公開日 2023.11.02
更新日 2024.01.29
知識
コールセンターでチャットボットを導入するメリット・デメリットを解説
近年、顧客対応にチャットボットを活用する企業が増えています。Webサイトやアプリからいつでも気軽に問い合わせできるチャットボットは、企業と顧客の双方にとって便利なツールです。
チャットボットでコールセンターの顧客満足度を向上させたい、と考える企業も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、コールセンターでチャットボットを導入する際に押さえておきたいメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
コールセンターにおけるチャットボットとは?
チャットボットとは、は「chat(チャット)」と「bot(ボット)」を組み合わせた造語で、音声やテキストを介してユーザーと対話できるプログラムを指します。
ユーザーが聞きたい内容を入力したり、指定の質問リストから適切なものを選んだりして、チャットボットからの回答を得る仕組みです。
企業のコールセンターでは多くの電話を受け付けており、そのなかにはよくある質問も含まれるでしょう。答え方が定まっている質問には、オペレーターに代わってチャットボットが回答することで、コールセンター全体の業務改善につながるといえます。
コールセンターでのチャットボット導入目的や使われ方
多くの企業で活用されているチャットボットは、コールセンターでの導入事例も増加傾向にあります。ここでは、コールセンターでチャットボットを導入する目的や使われ方についてみていきましょう。
人手不足解消
電話対応をはじめとしてコールセンター業務は幅広く、オペレーターの対応スキルが問われます。業務量の多さやクレームへの対処を負担に感じ、離職するオペレーターも少なくありません。人材がなかなか定着しないため、コールセンター業界で人手不足が慢性化しています。
チャットボットは、このようなコールセンターの課題を解決する手段として有効です。コールセンターにチャットボットを導入することで、よくある質問に関しては顧客の自己解決を促せます。
その結果、オペレーターが対応すべき問い合わせを絞れるうえに、自分の業務に集中しやすくなるでしょう。チャットボットのサポートによってオペレーターにかかる負荷を減らせるので、長期にわたって人材を確保できます。
応対品質の均質化
チャットボットを導入すれば、コールセンターにおける応対品質の均一化が可能です。
チャットボットは質問に対して自動応答するシステムなので、回答内容にばらつきが生じません。また、チャットでのやり取りも迅速であり、「すぐに問題を解決したい」という顧客ニーズを満たせるでしょう。
さらに、チャットボットに一次対応を任せれば、オペレーターの電話対応に必要な工数を削減することが可能です。結果として、オペレーターによるきめ細やかな対応が実現し、コールセンター全体の業務品質も高まります。チャットボットを適切な場面で取り入れ、顧客満足度の向上に活かしてください。
対応時間の拡張(24時間365日の窓口)
チャットボットは、コールセンターを24時間365日対応できる窓口にしたい企業におすすめのツールです。
早朝や深夜といった時間帯は企業の営業時間外であることも多く、顧客対応が難しくなります。しかし、有人対応できない時間帯にチャットボットを導入すれば、24時間いつでも顧客からの問い合わせに対応可能です。
また、チャットボットなら休日や祝日、大型連休中であっても、普段と変わらずサービスを提供できます。
チャットボットによってリアルタイムで安定したカスタマーサポートを実現できるため、企業に対するロイヤリティが高まり、将来的な利益に結び付くでしょう。
コールセンターでのチャットボット導入のメリット
チャットボットはコールセンターの人手不足解消や、応対品質の改善のために取り入れられています。では、実際にコールセンターでチャットボットを導入すると、どのようなメリットが考えられるのでしょうか?
