公開日 2023.07.25
更新日 2024.01.29
知識
電話対応マニュアルの作り方〜作成手順やポイントを解説
どの企業においても、電話対応は欠かせない業務のひとつです。電話対応の良し悪しによって、企業イメージを大きく左右するため、「電話対応に苦手意識を持つ社員が多い」「教育方法が分からない」と悩まれているのであれば、積極的に改善を図るべきといえるでしょう。
その際、電話対応マニュアルを用いるのが、最も有力で身近な手段といえます。企業の方針や提供する商品・サービスに沿ったマニュアルを作成することで、応対品質の向上や業務効率化に役立ちます。
そこで今回は、電話対応の重要性を踏まえ、マニュアルの作成手順とポイントをご紹介します。
電話対応の重要性について
電話対応は、企業と顧客をつなぐ重要なコミュニケーション手段です。多くの顧客は、電話対応でどれだけ親切・丁寧に対応してくれるかで、企業に対する印象を形成します。
つまり、どんなに優良で競合に負けない商品・サービスを提供していても、電話対応レベルが低いと、その企業への信頼感や愛着感は薄れてしまい、顧客満足度の低下を招く可能性があるということです。
一方、適切に対応できれば、相手に良い印象を与え企業全体のイメージアップにつながります。
そのため、電話対応に課題を抱えているのであれば、電話対応の重要性を理解し、適切に対応できるよう、電話対応マニュアルの作成・運用をおすすめします。
電話対応マニュアルとは
電話対応する際に身につけるべき基礎的な内容や、イレギュラー対応などをまとめたものを「電話対応マニュアル」と言います。
ひとえに電話対応といっても、電話をかけてくる相手や問い合わせ内容は多岐に渡り、いつも同じパターンで応対できるわけではありません。しかし電話対応の場では、どのような状況においても冷静沈着に、尚且つ適確に応対するスキルが求められます。
そこで必要となるのが、電話対応マニュアルです。
電話対応マニュアルを準備することで、安定した応対品質の確保が可能になるのはもちろん、クレームや苦情など、予期せぬ事態が生じても、落ち着いて対応できるようになるでしょう。
電話対応マニュアルを制作するメリット
電話対応マニュアルを制作することで、業務の無駄を削減し、効率よく電話対応を進められます。また、担当者の応対品質レベルの差を埋め、品質向上もしくは平準化にも期待できるでしょう。
ここでは、電話対応マニュアルを制作するメリットをご紹介します。
業務効率、生産性の改善
電話対応マニュアルを制作することで、業務効率の向上と生産性改善が図れます。
マニュアル作成時には、業務内容の整理からスタートするのが一般的な手順ですが、その際、これまでの業務の流れを洗い出し、見直す必要があります。
電話を受けてから応対後の後処理までのステップを可視化することで、業務内容に不必要な箇所はないか?作業工程に抜け・漏れがないか?など、業務の明確化につながります。
問題点が見つかった場合、その箇所を修正すれば業務の無駄を省き、効率良く電話対応を進められるようになるでしょう。
また対応に迷った際、マニュアルが手元にあれば、一から自分で調べたり、上司に判断を仰いだりする必要がなくなるため、電話対応がスムーズに進められます。
電話を受けてから「どのように対応すべきか?」と悩まなくなるだけで業務効率が上がり、結果として企業全体の生産性向上を図れるでしょう。
顧客満足度の向上
電話対応マニュアルを制作することで、電話対応者の応対品質レベルの差が軽減され、顧客満足度向上につながります。
近年、顧客が求めるサービスレベルは向上しており、「商品・サービスは良いものである」を前提とし、それを販売する社員の対応品質も保たれていないと、顧客は満足しない傾向にあります。
そこで、案内すべき対応内容の全体像や、トーク内容をまとめたマニュアルがあれば、顧客から寄せられる質問や疑問に対し、迅速かつ一定の品質を保った対応が可能です。
素早いレスポンスと明解な案内ができれば、顧客からの信用を得られ満足度が向上し、さらにはリピーターや新規顧客獲得にも期待できるでしょう。
電話対応マニュアルに含むべき内容
電話対応マニュアルの作成にあたって、以下の項目は必ず含めましょう。
● 企業・商品/サービスに関する情報
● 基本的なビジネスマナー
● トークスクリプト
● 業務フロー・システムの使い方
それぞれの項目について、具体的に解説します。
企業・商品/サービスに関する情報
まずは、企業の商品・サービスに関する情報を盛り込みましょう。
顧客が電話をかけてくるほとんどの理由は、提供する商品・サービスの注文希望や、商品購入前後の質問・相談などです。
その際、顧客は「電話担当者が企業の代表」と思い話を進めます。疑問や相談に対し迅速・適切に答えられなければ、「なぜ、従業員なのに自分の会社のことを知らないのか」といった疑問を持ち、信頼喪失のきっかけにもなりかねません。
そのため、マニュアルには商品・サービスの基礎知識やラインアップ、網羅的に情報を記載する必要があります。一例として、以下の内容を含めるとよいでしょう。
