
取締役副社長 / コンタクトセンター検定スーパーバイザー
コールセンター業界で8年、管理職としても7年従事し、コールセンター立ち上げやACDシステムの内製化等、運営業務に携わってまいりました。コールセンター運営のノウハウ、マネジメントスキルを活かし貴社のパートナーとしてビジネスの成長に貢献させていただきます。業界特性やニーズに合わせて最適なご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
目次
顧客対応の効率化や売上向上を目的に、テレフォンオペレーターの配置を検討している企業も多いのではないでしょうか。
確かに、お客さまとの貴重な接点をもつテレフォンオペレーターを配置することで、応対品質によっては顧客満足度の向上や企業のイメージアップ、そして売り上げ増加を促す効果が得られるでしょう。
しかし、「オペレーターを入れるにはどうしたらよいのか」「そもそもコールセンターに関するノウハウがない」といった、課題を抱えている企業も少なくありません。
今回は、テレフォンオペレーターの仕事内容や体制の整え方、またコールセンターとは何が違うのかを具体的にご紹介します。
テレフォンオペレーターは、電話での商品・サービスの受注から、お問い合わせの回答、クレーム対応まで多岐にわたる業務を担います。
似た名称の業種に、オペレーター側から架電をするテレフォンアポインターがありますが、テレフォンオペレーターは「受電業務がメイン」です。
企業の中で最もお客さまに近い場所に位置しているテレフォンオペレーターは、企業の第一印象を左右する重要なポジションとして考えられています。
テレフォンオペレーターとコールセンターは、同じものと認識している方がいますが、実は別物です。
一般的に、お客さまとの電話対応に特化した「窓口や拠点」のことをコールセンターとし、電話を受けて対応する「業務を担っている人」のことをテレフォンオペレーターと呼んでいます。つまり、コールセンターという窓口で、電話対応をしている人がテレフォンオペレーターということです。
ここでは、テレフォンオペレーターの仕事内容や向いている人の特徴についてご紹介します。
また、似た業務に「カスタマーサポート」と「テクニカルサポート」があります。それぞれの仕事内容とテレフォンオペレーターとの違いも併せてみていきましょう。
テレフォンオペレーターは、電話で問い合わせや相談を受けたり、注文手続きを承ったりするなど、お客さまと企業をつなぐ重要な役割を担っています。
対応内容は多数ありますが、代表的な業務は以下の通りです。
・各種お問い合わせ業務
・商品やサービスの受付、注文業務
・担当部署や担当者への取り次ぎ業務
テレフォンオペレーターの仕事は、お客さまとやり取りをする際のトークや、確認すべきことがマニュアル化されているため、業務自体は覚えやすいことが特徴です。
しかし企業によっては、次に紹介する「カスタマーサポート」や「テクニカルサポート」のような、細かな対応や複雑な説明が必要な業務も含まれる場合があります。
カスタマーサポートの仕事内容は、お客さまからの問い合わせや、クレームなどに対応することです。主に、EC(通販)サイトやインターネットなどの通信事業、保険会社など、商品やサービスを展開している企業に配置されています。
テレフォンオペレーターとの違いとしては、電話をかけてくる相手が異なる点です。テレフォンオペレーターは「新規顧客」をメインとしていますが、カスタマーサポートは「既存顧客」をメインとしています。
また、カスタマーサポートは、すでに商品・サービスを利用した方からの疑問や相談が寄せられます。そのため、丁寧に説明するコミュニケーションスキルに加え、どのような質問や相談にも対応できる、商品・サービスへの深い知識も必要といえるでしょう。
テクニカルサポートの仕事内容は、IT関連製品の不具合や操作方法などの対応です。主に、ソフトウェアやハードウェアなどのIT関連事業、家電製品の販売をしている企業に配置されています。
テレフォンオペレーターとの違いとしては、テクニカルサポートで対応する内容はより専門的であるということです。技術的な観点から、お客さまをサポートする必要があるため、特定のサービスや製品に関して専門的な知識を養う必要がある業務といえます。
テレフォンオペレーターに向いている人は、以下の通りです。
・説明がうまい人
・相手の話を正しく理解できる人
・相手側の立場で柔軟に対応できる人
お客さまと会話して業務を遂行するテレフォンオペレーターは、聞いた話を正しく理解し、内容をまとめられる人が向いています。なおかつ、誰にでもわかるような言葉を選び、上手に説明できる人でなければなりません。
