コールセンターにおけるエスカレーションの意味・対応方法・減らす工夫を解説
公開日 2023.08.25
更新日 2024.01.29
知識

コールセンターにおけるエスカレーションの意味・対応方法・減らす工夫を解説

企業のコールセンターでは、オペレーターが顧客からの電話を受け付けます。しかし、時にはオペレーターだけで対応できない問い合わせも発生するでしょう。このようなシーンで、適切な担当者に引き継ぐことをエスカレーションと呼びます。 コールセンターのエスカレーションは、電話対応の品質や顧客満足度に関わる重要なポイントです。そこでこの記事では、コールセンターにおけるエスカレーション対応の方法や、減らす工夫について解説します。  

エスカレーションとは?

まず、「エスカレーション」の一般的な意味についてみていきます。 エスカレーションは英語で拡大・上昇を意味し、ビジネスシーンでは「段階的に上位にアプローチすること」として使用される用語です。仕事で問題が発生した際に、上司に相談して指示を仰いだり、対応を引き継いだりすることがエスカレーションにあたります。 上司への報告があくまで現状を伝える行為であるのに対し、エスカレーションは今後の対応を含めて相談するところが特徴です。 また、エスカレーションは業界や職種によって意味合いが異なることから、コールセンターにおけるエスカレーションとは何なのか、正しく理解しておきましょう。  

コールセンターにおける「エスカレーション」が指す意味とは?

コールセンターにおけるエスカレーションとは、オペレーターが1人で対応できない電話を責任者や担当者に引き継ぐことです。 コールセンターには様々な問い合わせが寄せられますが、オペレーターの知識やスキルによっては対応できない内容もあるでしょう。この場合、エスカレーションによって商品・サービスに詳しいオペレーターや担当部署に電話を転送します。 また、クレームの電話もエスカレーションするケースが多いです。オペレーターに代わってSV(スーパーバイザー)や上司がクレームを受けることで、顧客の不満を解消しやすくなります。 エスカレーションを上手く使えば、オペレーターだけで対応できない問題でも解決策を見つけられるところがメリットです。  

コールセンターでエスカレーションが必要になるケース

コールセンターにおけるエスカレーションでは、オペレーターが難しい電話対応を適切な担当者に引き継ぎます。実際にどのようなケースでエスカレーションが必要になるのか、2つの例をみていきましょう。  

担当したオペレーターで解決できない問い合わせが来たケース

顧客からの電話を受け付けたオペレーターが一次解決できないケースでは、エスカレーションが必要です。 例えば、商品・サービスの値段交渉や情報開示など、オペレーターに回答権限のない問い合わせは、エスカレーションの対象となります。また、クレームの電話で責任者とのやり取りを求められ、やむを得ずエスカレーションするケースもあるでしょう。 さらに、オペレーターに知識や経験が不足しているなら、エスカレーションしてSV(スーパーバイザー)にフォローしてもらうのもひとつの手段です。 もしオペレーター自身が判断に迷う場合は、すぐに責任者に電話を引き継ぐのではなく、一旦保留にして相談してもいいでしょう。コールセンターのエスカレーションは、顧客の問い合わせを解決するために行うものだと認識するようにしてください。  

業務フローでエスカレーションが義務付けられているケース

コールセンターによっては、業務フローでエスカレーションを義務付けているケースも見られます。 オペレーターでは回答できないレベルの質問や、責任者の謝罪を求めるクレームなどは、エスカレーションの対象になりやすいものです。そのため、業務フローでエスカレーションに関するルールを決めておけば、オペレーターが判断に迷わずに済みます。 どうしてもエスカレーションせざるを得ない場合でも、できるだけ早く顧客ニーズにアプローチする姿勢が大切です。オペレーターはもちろん、SV(スーパーバイザー)や責任者もコールセンターにおけるエスカレーションの対応方法を把握しておきましょう。  

コールセンターのエスカレーションで発生しやすい事象

コールセンターでは、エスカレーションが必要となるケースも起こり得ます。このエスカレーションによって、どのような問題が発生するのでしょうか?ここでは、エスカレーションがコールセンターに及ぼす5つの影響について解説します。  

