コールセンターの立ち上げに必要なこととは?費用やプロセス・準備方法など
公開日 2023.03.23
更新日 2024.01.29
知識

コールセンターの立ち上げに必要なこととは?費用やプロセス・準備方法など

コールセンターは、企業と顧客が直接やり取りできる場所として、重要な役割を担っています。顧客の生の声を聞いて経営方針に活かすために、コールセンターの立ち上げを検討している企業も多いのではないでしょうか? しかし、コールセンターを立ち上げるには入念な計画が必要であり、準備や運用には費用も発生します。また、コールセンター構築に関するタスクは多岐にわたり、「何から始めればいいのかわからない」と悩むこともあるでしょう。 そこで今回は、コールセンターの立ち上げから実際の運営に至るまでの手順について、詳しく説明します。  

「コールセンターを立ち上げる」とはどういうことか?

企業にとって、自社の商品・サービスに対する顧客の反応を把握しておくことは大切だといえます。顧客のニーズを適切に掴むことができれば、既存商品の改善や新サービスの開発に役立つでしょう。 顧客からの意見を効率よく取り入れるためには、コールセンターを設置するのもひとつの手段です。また、コールセンターの対応によっては、顧客が企業に対して抱くイメージも大きく変わります。質の高い電話対応を常時提供することで、顧客満足度の向上が期待できるため、「コールセンターを立ち上げる」ことは、企業の評価を高めて売上アップを目指す施策だといえるでしょう。  

コールセンター立ち上げの手順・プロセス

コールセンターを立ち上げるには、手順に沿ってプロセスの設計・構築を行うことが求められます。正しい手順を理解しておけば、コールセンターの立ち上げもより円滑に進められるでしょう。ここでは、一つひとつの手順における具体的な内容について解説します。  

コールセンターの目的・ゴール設定

コールセンターの立ち上げにあたって最初にやるべきことは、運営目的とゴールの設定です。重要目標達成指標、すなわちKGIを明確化することによって、コールセンターを運営する上での方向性が見えてきます。 自社において何故コールセンターが必要なのか、そして最終的にどのような目標を達成したいのか、計画段階ではっきり示すようにしましょう。 例えば、新商品に対する顧客からの評価を分析するために、コールセンターを立ち上げるとします。この目的に沿ってコールセンターを運営する中で、より優れた商品開発を促進し、企業全体の業績アップというゴールを目指していきます。 コールセンターの目的・ゴールは、企業の経営陣だけでなく、スタッフ全員で共有しておくべきものです。運営方針の決まっていないコールセンターでは、顧客への対応方法がその都度変わってしまう可能性があります。結果的に顧客の不満を招き、企業への印象も悪くなりかねないでしょう。 また、運用管理の方法が定まらないとスタッフのモチベーションが下がりやすく、人材の定着しない環境となってしまいます。顧客とスタッフ双方が満足できるコールセンターを長期的に運営していくために、KGIの設定は必要不可欠です。  

現状調査と課題を整理

コールセンター立ち上げの目的とゴールを設定したら、その実現に向けて企業体制の現状を把握するようにしてください。社内状況の精査を通して、現行の顧客対応における課題を洗い出し、解決策を考えます。 もしすでに社内にコールセンターを置いているのであれば、運営状態を改めてチェックすると良いでしょう。必要に応じて運用ルールやマネジメント方法を見直し、コールセンターとしての機能を拡充させます。 一方で、新たにコールセンターを設置する企業では、KGIに基づきながら課題を発見することが何より大切です。その際、社内の広報部や営業部から意見をヒアリングしたり、ユーザーサポートの取り組みを参考にしたりしましょう。より広い視点から、「どのようなコールセンターが求められているのか」という社内外のニーズを検証できます。 社内の現状調査は、5つのポイントに絞って実行してください。 ・運用ルールとプロセス ・管理体制 ・組織体制 ・オペレーターの育成・フォロー体制 ・コールセンターのシステム環境 それぞれのチェックポイントで、想定される課題を可視化します。例えば、コールセンターと既存部署の連携が不透明だったり、人員不足やシステムの使いづらさが懸念されたりと、思わぬ問題点が浮かび上がってくるかもしれません。事前に課題を抽出しておけば、コールセンターの立ち上げ・構築がスムーズになるでしょう。  

