コールセンターでのAI(人工知能)活用方法や事例・注意点を解説
公開日 2024.07.28
更新日 2024.07.28
知識

コールセンターでのAI(人工知能)活用方法や事例・注意点を解説

近年、さまざまな業界で注目されているAI(人工知能)は、コールセンターでも導入されるケースが増えています。AIを活用し、自社のコールセンターが抱える課題を解決したいという企業も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、コールセンターでのAI活用方法を紹介します。具体的な事例や注意点も解説するので、自社にどのようなAIシステムが適しているのか、検討する基準にしてみてください。  

AI (人工知能) とは?

そもそもAIとは、どのようなものなのでしょうか? AIは「Artificial Intelligence」の略で、「人工知能」と訳されます。AIには、明確な定義がありません。ただし一般的には、思考や認識、学習といった人間の知的行動を再現するシステムとして捉えられています。人間が経験から知識を得るのと同様に、AIにも自己学習能力が備わっているところが大きな特徴です。 また、AIは汎用型と特化型の2種類に分類されます。 汎用型AIは、プログラミングされていない状況に直面しても自ら考えて対処できるものですが、いまだに実用化には至っていません。一方で、特化型AIはプログラミングされた特定の内容に対して思考や処理が可能です。現在、AIシステムの多くは特化型であり、画像診断や自動運転、翻訳などに活用されています。  

コールセンターでよくある課題

コールセンターの業種や業務内容は企業によって異なりますが、抱えている課題には共通点が見られます。 コールセンターでよくある課題が、慢性的な人手不足です。 コールセンターの業務は多岐にわたり、オペレーターには柔軟な対応スキルが求められます。時にはクレームへの対応も必要となり、オペレータの業務負荷は大きくなる傾向です。 そのため、離職率が高くなりやすく、人材がなかなか定着しません。一方で、人手不足によって新人オペレーターを育成する時間は確保しにくくなります。少ない人員で業務にあたる状況が続けば、オペレーターの負担はより一層増大するでしょう。 そして、コールセンターの人手不足は、電話に出られない「あふれ呼」が発生する要因となり得ます。また、オペレーターの教育が行き届かず電話対応の品質にばらつきが出れば、顧客満足度まで低下させかねません。 さらに、問い合わせチャネルの多様化もコールセンターにとって大きな課題です。マルチチャネルに対応するにあたって、オペレーターの業務量が増える可能性があります。 コールセンターが電話対応の品質を維持するには、オペレーターの負担を減らす工夫が重要だといえるでしょう。  

コールセンターでAI (人工知能) 活用をするメリット

慢性的な人手不足に陥っているコールセンターでは、オペレーターの負担が増加し、対応品質も低下する恐れがあります。このような課題を抱えるコールセンターに対し、AIがどのようなメリットをもたらすのか詳しくみていきましょう。  

応対品質の標準化・顧客満足度向上を図れる

先述の通り、コールセンターではオペレーターの離職率が高い傾向にあるため、応対品質に差が生じやすくなります。 コールセンター業務が属人化する事態を防ぐには、AIの活用が有効な手段です。例えばAIによって問い合わせ内容の文字起こしや必要な顧客情報の表示が可能となれば、オペレーターが落ち着いて電話対応できるようになります。また、FAQシステムや検索システムを充実させることで、オペレーター間の情報共有もスムーズになるでしょう。 AIを介してオペレーター全員が適切な電話対応のノウハウを習得できるので、応対品質が標準化され、顧客満足度の向上も見込めます。  

オペレーターの負荷軽減を図れる

AI導入により、オペレーターの負荷軽減を図れる点もメリットです。 従来のコールセンターでは、オペレーターが顧客からの問い合わせに臨機応変に対応する必要がありました。業務負担が大きくなるほど、オペレーターの離職を招きかねません。 そこで、コールセンター業務にAIシステムを取り入れてみてください。例えばIVR(自動音声応答装置)を導入すれば、内容に応じて電話が振り分けられ、オペレーターの対応範囲を事前に絞れます。また、チャットボットを活用し、よくある質問に関しては顧客の自己解決を促すのも効果的です。  

業務効率化・生産性向上を図れる

コールセンターでAIを活用するメリットには、業務の効率化と生産性の向上も挙げられます。 例えば音声認識システムで顧客との通話内容を自動的にテキスト化すれば、事後処理にかかる時間を短縮できるでしょう。また、アウトバウンド業務では、ボイスボットで効率よく架電業務を進めることが可能です。 このように従来の業務をAIで効率化するなかで、オペレーターの負担を減らしながら生産性を高められます。その結果、顧客満足が向上するのはもちろん、企業の利益アップにつながるでしょう。  

コールセンターでのAI活用方法・事例とは?