オペレーターがエスカレーションすべきかの判断に悩んでしまう

オペレーターは、臨機応変に顧客からの電話に対応する中で、エスカレーションすべきかどうか判断しなければなりません。 しかし、新人や経験の少ないオペレーターでは、エスカレーションの対象となる問い合わせを見極めることが難しくなります。エスカレーションの判断が遅れてしまい、顧客に不信感を与える事態は避けたいところです。また、オペレーター個人の判断に任せても対応に差が生じやすくなり、トラブルやクレームを招きます。 一方で、安易なエスカレーションは責任者の負担を増大させる原因になりかねません。そのため、オペレーターが的確にエスカレーションの判断を下せる基準を作ることが重要だといえます。  

カスタマーサポートの品質向上

コールセンターのエスカレーションで引き継ぎに時間がかかると、その分顧客を待たせてしまいます。 また、保留が長引いたり、担当者が何度も交代したりすることで顧客の不満が増大してしまう可能性もあります。さらに問い合わせ1件にかかる対応時間が伸びるため、コールセンター全体の業務効率が低下する結果となります。 このように、顧客から「電話が繋がりにくい」というイメージを持たれることは、コールセンターにとって大きなマイナス要素です。オペレーターが適切にエスカレーションできない環境では、かえって顧客満足度を低下させてしまうリスクに注意してください。  

特定の人にエスカレーションが集中してしまう

コールセンターで特定の人にエスカレーションが集中してしまう状況は、避けなければなりません。 オペレーターからのエスカレーションが多発した場合、特定の責任者に大きな負担がかかってしまいます。また、責任者が1件ずつエスカレーションに対応していて顧客を待たせてしまった結果、深刻なクレームに発展する可能性もあるでしょう。 このようにエスカレーションフローに問題があると、コールセンターの業務が停滞するだけでなく、顧客満足度も低下してしまいます。 コールセンター内でエスカレーションを受け付ける担当先を増やすとともに、オペレーターがエスカレーションする件数を減らす工夫にも取り組んでください。  

エスカレーションの連携に時間を要してしまう

コールセンターでエスカレーションの連携に時間を要してしまうことも、問題のひとつです。オペレーターがエスカレーションするときに、誰に対応を引き継いでもらうのかすぐに決まらなければ、顧客を待たせたままになってしまいます。 また、エスカレーションで担当者に質問や相談をする場合も、あまり時間をかけすぎないようにしなければなりません。コールセンターのエスカレーションでは、問い合わせ内容を簡潔にまとめ、適切な担当者とすばやく連携できる体制を築くことが重要です。  

エスカレーションの情報共有がうまくいかない

エスカレーションで、オペレーターと責任者の情報共有がうまくいかないことも想定されます。 オペレーターがエスカレーションで伝える項目に不備があれば、担当者が正確な情報を把握できず、その後の対応ミスに繋がってしまいます。また、エスカレーションを受ける担当者によって引き継ぎの方法が異なると、オペレーターの混乱を招いてしまいます。 そのため、オペレーターの知識や経験値にかかわらず、スムーズに担当者と情報共有できるエスカレーションの仕組みが必要です。  

コールセンターのエスカレーションをスムーズに行う方法

エスカレーションによってオペレーターの電話対応をフォローできる一方で、業務効率や顧客満足度の低下を招くというデメリットもあります。そこで、コールセンターのエスカレーションをスムーズに行うためにはどうすればいいのか、考えてみましょう。  

エスカレーションフローの作成と浸透

コールセンターのエスカレーションを円滑化するには、対応フローの作成と浸透が有効な方法です。 エスカレーションフローを作成するにあたって、まず対象となる問い合わせ内容を定義してください。エスカレーションの基準を明確にすれば、オペレーターが安心して判断できるようになります。併せて、電話対応の品質を均一化して業務効率を高めることも可能です。 また、エスカレーションフローでは、「いつ」「誰に」「どのような手段で」という3つのポイントに着目します。エスカレーション先や手段については、オペレーターと担当者がスムーズに連携できるように、複数の代替案を用意するといいでしょう。 さらに、エスカレーションフローを適用する際には、コールセンターの実情に合っているか必ず確認してください。必要に応じてエスカレーションフローを見直し、コールセンター全体に浸透させていきましょう。  

