コールセンターのKPIとは?設定手順やポイントを解説
公開日 2023.09.22
更新日 2023.09.22
知識

コールセンターのKPIとは?設定手順やポイントを解説

スムーズな業務遂行や顧客満足度向上を目指すうえで、欠かせない指標の一つがKPIです。しかし、「KPIとはどういったものなのか」「設定方法がわからない」このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、コールセンターにおけるKPIの概要と重要性、併せて設定手順やポイントについてご紹介します。コールセンター運営の効率化や業績向上を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。  

KPIとは?

KPIとは「Key Performance Indicator」の略称であり、「重要業績評価指標」とも呼ばれています。 KPIは定量的な数値で表され、組織や個人の業績・成績を、評価するための重要な指標です。またKPIは、中間目標の設定や進捗状況の追跡、業績の可視化、改善活動の指針としても使用されます。 なお、KPIの相関関係にあるのがKGI(重要目標達成指標)です。KGIとの関連を踏まえたKPIの設定と、それに基づく改善活動により、おのずと企業が掲げる目標達成の実現性が高まります。  

コールセンターでKPIを設定する重要性

KPIを設定する重要性の一つに、目標達成の可視化が挙げられます。具体的には、応答率や放棄率、顧客満足度などのKPIを設定することで、コールセンターのパフォーマンスを定量的に評価できます。目標と実績のギャップを可視化し把握できれば、施策改善が容易になるでしょう。 また、KPIの設定により、オペレーターのモチベーションを高め、業務に対する意識を向上させることも可能です。たとえば、「できるだけ多くの電話に対応してください」と指示するのではなく、「1時間に◯本の応対を目指しましょう」と明確にすることで、オペレーターは自身の目標を明確に追い求められ、結果として業務の効率化に期待できます。 このように、KPIを適切に設定し活用することで、パフォーマンスの評価や目標達成の促進、モチベーション向上、業務効率の改善など多岐にわたる利点を享受できるため、重要性の高い指標といえるでしょう。 ▼関連記事 コールセンターの目標設定はどうあるべきか  

コールセンターにおけるKPIとは?

コールセンターでよく使われているKPIを、以下の目標例からご紹介します。 ● 応対・接続品質を図るKPI ● 生産性・効率性を図るKPI ● 顧客満足度を図るKPI ● マネジメントを図るKPI それぞれの目標例にかかわる指標の概要と、算出方法を見ていきましょう。  

応対・接続品質を図るKPI

顧客満足度の向上や効率的な業務運営を実現するためには、応対や接続品質を正確に評価する必要があります。ここでは、応対・接続品質を図る代表的なKPIをご紹介します。  

応答率

顧客の問い合わせに対して、一定時間内に応答できた割合を示す指標です。応答率は、コールセンターが顧客の要求に迅速に対応できているかを示します。 算出方法:対応件数÷入電数×100 例:入電数300件中、250件応対できた場合、「250÷300×100=83.3」となり、応答率は83.3%です。  

SL(サービスレベル)

顧客の問い合わせや要求に対して、一定時間内に対応できた割合を示します。SLの達成度は、顧客への迅速な対応や待ち時間の短縮に関わります。 算出方法:設定時間内の応答数÷入電数×100 例:着信件数200件のうち、設定時間内に対応できたのが150件の場合、「150÷200×100=75」となり、SLは75%です。  

ASA(平均応答時間)

電話に出るまでの平均応答時間を示す指標です。顧客が待たされる時間を示すものであり、短い数値は顧客へのスムーズな応答を意味します。 算出方法:応答までにかかった時間の合計÷入電数 例:3件のコールに対する応答時間がそれぞれ、6秒、10秒、16秒である場合、「(6+10+16)÷3=10.6」となり、ASAは10.6秒です。  

放棄呼率

顧客が「待ち時間が長すぎる」などの理由で通話を中断し、放棄(切電)する割合を示す指標です。数値が高い場合は、機会損失が発生していることを意味するため、数値は常に0%に近いほど望ましいといえます。 算出方法:放棄呼件数÷入電数×100 例:入電数300件中、20件の対応ができなかった場合、「20÷300×100=6.6」となり、放棄呼率は6.6%です。  

生産性・効率性を図るKPI

効率的な業務運営と生産性の向上は、センター運営の成功に直結する要素です。ここでは、生産性・効率性を図る、代表的なKPIをご紹介します。  

稼働率

オペレーターの稼働時間内において、コール対応や業務活動に時間を費やした割合を示す指標です。高い数値は、オペレーターが効果的に業務に取り組んでおり、効率的なリソース活用が行われていることを示します。
算出方法:顧客対応時間(通話中・保留中・後処理・待機時間)÷勤務時間×100 例:8時間勤務のうち、顧客対応時間が6.5時間であった場合、「6.5÷8×100=81.2」となり、稼働率は81.2%です。  

