は低いという結果になります。
占有率の適正値とは
占有率は、高すぎても低すぎても問題が生じます。
占有率の適正値はコールセンターの規模や目的によって異なりますが、一般的な目安として76〜87%がキープされているのが望ましいと言われています。
適正な占有率を維持することでオペレーターの負担を減らし、生産性の高いパフォーマンスの実現が可能です。
ただし、占有率と稼働率の関係性や電話のつながりやすさを図る応答率も含めて分析し、総合的に判断することが大切です。
占有率が適正値でないとどうなる?
占有率が適正値でないまま業務を続けた場合、どのような問題が生じるのでしょうか。
ここでは占有率が「適正値より高い場合」と「適正値より低い場合」の2パターンに分け、それぞれの問題点について具体的に解説します。
適正値より高い場合
占有率が適正値より高い場合、真っ先に考えられるのは「人員不足」による繁忙です。
言い換えれば「待機時間が少なく、ひっきりなしに電話を取り続けている状態」であり、オペレーターにかなりの負荷がかかっていることが予想されます。
ストレスや疲労が蓄積するとミスが発生しやすく、顧客満足度の低下を招くだけでなく、最悪の場合は離職につながる危険性も捨てきれません。
ただし、占有率が高くても稼働率が低い場合は、研修や休憩などの非生産時間が多すぎる可能性も考えられるため、スケジュールを見直して非生産時間を減らすなどの調整が必要です。
占有率と稼働率のどちらも高いようであれば、すみやかに人材の補充を検討する必要があるでしょう。
適正値より低い場合
占有率が適正値より低い状態は、オペレーターが顧客と会話している時間より待機している時間のほうが長い、もしくは余剰人員が多いことを示しています。
ただし占有率と稼働率は密接な関係があり、稼働率は高いのに占有率が低い場合は、オペレーターの作業が効率的でないことや、待機時間を有効に使えていないことが考えられます。
一方、占有率と稼働率のどちらも低い場合は、まさに「人が余っている」状態であり、経費の無駄遣いをしているといっても過言ではありません。
いずれにせよ占有率が適正値より低い場合は、積極的にコスト削減を考えるべきでしょう。
適正値を保つためのポイント
占有率は、稼働率や応答率など他のKPIと連動しているため、ずっと同じ指標を維持できるわけではありません。
占有率の適正値を保つためには下記の4つに注目し、随時チェックすることが重要です。
オペレーターのスキルを上げる
オペレーターのスキルを向上させることは、占有率を安定させるだけでなく応対品質の維持にもつながります。
「実際に顧客対応した時間」には通話時間だけでなく後処理時間も含まれますが、仮に計算上で占有率が適正値だったとしても、後処理時間が長ければ生産性が高いとは言えません。
後処理時間の短縮には、入力スピードの改善やショートカットキー・単語登録などの活用が有効です。
また、占有率が高い場合に起こりがちな繁忙も、オペレーター1人1人の能力アップにより緩和させることが可能です。
キャリア別のスキルアップ研修、商品研修、マニュアルの見直しなどを実施すると共に、個人面談を行い個々のスキルを底上げするための対策が効果的です。
人員配置を適正にする
占有率が高すぎたり低すぎたりする場合、まずは人員の配置を見直すことから始めてみましょう。
前述しましたが占有率が高すぎる場合は人手不足、占有率が低すぎる場合は人手が余っている可能性が高いため、どちらも人件費に多大な影響を与えます。
特に人手不足の場合は「電話がつながらない」「面倒くさそうに対応された」など、応対品質の低下に直結する危険な状態です。
とはいえ単純に人を増やせば良いというわけではなく、入電数によってシフトを細かく区切る、短時間勤務を入れるなどの細やかな人員調整が必要です。
占有率が低い場合も同様にシフト調整が必要ですが、場合によっては他部門への異動なども視野に入れて調整すると良いでしょう。
待機時間を有効活用する
占有率が低い場合に多いのが「待機時間の長さ」です。
オペレーターにとって適度な待機時間は必要ですが、長すぎても集中力が分散されてミスが起こりやすいと言われています。
曜日や時間帯によって入電にバラつきがあるのはコールセンターの宿命ですが、待機時間も業務の一貫として考え、無駄にしないことが大切です。
待機時間は資料を見直すことを基本とし、自身のコールや優良コールのモニタリング、ミニテスト、タイピング練習など状況に合わせて実施すると良いでしょう。
また、個人面談を行って日頃のストレスや悩みを聞き出し、メンタルケアに当てるのも有効です。
待機時間の活用は占有率を適正値に保つだけでなく、コールセンターの品質そのものを向上させる絶好のチャンスと言えるでしょう。
システムを活用しオペレーターの負担を軽減する
占有率を適正に保つためには、オペレーターの負担を軽減しパフォーマンスを最大限発揮できる環境づくりが重要です。
オペレーターの負担を軽減する手段として、システムの活用も検討すると良いでしょう。
例えば、オペレーターに代わって自動音声システムが一次対応を行うIVR(自動音声応答機能)、入電をあらかじめ設定した条件や優先度などに基づき自動でオペレーターへ振り分けるACD(着信呼自動分配装置)などです。
これらを連携することによって用件に特化したオペレーターが対応できるので、顧客満足度の向上に役立ちます。
また、新人オペレーターに難度の低い用件を振り分けることで、段階を踏んだ教育が可能になり離職の防止にもつながります。
まとめ
適正な占有率を保ち品質を維持するためには、細やかな人員調整やオペレーターに対するケアが不可欠です。
ただし、どれも継続して行う必要がありすぐに結果が出るというわけではありません。
中央事務所は、専門講習を受けたプロのオペレーターが在籍しており、月間総受電数6万件(※1)、新規入電応対率98%(※2)、さらにカスタマー応対率95%(※3)を維持するなど確かな実績がございます。
安定的なコールセンター運営をより早く実現したい場合は、コールセンターに特化した外部委託を検討してみてはいかがでしょうか。
※1: 月間総受電数6万件
2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計
※2: 新規入電応対率98%
2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出
※3: カスタマー応対率95%
2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
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