
取締役副社長 / コンタクトセンター検定スーパーバイザー
コールセンター業界で8年、管理職としても7年従事し、コールセンター立ち上げやACDシステムの内製化等、運営業務に携わってまいりました。コールセンター運営のノウハウ、マネジメントスキルを活かし貴社のパートナーとしてビジネスの成長に貢献させていただきます。業界特性やニーズに合わせて最適なご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
目次
電話対応は、声だけでやり取りを行うため、言葉遣いが重要視されます。
お互いの表情が見えないなか、コミュニケーションを取るのは難しい部分もありますが、正しい言葉遣いができていれば、お客さまを納得させたり、安心感を与えたりできるでしょう。
しかし、正しい言葉遣いやトークマナーが身についていない状態で電話対応をしてしまうと、お客さまを不快にさせ、さらに会社のイメージまで下げてしまうかもしれません。
今回は、電話対応・コールセンターで押さえておくべき言葉遣いについて具体的にご紹介します。
正しい言葉遣いを身につけるためには、まず「敬語」をマスターしなくてはなりません。敬語が適切に使えれば、電話対応以外のビジネスシーンでも役立つでしょう。
ここでは、敬語の基本となる「丁寧語」「謙譲語」「尊敬語」これら3つの表現についてご紹介します。
丁寧語は「こちらです」「あります」などのように、「です」「ます」や「ございます」などを語尾に付けます。言葉自体はほぼ変わらず語尾だけが変化するため、敬語のなかでも比較的使いやすい言語表現です。
また、「お礼」や「ご活躍」など、名詞に「お」や「ご」を付け、言葉を上品にした美化語も丁寧語の一部です。
<丁寧語の例>
・来る:来ます
・言う:言います
・する:します
・わかる:わかります
<美化語の例>
・お話
・お菓子
・ご利用
・ご検討
目上の方に対して使う尊敬語は、お客さまとのやり取りが中心のコールセンターでは、使うことが多い言語表現です。
尊敬語には、動詞と名詞が存在し、身近なところでは「いらっしゃる」「おっしゃる」、「貴社」「御宅」といった表現があります。
<尊敬語の例>
・行く:いらっしゃる/おいでになる
・来る:お越しになる/おいでになる
・聞く:お聞きになる
・見る:ご覧になる
・会社:貴社/御社
・店:貴店
へりくだる表現を使うことで相手を立て、敬意を表す謙譲語は、尊敬語と同様に目上の方に対して使う敬語です。異なるのは「自分側」の動作やものごとに対して謙遜する点です。
謙譲語には、動詞と名詞が存在し、身近なところでは「参る」「いただく」、「私(わたくし)」「弊社」といった表現があります。
<謙譲語の例>
・行く:伺う
・来る:参る
・聞く:伺う/拝聴する
・見る:拝見する
・会社:弊社
・店:弊店
電話対応で良い印象を与えるには、基本的な流れやトークマナーを理解をしなくてはなりません。
ここでは、電話を受ける際とかける際の言葉遣いや流れをご紹介します。
電話を受ける際の、流れと言葉遣いは以下のとおりです。
①名乗りとあいさつ
電話に出るときは、相手よりも先に「社名」「担当部署」「名前」を明るくはっきり伝えます。
(例)
「お電話ありがとうございます、◯◯会社△△課◯◯です」
②相手の名前や用件を聞く
自分が名乗ると、たいていは相手も名乗ったうえで、用件を話してくれます。
(例)
「◯◯様でいらっしゃいますね、お世話になっております」
③電話を取り次ぎ
他の人に取り次ぐよう依頼された場合は、名指し人(指名された人)の名前を復唱し、待たせてしまうことを告げ「保留」にするのがマナーです。
(例)
「◯◯ですね、少々お待ちいただけますでしょうか」
名指し人の在席確認をし、電話を取り次げる状態であればそのまま転送します。
④名指し人が不在の場合
名指し人が不在の場合は、伝言を承るか折り返し電話のご提案をしましょう。
(例)
・伝言を承る場合
「よろしければ私が伝言を承りますが、いかがでしょうか?」
・折り返し電話を提案する場合
「後ほど、◯◯(名指し人)から折り返しお電話をいたします。ご都合のよろしい時間はございますでしょうか?」