CPH

オペレーターが1時間あたりに処理するコール数を示す指標です。高い数値は、効果的かつ迅速に電話を処理し、顧客に対するレスポンス時間を短縮していることを意味します。 算出方法:対応件数÷稼働時間 例:8時間で50件の電話対応を行った場合、「50÷8=6.25」となり、CPHは約6件です。  

AHT(平均処理時間)

1コール処理するために要した平均時間を示す指標です。低い数値は、スムーズな電話対応と効率的な業務遂行を反映します。なおAHTは、後述するATTとACWを合わせた数値であるため、ACWとATTそれぞれを改善することで、おのずとAHT短縮が実現できます。 算出方法:平均通話時間(ATT)+平均後処理時間(ACW) 例:ATTが10分、ACWが1分の場合、「10+1=11」となり、AHTは11分です。  

ATT(平均通話時間)

顧客との通話に費やす平均時間を示す指標です。通話開始から終話するまでの時間を計測し、その平均を算出します。数値が短い場合、スムーズな対話が実現できていることを示します。 算出方法:通話合計時間÷対応数 例:通話合計時間が120分、対応件数が15件であった場合、「120÷15=8」となり、ATTは8分です。  

ACW(平均後処理時間)

通話終了後に行う、追加業務や処理にかかる平均時間を示す指標です。具体的には、データ入力や顧客情報の更新、次の対応のための準備、エスカレーションなどがACWの一環として行われます。 算出方法:後処理合計時間÷対応数 例:30件分の後処理に100分かかった場合、「100÷30=3.3」となり、ACWは約3分です。  

CPC

1コールにかかる費用を示す指標です。運営コストを評価し、効率的な予算配分やコスト削減の指標として活用されます。内訳としては、人件費やトレーニング費用、ソフトウェアおよびハードウェアの導入・運用費、パソコンや電話機などの設備費、これら運営にかかわるすべてのコストを含めて計算します。 算出方法:センター全体コスト÷対応数 例:3,000件対応し、センターの全体コストが1,500,000円かかった場合、「1,500,000÷3,000=500」となり、CPCは500円です。  

顧客満足度を図るKPI

コールセンターにおいて、最も重要視している目標は顧客満足度の向上といえるでしょう。ここでは、顧客満足度を図る、代表的なKPIをご紹介します。  

CS(顧客満足度)

商品やサービス、オペレーターの応対品質などに対し、顧客が「どれだけ満足したか」を示す指標です。他のKPIと異なり、具体的な計算式はなく、アンケート調査やインタビュー形式で得られたフィードバックを反映し、数値化します。 たとえば、商品・サービスを利用した後にアフターコールやメールを送信し「満足できましたか」といった質問を行い、そのフィードバックをもとに顧客の声を集計する方法があります。  

NPS

商品やサービスを購入・利用した顧客の、他人への推奨度合いを評価してもらう指標です。「商品やサービスを友人や同僚にどのくらいおすすめするか」という質問をし、以下の分類から評価してもらいます。 ● 9~10点:推奨者 ● 7~8点:中立者 ● 0~6点:批判者 算出方法:推奨者(%)-批判者(%) 例:100人中、推奨者が80人(80%)、批判者が20人(20%)であった場合、「80-20=60」となり、NPSは60です。 なお、スコアは-100から100までの数字で表され、100に近いほど推奨派が多いことを意味します。  

CES

顧客に問題解決にかかった労力度合いを評価してもらう指標です。「問題解決にどれくらいの労力を要したか」という質問をし、以下の分類から評価してもらいます。 ● 6~7点:好意的意見 ● 4~5点:中立的意見 ● 1~3点:批判的意見 算出方法:好意的意見(%)-批判的意見(%) 例:200中、好意的意見が120人(60%)、批判的意見が80人(40%)であった場合、「60-40=20」となり、CESは20です。  

マネジメントを図るKPI

効果的なセンター運営と持続的な改善には、適切なマネジメントが不可欠です。ここでは、マネジメントを図る、代表的なKPIをご紹介します。  

欠勤率

予定された勤務日数に対して、欠勤した割合を示す指標です。欠勤率は、出勤の安定性や労働力の安定性を評価するために使用されます。欠勤率が高い場合、健康状態やモチベーションの低下を意味しており、コールセンターの生産性やサービス品質に影響を及ぼす可能性があります。 算出方法:欠勤日数÷予定勤務日数×100 例:出勤予定23日のうち、1日欠勤した場合は、「1÷23×100=4.3」となり、欠勤率4.3%です。  