プロセスの設計

理想とするコールセンターのKGIに沿って現状を把握し、課題を可視化することで、解決の道筋を立てましょう。 続いては、コールセンター立ち上げのプロセスを設計していきます。コールセンターの全体像を作り上げていく際には、大きく分けて4つの要素に注目してください。 ・業務プロセス ・業務プロセスの管理方法 ・組織体制 ・人材の育成プラン まず、コールセンター業務のプロセスを整理します。目標の数値化やルールの明文化など、業務内容を詳細に決めておくことにより、イレギュラーな事態にも対応しやすくなるでしょう。また顧客対応レベルの向上はもちろん、スタッフが働きやすい環境作りにも繋がります。 業務プロセスを設計すると共に、その管理方法もきちんと制定しなければなりません。コールセンターの運営を軌道に乗せるために、マネジメント設計は欠かせないといえるでしょう。 そして、コールセンターの業務と管理方法を実践するために、組織体制を整えていく必要があります。立ち上げるコールセンターの規模に応じて、採用者の人数や役職の配置などを決定してください。 さらに、人材育成のプランニングも見逃せないポイントです。組織体制に基づいて確保した人材がより能力を発揮できるよう、教育とフォローアップの両面を充実させましょう。スタッフの離職率が下がれば、コールセンターの顧客対応の品質も安定します。  

立ち上げ・構築

コールセンターの立ち上げプロセスを設計し終えたら、いよいよ実際の構築へ進みましょう。ここでは、システム・業務の流れ・人材育成の3段階に分けて、必要な作業に取り掛かります。 コールセンターの運用には、システム構築が大きなカギを握ります。ハード面では、各種設備やネットワークを整えることが必須です。 前提として電話回線を引いたら、構内交換機(PBX)を設置して外線受付の準備をします。また、コールセンターの目的に合わせて、アナウンスや通話録音といった細かい設定も行っておきましょう。社内とコールセンターのネットワークを連携させることも、忘れてはいけません。特に、個人情報を取り扱うコールセンターではセキュリティ対策が非常に重要です。 さらに、コールセンター内のレイアウトを決めて、什器や備品類の発注を行います。コールセンターの工事スケジュールを把握し、全体の流れを阻害しないよう注意してください。 システム構築のソフト面としては、コールセンターで利用するツールの策定が挙げられます。顧客管理システムを導入する場合、操作画面や使用方法がわかりやすいかどうか、事前に検証してください。併せて管理者とオペレーターの権限設定を行い、間違いなく動作するか確認しておきましょう。 コールセンター業務の流れを構築するにあたり、運用ルールを策定しなければなりません。そこで、設計したプロセスに沿って、業務フローマニュアルを用意します。 オペレーター向けには、基本の応対スクリプトや機器類の操作マニュアル、緊急時の対応マニュアルなどが必要です。一方で、管理者にはオペレーター管理や品質管理といった、より専門的な内容を提示します。また、シフトや勤怠管理についてもマニュアル化し、スタッフの働き方に配慮するようにしましょう。 コールセンターの人材育成では、採用活動と研修内容を重視してください。 組織体制のプランをベースに、必要なスタッフ人員を割り出し、採用活動を行いましょう。採用後には、ビジネス研修やマニュアル確認テストなどを通じて、業務知識を身につけてもらいます。さらにOJTを終えてからも管理者が適宜サポートし、スタッフの成長を促すことが大切です。  

コールセンター立ち上げを行う前に準備しておくべきこと

コールセンターをスムーズに立ち上げるために、事前に準備しておくべきことはあるのでしょうか?立ち上げのプロセスを設計する段階で、必要な要素をきちんと確認し、コールセンター構築の計画を練るようにしましょう。  

業務内容を整理する

自社のコールセンターではどのようなプロセスで業務に取り組むのか、あらかじめ整理して明確化しましょう。例えば、下記のような項目について社内で検証していきます。 ・KGI達成に向けたコールセンター管理方法 ・組織図の設定と連絡体制の整備 ・報告すべき内容や報告方法のマニュアル化 ・イレギュラー時の対応方法 ・災害時や緊急時の運用方法や復旧対策 コールセンターでは通常業務に加えて、不測の事態に対応する必要もあります。ルールの策定やマニュアル作成を行っておけば、いざという時に現場が混乱することを避けられるでしょう。リスクマネジメントを意識するという点からも、業務内容の振り返りは必ず行ってください。  