また、対話する相手によって話すテンポを変え、状況に応じて話す熱量を加減するなど、相手側の立場で柔軟に対応できる人も適任といえるでしょう。
コールセンターや業務内容によって多少違いはありますが、テレフォンオペレーターの仕事は以下の流れに沿って進められます。
①電話を受ける
②お問い合わせ内容のヒアリング
③内容に応じた対応・案内
④対応内容の記録(事務処理)
以下に詳しく説明します。
電話を受ける際は、3コール以内に出ることを心がけましょう。万が一、3コール以上待たせてしまった時には「お待たせいたしました」と一言添えるのがマナーです。
次に、電話に出たら、明るくハキハキとした声で名乗ります。名乗り方は企業によって異なりますが「お電話ありがとうございます。◯◯会社◯◯が承ります」と、会社名と名前を名乗るのが一般的です。
また、オペレーターの第一声は、企業の印象を左右します。お客さまに好印象を持ってもらうためにも、誰が聞いても感じの良い電話の受け方を意識しましょう。
商品・サービスの受注であれば、そのまま受付手続きに進みます。しかし、質問や相談、クレームなどの場合は、お問い合わせ内容のヒアリングが必要です。ヒアリングする際は、適度なあいづちを打つことも大切ですが、聞きもれや聞き間違いがないよう、復唱しながらメモにとっていきましょう。
ひととおり、ヒアリングができたら内容を簡単にまとめて、お客さまが伝えたかった内容とオペレーターの理解が合っているか確認します。
理解の不一致や、確認不足がある場合には「恐れ入りますが」「差し支えなければ」などのクッション言葉を用いて確認や質問を行いましょう。
商品・サービスの受注希望や、マニュアルFAQ・トークスクリプトに記載されているような問い合わせ内容であれば、そのまま受注対応や案内を行います。
なかには、自身では判断が難しい内容や、上司への相談が必要なお問い合わせもあるかもしれません。その場合は、曖昧にせずいったん保留にし、少々お待ちいただくか、確認に時間がかかりそうであれば電話を切り、折り返し対応にしましょう。
お客さまとの通話が終了した後には、対応内容のやりとりを記録(事務処理)を入力する作業も必要です。対話内容の記録は、パソコンの履歴管理システムに入力していくため、基本的なパソコン操作やタイピングスキルもオペレーターに求められるでしょう。
記録する内容は「入電目的」「対応・案内結果」「エスカレーションすべきこと」などを入力します。例えば、折り返し対応となり1回の通話で完結しなかった場合は「◯◯について確認したうえで、折り返し対応」というように状況を記録します。
テレフォンオペレーターで身につくスキルは言葉遣いやマナー、そしてコミュニケーション能力です。これらのスキルはコールセンター以外にも、社会人として、どのような職種の仕事にも必要とされる基礎ともいえるでしょう。
それぞれの身につくスキルについて、以下に詳しく説明します。
テレフォンオペレーターは、企業の顔としてお客さまと対話をします。声や話し方だけで相手に良い印象をもってもらうためには、ビジネスシーンで活躍できるような言葉遣いやマナーが必須です。例えば、「教えてください」ではなく「詳しい話を伺えますでしょうか」のような正しい敬語や物腰の柔らかい話し方をします。これは、業務の中で必ず意識する必要があるため、自然と身につくスキルです。
また、電話を「受ける・かける」に関係なく、相手がお客さまである場合、オペレーター側から電話を切るのはマナー違反です。コールセンターでは、お客さまが電話を切ったのを確認してから、こちらも受話器を置くなどのマニュアル化も進んでいるため、基本的なマナーも身につきます。
テレフォンオペレーターは、お客さまと声だけで適切な対応ができる、コミュニケーション能力が得られます。コミュニケーション能力は、すぐに習得できるものではありませんが、日々の業務の中でお客さまの声をしっかりと傾聴し、共感することを意識できれば自ずと身につくスキルです。
さらに、コミュニケーション能力が得られるのと同時に会話力(セールストーク)も養われます。会話力が向上することで、オペレーター業務以外の営業職や販売職にも役立つでしょう。
テレフォンオペレーターの体制を整えるには、以下の手順を踏むのが一般的です。
①コールセンター立ち上げの目的を決める
②現状を把握し課題を定義する
③業務プロセスや組織構成を設計する
④構築・実装する
それぞれのステップについて、詳しくみていきましょう。
まずは、コールセンターを立ち上げるのに至った背景や経緯を整理し、目的を決めます。
例えば「顧客満足度の向上」や「効率のよい電話応対を目指す」など、企業の経営方針に沿って目的を明確にしましょう。目的がなく運営方針も曖昧なままだと、コールセンターを設置しても利益を得られなかったり、サービスクオリティの低下を招いたりと、結果コールセンターを立ち上げるメリットが得られなくなるかもしれません。