● 商品の特徴
● 使用方法
● 保証の有無やサポート期間
● よく聞かれるFAQ など
これらすべてマニュアルに含むのが理想ですが、集約が難しければ自社商品のカタログ、または商品・サービスに特化したマニュアルを別途作成しましょう。
基本的なビジネスマナー
電話対応の基本となる「ビジネスマナー」も、マニュアルには欠かせません。
ビジネスマナーにはいくつか種類がありますが、なかでも「敬語」の使い方には注意が必要です。間違った敬語を使ったり、状況にそぐわない敬語フレーズで応対したりすると、相手に不快感を与えクレームにつながる可能性があるからです。
マニュアルには、丁寧語・尊敬語・謙譲語の使い分け方や、相手に良い印象をあたえるクッション言葉の種類などを記載しましょう。
また、電話を受けるビジネスマナーとして、3コール以内に電話を取るのが基本です。万が一、3コール以上待たせてしまった場合には、「大変お待たせいたしました」と一言添える、というような基本的なビジネスマナーもマニュアルに盛り込みましょう。
トークスクリプト
トークスクリプトとは、電話対応において想定される受け答えや、案内すべき内容などをまとめた「台本」です。具体的には、会話の出発点である「名乗り・挨拶」から、対応完了を告げる「終話」までの流れを円滑に進めるためのものです。
トーク内容は、業務内容や自社の商品・サービスによって話す内容は異なりますが、おおむね以下のように構成します。
● オープニングトーク
● メイントーク
● クロージングトーク
これらをもとに、定型文や決まり文句を各企業がアレンジし作成します。その際、もっとも適切なのは「フローチャート形式」での作成です。
フローチャート形式にすることで、顧客のリアクションに応じたトークの切り替えがスムーズになり、円滑に話を進められるようになるでしょう。具体的なトークスクリプトの作成方法については、後述します。
業務フロー・システムの使い方
業務フローやシステムの使い方についても、マニュアルに取り入れましょう。
まず業務フローとは、仕事の流れを図で表したものです。業務を円滑に進めるには、次に何をすべきか、誰に引き継ぐべきかなど、電話担当者が仕事の流れを把握する必要があります。
また電話対応する際には、ヘッドセットやマイク、顧客とのやり取りを残すためのパソコン、それに伴うツールを使用するケースが多々あります。それらシステムの使い方もマニュアルに記載し、使い方に困ったときに一目で解決できるようにしましょう。
システムの使い方に困ったとき、各自で対処できる仕組みを作ることで、業務効率の改善と顧客を待たせる状況を未然に防ぎ、対応品質の向上につながります。
電話対応マニュアル作成の手順
電話対応マニュアルの作成手順は、以下の通りです。
● 業務内容の整理
● トークスクリプトの作成
● マニュアルの運用とアップデート
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
業務内容の整理
電話対応マニュアルの作成で最初にとりかかるのが、業務内容の整理です。電話対応業務に必要なデータを集めてカテゴリー別に分類、そこからマニュアルに記載すべき内容を整理していくパートです。
具体的には、大枠のカテゴリから小さなカテゴリまで業務フローに落とし込んでいき、簡潔でわかりやすいマニュアルにしていきます。
一例として、以下のように業務内容を整理していきましょう。
<大分類としてのカテゴリ>
● 電話の受け方
● 電話のかけ方
● クレームや苦情対応の方法
<小分類のカテゴリ(例:電話の受け方)>
● 電話に出る時の名乗り方や挨拶
● 問い合わせ内容の確認
● 顧客からヒアリングした内容の確認、復唱
● 通話終了時の挨拶
ステップごとに、どのようなトーク内容や展開が予想されるのか整理していき、次のトークスクリプト作成に活用します。
トークスクリプトの作成
業務内容が整理できたら、トークスクリプトを作成します。
トーク内容は、問い合わせしてくる主なユーザー像(年齢や職業、価値観、行動パターンなど)を設定します。そのユーザーとの会話を想定したものを複数パターン作成しましょう。
具体的には、電話対応における定型的なやり取りや、シチュエーション別の例文を記載すれば、トークの流れが理解しやすくなります。
以下に、一般的な構成とトーク例を紹介します。
<オープニングトーク>
トークスクリプトの導入部分にあたるのが、オープニングトークです。「お電話ありがとうございます」と挨拶した後、企業名と名前を名乗ります。
トーク例:「お電話ありがとうございます。◯◯会社◯◯です」
<メイントーク>
メイントークでは、業務内容や取り扱う商品・サービスによって異なりますが、シチュエーション別のトーク例は以下の通りです。
・相手の話を聞く時
「本日は、どのようなご用件でしょうか?」
・相手の話に共感する時
「さようでございますか」
・こちらから質問する時
「◯◯について、もう少し詳しく教えていただけますか?」
<クロージングトーク>
クロージングトークでは、お問い合わせいただいたこと、貴重なお時間を頂戴したことに対し、お礼を述べて締めくくります。