コールセンターシステムの活用

コールセンターシステムを活用することで、スムーズなエスカレーションが実現します。 コールセンターシステムとは、コールセンター業務を効率よく進めるためのシステムです。例えば、顧客管理システムを使って顧客情報を共有することで、エスカレーションの引き継ぎにかかる時間や手間を減らせます。また、エスカレーションを受ける担当者にとっても、正確な情報に基づいて顧客対応できるところがメリットです。 さらに、電話帳の機能にエスカレーション先を登録しておけば、担当者への転送が容易になり、顧客の待ち時間も短縮されます。 エスカレーションフローに適切なコールセンターシステムを取り入れ、オペレーターと担当者の連携を強化しましょう。  

コールセンターのエスカレーションを減らすための工夫

コールセンターのエスカレーションを減らすことができれば、責任者の負担軽減やオペレーターのスキルアップに繋がるでしょう。ここでは、コールセンターのエスカレーションを減らすための3つの工夫について説明します。  

オペレーター向けのFAQを用意する

ールセンターのエスカレーションを減らすために、オペレーターが自力で対応できる環境を整えましょう。 コールセンターでよくある質問と回答をまとめ、オペレーター向けのFAQとして提示すれば、誰もが適切な手順で電話対応できるようになります。このようにFAQを参照して電話対応していくなかで、オペレーター自身のスキルアップも見込めるでしょう。 その結果、オペレーターの一次解決率が高まり、比例してエスカレーションの件数は減ります。また、エスカレーション対応に伴うSV(スーパーバイザー)や責任者の負荷が軽減される点も、大きなメリットです。FAQの内容は定期的に見直し、運用状況に応じた更新を心がけるようにしてください。  

オペレーターの教育や通話中のサポートを手厚くする

オペレーターの教育や通話中のサポートに力を入れ、エスカレーションを減らしましょう。 FAQやマニュアルの整備だけでなく、研修を実施してオペレーターを育成していく取り組みが大切です。 また、コールセンターシステムを導入すれば、オペレーターの通話を手厚くサポートできます。エスカレーション削減に役立つコールセンターシステムの例は、以下の通りです。 ・通話内容のテキスト化 オペレーターの通話内容をリアルタイムでテキスト化する機能により、責任者が問い合わせ内容や対応状況を把握しやすくなります。エスカレーション時の情報共有やフォローの円滑化が可能です。 ・通話音声のモニタリング・アドバイス機能 責任者がオペレーターの通話音声を聞きながら、顧客に聞こえないようにアドバイスできる機能です。その場で電話対応のフォローができるため、エスカレーションする必要性がなくなります。  

オペレーターのレベルに合わせて対応範囲を広げていく

オペレーターが対応できる問い合わせの範囲を広げていくことも、エスカレーション削減の工夫のひとつです。 オペレーターの権限を増やせば、エスカレーションせずに対応できる問い合わせ数が増加します。結果としてSV(スーパーバイザー)や責任者が自分の業務に集中できるようになり、コールセンター全体の生産性向上も可能になるでしょう。 一方で、オペレーターに任せる範囲を広げすぎると、電話対応の品質にばらつきが生まれるリスクも考えられます。そのため、オペレーターの経験値や知識、スキルを十分考慮した上で、対応範囲の拡大を検討してください。 また、現状に合わせるだけでなく、オペレーターのスキルアップを促進することで、エスカレーションの少ないコールセンターを目指しましょう。  

まとめ

コールセンターのエスカレーションとは、オペレーターが対応できない問い合わせを責任者に引き継ぐことです。オペレーターに回答権限がない質問や、クレームの電話ではエスカレーションが必要となるほか、業務フローで義務付けられているケースもあります。 一方で、コールセンターのエスカレーションは、顧客満足度や業務効率の低下を引き起こす要因です。そのため、エスカレーションフローの運用やコールセンターシステムの活用を通して、エスカレーションの円滑化を図りましょう。また、オペレーターの電話対応業務を丁寧にサポートし、エスカレーション数を減らす工夫も必要です。 中央事務所は、月間の総受電件数6万件(※1)、新規入電の応対率98%(※2)という実績を持つ電話代行サービス会社です。また、カスタマー応対率は95%(※3)を維持しており、企業様を手厚くサポートします。 中央事務所では、専門講習を受けたオペレーターが質の高い電話対応を行っています。さらに業務範囲や使用ツールを充実させることで、企業様のニーズに幅広くお応えします。コールセンターにおけるエスカレーションへの対応方法に悩んでいる企業様は、中央事務所にご連絡ください。 ※1: 月間総受電数6万件 2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計 ※2: 新規入電応対率98% 2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出 ※3: カスタマー応対率95% 2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
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