離職率

一定期間において、従業員が離職した割合を示す指標です。コールセンターの働きやすさを評価する際に使用されます。離職率が高い場合、「働きにくい環境」を意味するのと同時に、必然的に在籍しているオペレーターの業務量が増え、業務効率や対応品質の低下を招く可能性が高まります。 算出方法:離職者÷在籍人数×100 例:50人の従業員が在籍しており、そのうち2人が退職した場合は、「2÷50×100=4」となり、離職率は4%です。  

コールセンターでKPI設定する際の手順・ポイント

コールセンターでKPI設定する際の手順・ポイントは、以下の通りです。 ● 目的に合わせて指標や水準を決める ● 設定するだけでなくモニタリングし把握する ● 適度な頻度で振り返りを行い改善を積み重ねる ● スーパーバイザーなど運営側の負荷軽減 それぞれについて、詳しく見ていきましょう。  

目的に合わせて指標や水準を決める

KPIを設定する際は、目的に合わせて指標や水準もあわせて決めるのがおおむねの流れです。 具体的な流れは、以下の通りです。 1.目的の明確化 まず目的を明確にすることで、コールセンターがどの方向に進むべきかを明確にできます。 2.KPIの選定 目的に基づいて、KPIを選定します。一例として、顧客満足度向上を目的とする場合、NPSやCESスコアの指標を活用し、改善活動を進めるべきといえるでしょう。 3.目標水準の設定 各KPIに対して、目標水準を設定します。目標水準は、過去の実績データ、同じ業界の企業データ、顧客の要求や期待などを考慮し決定します。  

設定するだけでなくモニタリングし把握する

KPIを設定するだけでは、その有効性や改善の必要性を把握できません。そのため、モニタリングを実施し、必要に応じて調整を行う必要があります。 具体的にはモニタリング結果から、設定された指標や水準の適切性や問題点改善の必要性を把握します。また、達成状況以外にも、業界標準との差異を確認することもポイントです。 把握した情報をもとに、改善が必要な箇所や課題を特定し、それに対する具体的な対策やアクションプランを策定しましょう。 ▼関連記事 コールセンターでのモニタリングとは?  

適度な頻度で振り返りを行い改善を積み重ねる

KPIがおおむね達成しても、適度な頻度で振り返りを行い、KPIの結果や進捗を評価し、改善を積み重ねることもポイントです。なぜなら、人材の入れ替わりが激しいコールセンターにおいては、サービス品質や効率性の低下が起こりやすい傾向にあるからです。 そのため、定期的なモニタリングに併せ、定例のミーティングを設けることで、将来的に指標の低下が発生した際、迅速な対応が可能になります。 なお、振り返りの頻度は、コールセンターの特性や目標に応じて柔軟に設定しますが、四半期ごと・半年ごとに実施するのが一般的です。ただし、重要なKPIや短期的な目標に対しては、週単位の振り返りが有効です。  

スーパーバイザーなど運営側の負荷軽減

KPIを活用する際は、スーパーバイザーなど運営側の負荷軽減を考慮しましょう。とくにスーパーバイザーは、チームの管理やパフォーマンス向上のために多くの責任を負っています。そのため、KPIの設定においては、スーパーバイザーの負荷を軽減し、効率的な運営ができるようサポートすることを意識しましょう。 具体的には、KPIの管理に役立つツールの導入が有効な手段です。たとえば、表計算ソフトや目標管理ツールなどが挙げられます。これらを活用することで、スーパーバイザーが把握すべき重要なデータの集約や、情報の絞り込みが可能になり、情報の過多や無駄な作業を削減できます。  

まとめ

コールセンターにおけるKPIは、センター運営の業績評価や目標達成のために使用される重要な指標です。また、オペレーターの対応品質を評価・改善するためにも使用されます。適切にKPIの活用ができれば、業務の効率化や顧客満足度向上など、企業が掲げる目標達成の実現性が高まります。 しかしながら、KPIを設定する際には、指標の役割や課題・目的を踏まえた詳細な分析など、深い知識が必要です。現状、KPIの適切な利活用が難しい場合には、電話代行サービスの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。電話代行サービスは、顧客応対の負荷軽減やコスト削減、24時間対応など、多くのメリットをもたらします。 電話代行サービス会社である中央事務所は、月間の総受電件数6万件(※1)、新規入電の応対率98%(※2)という確かな実績を保持しています。カスタマー応対率も95%(※3)を維持し、丁寧なサポート体制が強みです。 中央事務所の電話代行サービスでは、お客様のニーズに合わせた体制・業務設計を行いサポートいたします。コールセンター運用や業務改善にお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。 ※1: 月間総受電数6万件 2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計 ※2: 新規入電応対率98% 2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出 ※3: カスタマー応対率95% 2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
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