取締役副社長 / コンタクトセンター検定スーパーバイザー
コールセンター業界で8年、管理職としても7年従事し、コールセンター立ち上げやACDシステムの内製化等、運営業務に携わってまいりました。コールセンター運営のノウハウ、マネジメントスキルを活かし貴社のパートナーとしてビジネスの成長に貢献させていただきます。業界特性やニーズに合わせて最適なご提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
目次
どのような企業であっても、お客さまからクレームやお叱りをいただくものです。その際、不適切な対応をしてしまうと信頼を失い、企業に甚大なダメージをもたらす可能性があります。
一方、お客さまに寄り添った正しい対応ができれば、自社の熱烈なファンになったり、クレームから業務改善につながったりし、企業にとって大きなメリットをもたらすでしょう。
今回は、電話でのクレーム対応で心得るべきこと、そして例文付きの対応手順までを具体的に解説します。
クレーム対応とは、お客さまが不平不満を抱いたときに、気持ちをなだめたり解決策や代替案を提案したりする業務です。
クレームと聞くと「厄介なもの」「面倒なもの」と捉えがちですが決してそうではありません。正しく対処することで、企業のイメージアップにつなげることができますし、いただいたクレームからサービス開発や商品改善につなげられることもあります。クレーム対応の基本や心得を知り上手に対応しましょう。
クレームは、商品やサービスなどに対する期待値が大きく下回った際に発生します。例えば、「思っていたよりも品質が悪かった」などのように、お客さまにとって悪い意味で「想定外」のことが起こると、クレームになりやすい傾向にあります。
また、よくあるクレームの種類として、以下の3つが挙げられます。
① 商品やサービスによるクレーム
「商品の欠陥や不足」「サイズや色が違う手配ミス」などのように、商品やそのサービスに対し不満を持たれたときに発生するクレーム。
②対応に関するクレーム
電話対応の現場でいうと、言葉遣いが悪かったり、質問に答えられなかったりした際に、お客さまが「自分は軽くみられた」と感じることで発生するクレーム。
③お客さまの勘違いや不注意によるクレーム
「(お客さま自身で)注文を間違えた」「使い方がわからない」などのように、企業側に非がなく、お客さまの勘違いや不注意であった場合に発生するクレーム。
このように、クレームはいろいろな状況で起こり得るものですが、対応の基本・原則を心得ていれば、適切に解決できるようになるでしょう。
クレーム対応の基本は、お客さまの話をよく聞き、気持ちに寄り添うことです。お客さまの多くは「困りごとを伝えたい、話を聞いて欲しい」という気持ちで電話をかけてきます。そのため、まずは話をじっくりと聞いて、心に寄り添う姿勢を見せられれば、その段階で気持ちを落ち着かせられるかもしれません。
また、クレーム対応を担うものとして、以下3つの心得を押さえておくことも大切です。
①クレームに対してつの考え方を改める
クレームと真剣に向き合うことは大切ではありますが、お客さまの怒りを受け止めすぎると自分が参ってしまいます。対応をするうえで大切なのは、クレームは個人に対して寄せられるものではなく、「会社に対して寄せられている」と考えるべきです。
②感情的にならない
お客さまの怒りにつられて、感情的になってはいけません。どのような感情をぶつけられても、落ち着いて穏やかな口調を心がけましょう。
③誠意をもって対応する
「私が原因で起きたクレームではないから関係ない」「早く電話を切ってほしい」このような気持ちは、声色や話し方から電話越しでもお客さまに伝わります。また、同じように誠意を持った対応も、電話越しでも伝わるものです。クレーム対応をする際は「いち早く困りごとを解決してほしい」と考え対応しましょう。
電話でのクレーム対応は、どんな人でも多少なりとも動揺してしまいます。しかし、あらかじめ対応手順を把握しておくことで、気持ちにゆとりが生まれるようになるでしょう。
ここでは、電話でクレーム対応を行う際の手順を例文と交えて解説します。
まずは、クレームの内容をしっかりとヒアリングします。その際には、お客さまの心情に寄り添った言葉と適度なあいづちを打ち、ヒアリングした内容を復唱しながら話を進めましょう。
ひととおり、話を聞いた後は「ご不便をおかけして申し訳ありません」というように謝罪の言葉を伝えます。
<例文>
・「さようでございますか、現状◯◯の不具合が起きているのですね、ご不便をおかけして申し訳ありません」
・「おっしゃるとおりでございますね、◯◯の対応だとご不快になるお気持ちがわかります。ご迷惑をおかけし申し訳ございません」