折り返しの電話を提案する際には、相手が電話に出やすい時間を確認し、再度すれ違わないように配慮します。
⑤終話
相手の話がすべて終わってから、最後に内容を確認し終話します。
(例)
「お電話ありがとうございました」
電話を切る際は「相手が受話器を置いたあと」、こちらもそっと受話器を置き終了するのがマナーです。
電話をかける際の、流れと言葉遣いは以下のとおりです。
①相手が電話に出たら名乗る
相手が名乗ったら、続けて自分の会社名と名前を名乗りましょう。
(例)
「△△社の◯◯と申します」
②取り次ぎを依頼する
担当者(用件を伝えたい相手)が近くにいるか尋ねます。なお、電話口の相手が担当者であれば「私が◯◯です」と教えてくれるので、そのまま用件を伝えましょう。
(例)
「◯◯様はいらっしゃいますでしょうか?」
③取り次いでもらったら
担当者が電話に出たら、再度名乗りましょう。用件を伝える前に、今話をしても良いかどうか確認します。
(例)
「お世話になっております。△△社の◯◯と申します。◯◯の件でお電話いたしました。お忙しいところ恐れ入りますが、今お話をしてもよろしいでしょうか?」
④不在の場合
担当者が電話に出られない場合は、伝言を依頼するか、改めてかけ直すことを伝えます。
(例)
・伝言を依頼する場合
「恐れ入りますが、伝言をお願いしてもよろしいでしょうか?」
・日を改めてかけ直す場合
「こちらからかけ直したいのですが、◯◯様は何時ごろお戻りになるでしょうか?」
④終話
電話対応では「かけた人から先に切る」というマナーがあります。
(例)
「それでは失礼いたします」
相手が受話器から耳を離したころを見計らい、受話器をそっと置いて通話を終了します。
電話対応・コールセンターでよく使う言葉遣いには、以下の3つが挙げられます。
・言い回し
・クッション言葉
・イエス・バット話法、イエス・アンド話法
これらを対話に用いることで、言葉遣いはより丁寧になり、相手に好感を持たれるようになるでしょう。
同じ意味をもつ言葉でも「言い回し」を変えることで丁寧に伝えられます。
言い回しにはたくさんの種類があるため、まずは場面ごとによく使う言い回しを覚えて、適切な言葉遣いができる量を増やしていきましょう。
対応がより丁寧になる「言い回し」は、以下のとおりです。
<呼び名>
・わたし:わたくし
・わたしたち:わたくしども
・わたしの会社:弊社
・相手の会社:御社・貴社
<よく使う表現>
・さっき:さきほど
・さようなら:失礼いたします
・その通り:おっしゃるとおりです
・どうですか?:いかがでしょうか?
・誰ですか?:どちら様でしょうか?
・わかりました:かしこまりました/承知いたしました
・すみません:申し訳ございません/ご迷惑をおかけしました
日常的に使用している言葉よりも、上記の言い回しを使用することで、相手によりフォーマルで誠実な印象を与えられるでしょう。
クッション言葉とは、相手に対して依頼やお断り、否定などをする際、本題の前に置きます。相手の気分を極端に害することなく話を切り替えられる、便利な言語表現です。
クッション言葉がなく、いきなり依頼や断り、否定などの言葉が続くと相手は驚いたり、不快に感じたりしてしまうかもしれません。相手に対し「言いにくい内容」だからこそ、クッション言葉を用いることによって、ネガティブな言葉をそのまま伝えるよりも印象をやわらかくできます。
クッション言葉が役立つ場面は、以下のとおりです。
・断るとき:あいにくですが
・依頼するとき:恐れ入りますが
・話を聞きたいとき:差し支えなければお尋ねしたいのですが
・反論するとき:お言葉を返すようですが/申し上げにくいのですが
クッション言葉を適切に用いることで、相手に一呼吸おいてもらえるだけでなく、自分自身の気持ちも落ち着かせられる効果があります。
相手の反応に対して上手に切り返し、スムーズにトークを進める話法として「イエス・バッド話法」と「イエス・アンド話法」があります。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
<イエス・バッド話法>