また、目的や方向性を整理し、立ち上げ関係者に共有することで、判断軸や進むべき道が明確になります。これ以降の手順が、スムーズに進められるでしょう。
コールセンターを立ち上げる目的が定まれば、次に自社の現状を把握し課題を定義させます。
具体的には、以下の項目を確認しましょう。
・組織体制
・マネジメント
・運用のプロセス
・コールセンターのシステム
例えば「運用のための組織体制が整っていない」「オペレーターの配置をマネジメントできる管理者がいない」「コールセンターシステムの導入方法がわからない」このように現状を把握することで、企業にとっての課題や問題が見つけやすくなります。
その際は、センター立ち上げに直接かかわる担当者だけでなく、客観的な意見を把握するためにも関連部署の担当者も含めて、ヒアリングを実施しましょう。
課題や現状の問題点をもとに、業務プロセスや組織構成を設計します。
まず、コールセンターを立ち上げた際に想定される、さまざまな業務プロセスを明確にし設計します。例えば、オペレーターの業務フローを始め「イレギュラーな事態にはどう対処するのか」「対応履歴はどう残すのか」「実績報告の手順はどうするのか」など。想定できることは細部まで調査・検討し業務プロセスを設計していきましょう。
次に、組織構成においては、コールセンター開設の目的を達成するために、どれほどのセンター規模が必要で、人数を要するのかを算出して組織構成します。この段階では、コスト面を考慮することにくわえ、人材をどのように確保するのかも課題となるかもしれません。実際に運用を始めてから後悔することがないよう、自社の規模や業務内容をよく検討したうえで、適切な組織体制を設計していきましょう。
ここまでに設計してきた内容をもとに「業務システム」「業務フロー」「人材の採用と教育」の構築・実装をしていきます。
具体的には、以下の順に進めていきましょう。
①業務システムの設定
コールセンター運用に欠かせない、業務システムには以下のものが挙げられます。
・電話機器:回線の設置や音声アナウンス、通話録音などの設定
・ネットワーク設定:自社のネットワークポリシーに基づいたネットワークの設定
・顧客関係管理ツール:対話内容の記録や事務処理に使用する、顧客関係管理ツール(CRM)の設定
②業務フローの作成
顧客対応を行うオペレーターや管理者、それぞれの職位に応じた業務フローを作成します。ポイントとしては、マニュアルを見れば誰でも業務が行えるように仕上げなければなりません。
業務フローの例として、以下のものが挙げられます。
<オペレーター向け>
・トークスクリプト、FAQ
・パソコン、電話機器使用手順
<管理者向け>
・エスカレーション応用FAQ
・システムの使用手順書
もちろん、これら以外にも業務に応じてマニュアルの追加や、適宜内容の修正作業を行う必要があります。
③人材の採用と教育
組織構成をもとに人材の採用・育成を行います。
まず、人材を採用する際は、正社員や契約社員、短時間勤務が可能なアルバイト、パート雇用など形態の違いにも注意しつつ、運用の要件を満たした人材を採用しなければなりません。
次に人材教育の例として、以下の研修が挙げられます。
・業務研修
・トークスクリプト、FAQ研修
・ロールプレイング研修
・OJT
・管理者研修
人材教育はテレフォンオペレーターのみを対象としたものだけでなく、管理者への定期的な研修を設けることも大切です。コールセンター全体のレベルアップが図れるようにしましょう。
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電話応対や電話取り次ぎを行うテレフォンオペレーターは、お客さまと企業をつなぐ重要な役割を担っています。企業の目的に沿ったコールセンターを導入し、それに見合うスキルを持つオペレーターを配置することで、顧客満足度を向上や売上・利益アップにもつなげられるでしょう。
しかし、コールセンターの構築・運営に関するノウハウがない状態で立ち上げると、設備投資やオペレーターの確保・教育など、さまざまな課題や不安要素があるのも事実です。そのため、テレフォンオペレーターの配置や、コールセンターの構築に悩んでいるのであれば、コールセンター代行サービスにアウトソース(外部委託)する方法も有効な手段といえます。
株式会社中央事務所では、オペレーターによる高品質のコール対応の提供はもちろん、コールセンター立ち上げに関するリソース提供も可能です。「応対品質の高いオペレーターを揃えるにはどうしたらよいのか?」「センターを立ち上げたいがコスト・時間共に確保するのが難しい」とお悩みであれば、企業様のご要望に沿うご提案をいたしますので、ぜひご相談ください。