業務プロセスのマネジメント方法を決める

設計した業務プロセスを適切に実施していくために、管理すべきポイントを明らかにしましょう。特に業務マネジメントでは、具体的な数値としてKPI(重要業績評価指標)を設定することが重要です。 ・1日の電話応対件数 ・電話1本の処理時間 ・コールセンターの稼働率 例えば、電話1本の処理を10分程度とした場合、オペレーターと管理者それぞれの対応方法を工夫することで、目標数値に近づきやすくなるでしょう。また、コールセンターの運営が行き詰まるようであれば、業務プロセスの見直しも視野に入れなければなりません。 このようにコールセンター業務全体に必要な要素を判断するなら、KPIに基づくマネジメントが欠かせないといえます。  

構築に必要な工数と組織体制を考えておく

コールセンターのKGIを達成するためにどれくらいの工数が必要なのか、試算しておくことも重要なポイントです。工数に応じて組織の人員数を割り出し、コールセンターの体制を整えていきましょう。 オペレーターの必要人数を算出することで、採用活動の方針と研修内容が決定できます。また、スタッフの役割分担や人員配置についても、具体的に検討できるようになるでしょう。 さらに、コールセンターの構築段階では、運用規模も考えておかなければなりません。小規模なコールセンターであれば、社内で人員を調整するなどコストを抑えた組織作りが可能です。一方で、幅広い顧客対応を目的としてコールセンターを開設するなら、そこに見合った人員の確保や工数の設計が求められます。結果的に、自力ではコールセンター構築が難しくなってしまうかもしれません。 事前準備を徹底し、コールセンターの立ち上げを成功させましょう。  

コールセンター立ち上げに必要な費用・コストとは

コールセンターを立ち上げるにあたっては、様々な費用・コストが発生します。初期費用はもちろん、コールセンターを運営する上で必要となるコストも想定しなければなりません。どれくらいの費用・コストがかかるのか、具体的なイメージを持っておくことが大切です。  

初期費用

コールセンターの立ち上げには、以下のような初期費用がかかると考えられます。 ・システム導入費 ・電話機などの機材費 ・通信費 ・ネットや電話回線の工事費用 コールセンターの規模や導入予定のシステムによって金額は変動しますが、30万円から250万円ほどが相場といわれています。 システムや機材は、コールセンター業務を支える大切なツールです。また、安定して電話を受けるためには、通信環境もきちんと整備しておかなければなりません。コールセンターの基盤となるだけに、ある程度の出費は想定しておきましょう。  

維持費用

コールセンターを立ち上げた後には、運用するための維持費が常時必要となります。 電話応対に必要な機材とシステムがいつでも利用できるよう、定期的にメンテナンスを行いましょう。また、ネットワークシステムや顧客管理システムといったツールには、保守費用や利用料がかかることにも注意してください。 維持費用の相場は、月に約3万円~20万円とされています。コスト面を考慮するのであれば、コールセンターで使用する機材やシステムの経費を試算することをおすすめします。  

人件費

コールセンターでは、実際に業務にあたるオペレーターやスタッフへの人件費が発生します。オペレーターの時給相場は、スキルや業務内容によって変動しやすいところが特徴です。約1,200円から3,000円と幅広いため、コールセンターによっては人件費が高くなるケースもあるでしょう。 また、スタッフの採用活動にかかった経費も人件費に該当します。求人媒体を利用したり、広告を出したりすることで、月に約20万円~40万円の出費もあり得るようです。 設定したコールセンターの組織体制を参考に、どれくらいの人件費がかかるのか見積もっておきましょう。  

まとめ

コールセンターを立ち上げる際の具体的な手順について、解説しました。必要なプロセスや費用、準備方法を正しく理解し、KGIにぴったり合うコールセンターを構築しましょう。 しかし、実際に自社で一からコールセンターを開設するとなると、多くの手間と費用がかかります。企業にとってコールセンターの設置はメリットがある一方、負担となる面も大きいといえるでしょう。そのため、コールセンターの立ち上げと運用をアウトソーシングする方法も検討してみてはいかがでしょうか。 株式会社中央事務所は、月間総受電数6万件(※1)、新規入電応対率98%(※2)、さらにカスタマー応対率95%(※3)を維持するなど、確かな実績を有しています。また、在籍オペレーターは専門講習を受けており、質の高い電話対応力を活かして顧客満足度を高めることが可能です。 発信・受信を問わず、企業様のニーズに沿った電話対応プランをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。 ※1: 月間総受電数6万件 2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計 ※2: 新規入電応対率98% 2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出 ※3: カスタマー応対率95% 2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
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