コールセンターにAIを導入すれば業務が効率化され、オペレーターの負荷を軽減できます。人手不足に悩むコールセンターにとって、AIは課題解決の重要なポイントとなるでしょう。ここからは、AIの具体的な活用方法・事例を紹介します。  

チャットボット

チャットボットとは、ロボットと顧客が自動でやり取りできるプログラムを意味します。短文でリアルタイムにやり取りする「チャット」と、ロボットが自動で特定の作業を行う「ボット」を組み合わせた造語です。 WebサイトにAI搭載のチャットボットを設置することで、深夜や早朝など企業の営業時間外であっても、顧客からの問い合わせに対応できます。顧客にとっても、自分に都合のいいタイミングで問い合わせできる点が大きなメリットです。 また、よくある質問や定型のやり取りにチャットボットを活用し、顧客の自己解決率を高めれば、オペレーターの負担軽減を図れます。 さらに、チャットボットは気軽に利用しやすいというメリットがあるため、見込み顧客の発掘にも役立つでしょう。  

ボイスボット

ボイスボットとは、AIを搭載した自動音声応答システムです。音声認識や音声合成の技術により、人間と対話しているように自然なやり取りが実現します。 チャットボットがテキストで自動回答するのに対し、ボイスボットは発話音声で応答する点に違いがあります。また、ボイスボットはIVRと異なり、顧客が番号入力する手間を省けるところがメリットです。 コールセンターにボイスボットを導入することで、インバウンド業務やアウトバウンド業務の自動化を促進できます。オペレーターが効率よく働けるようになれば、人材不足を解消できるかもしれません。 さらに繫閑期に応じて人員配置ができるため、コールセンターの生産性も向上します。結果、顧客にとってつながりやすく、利便性の高いコールセンターとして評価されるでしょう。  

FAQシステム

FAQシステムとは、よくある質問に対する回答をまとめ、顧客の疑問や悩みを自己解決できるようにする仕組みです。企業の従業員が参照するための社内向けFAQもあります。 顧客からは多種多様な問い合わせが寄せられますが、なかには単純な質問が多いケースも考えられるでしょう。質問内容が同じであれば、オペレーターが毎回対応するよりも、システム上に回答を用意した方が効率的です。 そこで、質問と回答を一対一形式でFAQシステムに集約することで、オペレーターが対応に割く時間を減らせます。また、顧客は自ら問題を解決できるため、わざわざコールセンターに電話をかける必要がなくなるでしょう。 このように、FAQシステムを活用して顧客へのフォローアップを拡充すれば、顧客満足度の向上にも効果を発揮します。  

音声認識システム

音声認識システムとは、人間の音声を分析してテキスト変換する仕組みです。コールセンターにおいては、通話内容をテキスト化したり、顧客の音声データを解析したりする際に利用されます。近年、AIを使用した音声認識システムの開発が進んでおり、より精度の高いデータを収集することが可能です。 音声認識システムでテキスト化されたデータは、マニュアルやトークスクリプトを作成するにあたって有益な資料となります。 また、顧客との通話内容を後から確認できるため、オペレーターの対応品質をチェックしやすくなるでしょう。 コールセンターの管理者は、音声認識システムを活用してオペレーターのフォローに注力し、優秀な人材の育成に努めることが大切です。  

コールセンターでAI導入をする際の手順

コールセンターにはさまざまなAIの活用方法があり、導入によって企業と顧客の双方にメリットがもたらされるでしょう。ここからは、コールセンターでAIを活用したい企業に向けて、導入する際の手順について解説します。  

現状整理と問題・課題の可視化

コールセンターでAIを導入するにあたって、まず現状整理と問題・課題の可視化を行ってください。 コールセンターの現状を把握し、どのような問題や課題があるのか洗い出すことで、自社にAIを導入する目的が明確になります。 「顧客対応の品質に差がある」「似たような問い合わせが多い」など、課題の内容によって解決策も異なるものです。複数の問題が見つかった場合、AIを導入する必要性と担当する業務範囲も併せて検証するとよいでしょう。 コールセンターの抱える問題が具体的にわかれば、どのようなAIシステムが自社に合っているのか適切に判断できます。AIの効果を最大限に引き出すには、課題と目的を認識するプロセスが欠かせません。  