このように、お客さまの声に耳を傾け、現在どういう状況で、何に対してクレームを入れたいのかを理解することから始めましょう。
ヒアリングが終われば内容を自分なりにまとめて、お客さまが伝えたかった内容と、担当者の理解が合っているか確認していきます。
<例文>
「お客さまは現在◯◯の対応に困っており、ご要望としては◯◯を望まれているということでお間違いないでしょうか?」
また、把握しきれなかった部分や、改めて確認したい内容がある場合は「クッション言葉」を交え質問するようにしましょう。クッション言葉には「恐れ入りますが」「差し支えなければ」などがあります。本題の前に添えることで柔らかい印象に与え、角の立たない質問や確認が可能です。
<例文>
「差し支えなければ、不具合が起きている状態をもう少し詳しく教えていただけないでしょうか?」
お客さまと担当者との間で理解に相違がなければ、適切な解決策を提示します。また、お客さまの要望に応えるのが難しい場合でも、なるべく要望に沿う「代替案」を提示しましょう。
<例文>
・解決策の提示
「弊社としては、新品の同じ商品と交換もしくは返金対応をさせていただきたいと考えております、いかがでしょうか。」
・代替案の提示
「お客さまの要望に沿う対応はいたしかねますが、新品と同じ商品と交換でしたらすぐにお送りいたします」
注意点としては「◯◯できると思います」などと曖昧に回答してしまうと、さらなるクレームを招く可能性もあります。解決策や代替案の判断が難しい場合には、曖昧なまま返答するのではなく、上司に相談した上で折り返し対応しましょう。
解決策または代替案をお客さまに受け入れてもらえたら、改めてお詫びと感謝を伝えます。お詫びは電話の冒頭にもしますが、クレーム対応の「締め」としてお詫びと、業務改善に役立つ貴重なご意見をくださったことに対する感謝を述べます。
また、改善に前向きな姿勢を見せることで、お客さまと今後も良好な関係を築きやすくなるでしょう。
<例文>
・「この度は、ご不便をおかけしましたことを、お詫び申し上げます。また、貴重なご指摘をいただき、誠にありがとうございました」
・「この度は、貴重なご意見をいただきありがとうございました。ご指摘いただいた内容を真摯に受け止め、改善に向けて取り組んで参ります」
ここでは、電話でのクレーム対応でよくある問題とその対処法をご紹介します。実際にクレームを受けた際に困らないよう、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
担当者が不在ですぐに返答できない場合でも決して他人事とはせず、まずは会社の責任としてご迷惑をおかけしたことに対しお詫びしましょう。
しかし、勝手に解決してはいけません。誤った対応をしてしまうと新たなトラブルを招く可能性があるからです。そのため、担当者が不在の場合は、お客さまに折り返しの対応としてもよいかどうかまず確認します。納得していただけたら、名前と電話番号、折り返しが可能な時間を確認しましょう。
具体的には、以下のようにお伝えします。
・「この度は、ご不便をおかけし申し訳ございません。あいにく◯◯(担当者)は外出しております。担当の者に確認しますので、折り返してもよろしいでしょうか」
・「恐れ入りますが、お名前とお電話番号をお伺いしてもよろしいでしょうか」
自分や自社に非がなく謝るべきなのかわからない場合でも、ご迷惑やご面倒をかけてしまったことに対してお詫びしましょう。
なかには、非がないのにもかかわらず謝罪してしまうと「責任を取らされる」と思う方もいるかもしれません。確かに、全面的に謝罪してしまうと、こちら側に非がなくてもクレームを認めたと認識され、不利な立場になってしまうケースもあります。
そのため、お詫びする際は以下のように「範囲を絞って」謝罪の言葉を述べましょう。
・「お手間を取らせてしまい、申し訳ございません」
・「◯◯につきましては、ご不快な思いをさせてしまいお詫び申し上げます」
「上司に代われ」と言われた場合は、会社の方針によって異なりますが、基本的には最初に電話にでた担当者が対応します。理由としては、上司に取り次いだところで、状況が改善されるわけではないからです。却って、「上司に代わる」というお客さまの要望を通してしまったことにより、さらなる無理難題を押し付けてくることも考えられます。
しかしながら、ただ単に「代わりません」と、こちらも言い張ってしまうのは、お客さまの要望を反射的に拒否しているだけと思われかねません。そのため、理由や正当な主張をもって、上司に取り次げない旨を伝えましょう。
具体的には、以下のように伝えます。