トーク例:「この度は、お電話いただきありがとうございました」
マニュアルの運用とアップデート
電話対応マニュアルは、一度完成したらそれで終わりという訳ではありません。重要なのは、適切なマニュアル運用と適宜アップデートです。
まず運用については、マニュアルを忠実に守るだけでなく、状況に応じて臨機応変にアレンジすることも大切です。電話の相手は「人」であることを念頭に置き、相手の話し方や温度感によって、同じトーク内容でも言い方や話す順番を変えることが求められるでしょう。
次に、電話担当者から使用感のヒアリングも必要です。どれだけ完成度の高いマニュアルであっても、実践で使用すると使いづらさや案内方法の違和感など、不備が見つかるものです。
また、新たな商品・サービスがリリースされた場合、それにまつわる問い合わせが増えることも予想し、商品概要や想定される質問などもマニュアルに追加しましょう。
このように、会社の状況や業務内容の変更に応じて、その都度マニュアルのアップデートを行い、運用の最適化を図る必要があります。
電話対応マニュアル作成におけるポイント
電話対応マニュアルを作成する際には、以下2つのポイントを理解して、誰が見てもわかりやすく、使いやすいマニュアルを目指しましょう。
● フローチャートを元にトークスクリプトを作る
● イレギュラーな対応に関しても基本ルールを決めておく
それぞれのポイントについて、ご紹介します。
フローチャートを元にトークスクリプトを作る
トークスクリプトを作成する際には、フローチャートを用いるのが一般的です。フローチャートとは、相手の返答によって次に話すべき内容を図で表したものです。電話を受けてから切るまでの流れを即座に確認できるため、案内方法に迷ったり、誤案内を回避できたりします。
たとえば、「リピーター顧客からの入電はAへ/新規顧客からの入電はBへ」「注文希望はAへ/使い方についてのお問い合わせはBへ」などのように、電話の相手や入電内容によって受け答え例を作成しましょう。
なお、フローチャートを元にトークスクリプトを作成する際には、必要な情報だけをすぐに確認できるよう、項目ごとに適切な見出しや、文章は必要最低限にするなど、簡潔で見やすい仕様にすることもポイントです。
イレギュラーな対応に関しても基本ルールを決めておく
入電内容は、商品・サービスの注文や使い方などの一般的なお問い合わせから、クレームや苦情などのイレギュラーな内容まで多岐に渡ります。
なかでも電話担当者が苦手意識を持ち、対応に苦戦するイレギュラー対応においては、基本ルールをあらかじめ決めておきましょう。
クレームを受けたときの案内方法や対処法など、企業としての基本ルールが設定されていないと、担当者は対応の迷いや混乱から、その場しのぎの応対をしてしまうこともあるからです。
たとえば、出来ないことを「できる」と言ってしまうなど、誤った対応をしてしまうと、二次クレームに発展するケースも考えられます。そのため、イレギュラーな対応が必要になったとき「どう対応すべきか」をマニュアルに載せることがポイントです。
なお、イレギュラー対応が発生する機会は少なく、基本ルールの設定が難しい場合には、起こり得るイレギュラー事例を想定し、その解決法を記載するとよいでしょう。
まとめ
電話対応マニュアルがあれば、どのような入電に対しても慌てることなくスムーズに応対できるようになります。それにより、顧客満足度の向上や業務効率改善にも期待できるでしょう。
しかし、「テンプレート通りに作成すればよい」というわけではありません。今回紹介したマニュアルに盛り込む内容や作成手順、ポイントなどは各企業の方針や展開する商品・サービスに沿っている必要があります。さらには、マニュアルに記載した内容を基本としながら、電話担当者には臨機応変な対応も求められます。
現状、適切なマニュアル作成や電話担当者の教育が難しい場合には、電話対応の全般を電話代行サービスに委託するのも有効な手段といえます。自社で時間や手間をかけることなく、理想的な電話対応を行ってくれるでしょう。
株式会社中央事務所は、専門講習を受けたプロのオペレーターが在籍しており、月間総受電数6万件(※1)、新規入電応対率98%(※2)、さらにカスタマー応対率95%(※3)を維持するなど確かな実績がございます。
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※1: 月間総受電数6万件
2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計
※2: 新規入電応対率98%
2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出
※3: カスタマー応対率95%
2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
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