相手に反論したいときでも、まずは相手の意見を受け入れてから逆説の接続詞を使う話法です。相手は自分の主張を受け入れられないと、こちら側が正しい場合でも納得してもらえないことがあります。
イエス・バッド話法は、相手の意見を肯定したうえで「しかし」「ですが」などの言葉を本題の前に入れることで、反論が通りやすくなります。
・例文
「そう思われるのは当然です。しかし~」
「お客さまのお気持ちはよく分かります。ですが~」
<イエス・アンド話法>
イエス・アンド話法は、イエス・バッド話法の逆説の接続詞を、否定語に聞こえない言葉でつなぐ話法です。相手は受け入れられていると感じ、こちらの主張が通りやすくなります。
使い方は、相手の意見を肯定したうえで「実は」「それでしたら」などの言葉を本題の前に入れます。
・例文
「さようでございますか。実は~」
「おっしゃる通りでございます。それでしたら~」
このように「イエス・バッド話法」や「イエス・アンド話法」は相手をまず肯定し、はなから否定や反論はしません。そのため、お客さまの意にそわない内容や、違う意見を言いたいときに用いることで、円滑に話を進められるようになるでしょう。
電話対応・コールセンターでは「専門用語」「社内用語」「丁寧さを感じない表現・言葉」は避けなければなりません。これらの言葉遣いは、お客さまに不快感や雑な印象を与えてしまうからです。
それぞれの避けるべき言葉遣いについて、具体的にご紹介します。
同じ業界内であれば当たり前に通じる専門用語でも、お客さまには全く伝わらない言葉かもしれません。意味がわからない言葉を使われると会話の内容が理解できず、それ以降の話を聞いてもらえなかったり、嫌悪感を示されたりする場合があります。
例えば、コールセンターに勤務したことがあれば「SV(エスブイ)」は、「スーパーバイザー」とすぐに連想できますが、一般的な呼び名ではありません。正しくは「上司」や「管理者」とお客さまには伝えるべきです。
とくに、クレーム対応をしている際に専門用語を使用してしまうと、さらにクレームが大きくなるかもしれません。そのため電話対応をする際は、専門用語の使用は避け、誰にでも理解できる「平易な言葉を使う」ことが基本です。
社内用語は、自分が属しているチームや社内だけで通じる言葉です。専門用語は「業界内」で通じますが、社内用語は使われる範囲が「社内」のみとさらに狭く、お客さまには絶対に使用してはいけない言葉といえるでしょう。
また、社内用語の多くは「略称」や「俗語」であるため、丁寧な印象を与えません。電話対応中に社内用語を使うことで、お客さまに伝わらないだけではなく、会社の印象までも悪くしてしまいます。
社内用語に慣れてしまうと、つい電話対応中にも発言してしまいそうになりますが、そこは注意を払い、日本語として正しい丁寧な言葉で対応しましょう。
語気が強く聞こえ威圧的な印象を与える表現や、丁寧さを感じない言葉は避けましょう。
丁寧さを感じない表現と言い換えの例は、以下のとおりです。
・結構です:差し支えございません
・知っていますか?:ご存じでしょうか?
・〜でいいですよね?:〜でよろしいでしょうか?
・間違いないですか?:お間違いないでしょうか?
また、電話対応において「もしもし」などの丁寧さを感じない言葉も避けましょう。オペレーターからの第一声は、会社のイメージを体現するものと心得「お電話ありがとうございます」と明るくあいさつします。そして、ここまで紹介したような適切な言葉遣いで対応をすることが大切です。
電話対応は、お互いの表情が見えないなか「声」だけでやり取りを行うため、正しい言葉遣いを心がける必要があります。それには、まず「丁寧語」「謙譲語」「尊敬語」これらの敬語をマスターすることから始めましょう。
さらに、コールセンターでよく使う言葉遣いや、反対に避けるべき言葉遣いについても把握したうえで実践することで、お客さまに好印象を与え、会社全体のイメージアップにもつながります。
しかし、コールセンターに相応しい言葉遣いは、日常生活で使用する機会が少ないため、時間をかけて練習を重ねないと習得するのは難しいといえるでしょう。
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