・「お客さまの担当はわたくしがさせていただきます。詳しいお話を伺えますでしょうか?」
・「お客さまのお話は、わたくしが責任をもってお聞きいたします。よろしければ、お聞かせ願えませんでしょうか?」
クレーム電話をかけてくる人は、最初に電話に出た担当者の態度に敏感です。対応の良し悪しによっては、さらなるクレームに発展するケースも少なくありません。
ここでは、電話のクレーム対応で気をつけるべきことをご紹介します。
お客さまにしっかりと話が伝わるように、ハキハキと喋り言葉遣いにも注意しましょう。
クレームを受けると萎縮してしまい、暗いトーンで応対してしまいがちです。しかし、電話対応において顔が見えない分「声」や「話し方」が印象を左右します。ぼそぼそと、はっきりしない喋り方をしていると、お客さまに聞き返されたり、感じが悪いと取られてしまったりと悪い印象を与えてしまうので注意が必要です。
またクレーム対応中は、言葉遣いに注意を払わなければなりません。誤った言葉遣いにより、お客さまを怒らせてしまい、さらなるトラブルに発展する可能性もあります。日頃から正しい言葉遣いを意識しましょう。
クレームによっては、自分では対応できないケースがあります。その場合でも、何度も担当者を変え「電話をたらい回し」にすることは絶対に避けるべきです。たらい回しにすることによって、同じ説明を幾度と繰り返させてしまい、お客さまにストレスを与えてしまうからです。
また、何度も説明しているのにいつまでも問題が解決しないと、さらに苛立たせてしまいます。そのため、最初に電話を受けた担当者がクレーム内容を正確にヒアリングし、対応することが重要です。そのうえで、自分で対応できない場合には、一度で適切な部署や担当者につなげ、お客さまを待たせないようにしましょう。
どんなに納得できないクレームだとしても、お客さまが話をしている最中は、決して反論はせず、最後まで話を聞くこともクレーム対応に必要なスキルです。
とくに「お気持ちはよくわかるのですが」「◯◯とおっしゃいますけど」のように、言葉の最後に「が」や「ど」がつくのは反論しているように聞こえてしまうので注意しましょう。どうしても反論したいときには、お客さまの話をよく聞き、クッション言葉を用いて説明します。
また、言い訳や曖昧な対応は、お客さまに不誠実だと受け取られ、今度は担当者に対し不満の矛先が向けられることもあります。クレームを解決する近道は、まずはお客さまに信頼してもらうこと。自分よがりな言い訳や曖昧な対応はせず、お客さまの気持ちに寄り添い、信頼関係を構築していきましょう。
お客さまからの要望に対し、すぐに対応できない場合は、そのまま待たせるのではなく、一度電話を切って折り返し対応しましょう。
クレームの電話をかけてくるお客さまの多くは、電話をかける前から不快な気持ちでいます。その状況で、保留のまま待たせてしまうと、さらに電話担当者の印象は悪くなり、解決が遠のいてしまうかもしれません。事実確認や解決策のご提案までに時間を要するのであれば、折り返し対応をしましょう。
その際、折り返し電話の希望日時を伺いますが、必ず指定された日時にかけ直します。うっかり忘れてしまうことがないよう、十分に注意しましょう。
電話を切る際も、お客さまへの配慮が必要です。どのようなクレームであったとしても、お客さまにご不便をおかけし、貴重な時間を使わせていることには間違いありません。また、配慮に欠けた電話の切り方をしてしまうと、その後のお客さまと会社との関係性に悪影響が及ぶことも考えられます。
そのため、電話を切る前には「この度は、ご不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます」と一言添えて締めくくりましょう。さらに「電話を受けた・かけた」にかかわらず、電話の相手が「お客さま」の場合、お客さまが電話を切ってから、こちらも受話器を置くのがマナーです。電話を切る際は、直接受話器を置かずにフックスイッチを押さえ、ゆっくりと丁寧に受話器を置く配慮も心がけましょう。
クレーム対応とは、商品やサービスを利用したお客さまが不平不満や怒りを抱いたときに、気持ちをなだめ、解決策や代替案を提案する業務です。「苦情・怒鳴られる・話を聞いてもらえない」というように、ネガティブなイメージが強いかもしれませんが、対応次第で業務改善のきっかけになり得る、重要な業務といえます。
しかしながらお客さまの多くは、感情的な状態で電話をかけてきます。そこで誤った対応をしてしまうと、火に油を注ぐことになるかもしれません。自社の評判を下げないためにも、電話対応のプロに任せるのも有効な手段です。
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