業務フローの見直し

続いて、コールセンターにおける業務フローを見直しましょう。 課題を解決するにはどのような対策が有効なのか、業務フローを見直して改善点を探してください。 例えば、電話対応後の処理に時間がかかっているのであれば、システムへの入力作業を簡略化するのも有効な手段です。 また、よくある質問に対するオペレーターの対応量を減らしたい場合、FAQシステムやチャットボットといったAIが役に立ちます。 業務フローのチェックによって、AIシステムの選定基準をより明確にすることが可能です。さらに、これまで気付かなかったコールセンターの問題にもアプローチするきっかけとなるでしょう。  

導入サービスの比較と検討

最後に、導入するサービスの比較と検討を行います。 AIシステムは導入すれば終わりではなく、その後の活用方法が重要なポイントです。サービス会社によって、AIの持つ機能や利用プランも異なります。そのため、検討しているAIシステムが自社の課題を解決できる機能を備えているのか、必ず検討するようにしてください。 導入後のサポート体制や費用対効果についても、事前に確認しておきましょう。 必要に応じて、サービス会社を比較するのもひとつの手段です。 自社に合ったAIシステムと信頼できるサービス会社を選べば、AIを活用したコールセンター運用を軌道に乗せられるでしょう。  

コールセンターでAI導入をする際の注意点

コールセンターでAIを導入する際には、手順と併せて注意すべきポイントも押さえることが大切です。 ここではAIを上手く活用するための注意点について解説します。  

AI活用までにはデータの蓄積が必要

コールセンターにAIを導入してから活用するまでには、データの蓄積が必要となる点に注意してください。 AIは学習することでより精度が高まり、期待された役割を果たせるようになります。 しかし、導入段階のAIには経験や知識が不足しているため、継続してメンテナンスを行うことが大切です。 例えばチャットボットを使用する場合、顧客の問い合わせに正しく回答できているのか、定期的に履歴データを確認しましょう。もし回答に誤りがあれば、AIに正しい知識を学習させます。 また、AIにプラスアルファの情報を紐づけることで、回答内容の質を高めることも可能です。企業ではAIの担当する業務のデータを蓄積し、必要に応じて学習させる仕組み作りが求められます。  

オペレーターへの浸透が必要

コールセンター業務でAIを活用するには、オペレーターへの浸透も欠かせません。 AIを導入すればコールセンター業務が効率化され、オペレーターの負担軽減につながるというメリットがあります。 一方で、オペレーターがAIの使い方を理解していないと、かえって生産性が低下したりトラブルが発生したりする可能性も考えられるでしょう。また、AIが業務でミスした際の対応フローについても、事前に想定しておくことが大切です。 そのため、コールセンター全体でAIを導入する目的を共有し、使用上の注意や運用方法を周知するようにしてください。  

まとめ

AIとは、人間の知的行動を再現するとともに自己学習能力を備えたシステムです。 近年、コールセンターをはじめとして、さまざまな業界でAIが活用されています。 特にコールセンター業界では慢性的な人手不足に陥り、オペレーターの負担増大や対応品質の低下につながっているのが現状です。 このようなコールセンターの課題を解決する手段のひとつとして、AIの活用が挙げられます。 コールセンターでAIを導入すれば、業務が効率化され、オペレーターの業務環境や電話対応の品質を改善することが可能です。これにより、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。 コールセンターで役立つAIにはさまざまな種類があるため、自社の目的に合わせて選ぶようにしてください。また、AIを導入する際にはデータの蓄積とオペレーターへの浸透が必要な点にも留意しましょう。 中央事務所は、専門講習を受けたプロのオペレーターが在籍しており、月間総受電数6万件(※1)、新規入電応対率98%(※2)、さらにカスタマー応対率95%(※3)を維持するなど確かな実績がございます。 さらに、対応可能な業務範囲や使用ツールを充実させることで、企業様のニーズに合ったプランを提案しております。自社のコールセンターにAI(人工知能)を導入したいと考えている企業様は、一度中央事務所にご相談ください。 ※1: 月間総受電数6万件 2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計 ※2: 新規入電応対率98% 2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出 ※3: カスタマー応対率95% 2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
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