カスタマーサポートの充実
コールセンターでのチャットボット導入によって、カスタマーサポートを充実させることが可能です。
チャットボットは、電話やメールと比べて素早くレスポンスできます。電話が繋がってから回答に至るまでの時間が少なくて済むため、顧客を待たせる心配もありません。
また、24時間稼働のチャットボットなら、コールセンターの営業時間外でも問い合わせを受け付けられます。生活スタイルや都合に合わせて利用できるカスタマーサポートは、顧客からも高く評価されるでしょう。結果的に企業の信頼感が高まり、顧客満足度の向上も十分見込めます。
オペレーターの工数削減
チャットボットは、オペレーターの電話対応にかかる工数を削減するのに有効なツールです。
コールセンターに寄せられる問い合わせのなかには、定型的な質問も多く含まれます。よくある質問にオペレーターが対応し続けていると、業務量の増加や電話の取りこぼしにつながりかねません。
そこで、商品・サービスの価格や利用方法など、ある程度回答内容の決まった質問はチャットボットに対応させてください。一次対応に割く時間が減るため、オペレーターは落ち着いて問い合わせに対応できるようになります。
また、チャットボットによってオペレーターの負担が軽減されれば、適切な人材配置が可能となる点もメリットです。
コールセンター全体の業務効率化
コールセンターでチャットボットを活用すれば、オペレーターの電話対応が円滑に進み、ストレスや負担も減らせます。同時に、安定した人員数で質の高い電話対応を提供できるようになるでしょう。
また、簡易な質問はチャットボットに任せ、難しい内容の問い合わせにはオペレーターが直接対応するといった形で、対応業務を分担することも可能です。これにより、顧客ごとの異なるニーズに応じながら適切なカスタマーサポートを実現できます。
チャットボットがオペレーターの顧客対応をフォローする流れを構築し、コールセンター全体の業務を効率化していきましょう。
対応できる問い合わせ数の増加
チャットボットなら、コールセンター全体で対応できる問い合わせ数を増やすことも可能です。
チャットボットの導入で一次対応が円滑化されれば、顧客が問い合わせに対して感じるハードルも低くなります。いつでもカスタマーサポートを利用できるという安心感は、企業のロイヤリティ向上につながるポイントです。
また、業務の一部をチャットボットが代行する分、従来よりもオペレーターの対応範囲が広がります。さらに、コールセンターへの問い合わせ数が増えても、チャットボットを導入している環境なら顧客満足度の高い対応を継続できるでしょう。
コールセンターでのチャットボット導入のデメリット
チャットボットはコールセンター業務やカスタマーサポートにプラス効果を発揮する一方で、導入にデメリットがある点にも気を付けなければなりません。ここからは、チャットボットの導入で想定される3つのデメリットを解説します。
導入・運用コストがかかる
コールセンターにチャットボットを導入する場合、導入や運用のコストがかかることに留意してください。
チャットボットの運用にあたっては、事前に細かく自動応答の設定をしなければなりません。コールセンターに蓄積された問い合わせデータやFAQをもとに対話のベースを作り、回答の精度を高めていきます。
特に、ユーザーが選択肢を選ぶシナリオ型のチャットボットでは、想定される質問と回答をできるだけ多く盛り込むことが重要です。
チャットボットを自社のコールセンターに適した対応ツールにするために、十分な検証とブラッシュアップを重ねましょう。
チャットボットの対応範囲の明確化やフロー整備が必要
チャットボットを導入するなら、対応範囲の明確化や業務フローの整備が必要となります。
顧客からの問い合わせに対して、チャットボットとオペレーターがそれぞれ担当する部分を明確に分けておかなければ、コールセンターの現場が混乱しかねません。
また、チャットボットで対応する範囲を決めたうえで、従来の業務フローを見直す作業にも取り組んでください。フローの整備が不十分だと、電話対応にミスやロスが発生しやすくなり、顧客満足度を低下させる恐れもあります。
チャットボットの導入段階で、今後の運用方針をきちんと定めておくことが大切です。
問い合わせの多様化に繋がり負荷が増える場合もある
チャットボット導入によって問い合わせの内容が多様化した結果、コールセンターの業務負荷が増えるというデメリットも想定されます。
チャットボットは、Webサイトはもちろん、LINEやFacebookといったSNSアカウントにも設置できるツールです。さまざまなチャネルとチャットボットを連携させれば、企業がより多くの顧客と接点を持てるようになるでしょう。
一方で、問い合わせの件数や質問のバリエーションが増えると、チャットボットではなくオペレーターが対応すべき業務範囲が広がる可能性もあります。その結果、軽減されたはずの業務負荷が再び増大しかねないため、チャットボットを慎重に運用する心がけが必要です。
コールセンターで導入するチャットボットを選ぶ際の注意点
コールセンターのチャットボットには、メリットとデメリットがあると理解したうえで導入することが大切です。ここからは、どのような機能を持ったチャットボットを選べばいいのか、4つのポイントについて説明します。
有人対応機能があるか
コールセンターにチャットボットを導入するなら、有人対応機能があるものを選ぶようにしてください。
チャットボットは設定やシナリオに沿って自動応答できる点が便利ですが、問い合わせの内容によっては、複雑すぎて対応しきれないケースも考えられます。チャットボットを使っても適切な回答が得られない場合、顧客に不満を抱かせかねません。
そのため、チャットボットで解決できない問い合わせについては、有人対応に切り替える機能が必要です。オペレーターがチャットボットの対応履歴を確認し、スムーズに引き継ぐことができれば、顧客を待たせずに済みます。また、電話の一次対応にあたる部分はチャットボットが担当しているため、オペレーターの工数や業務負担が増えるリスクもないでしょう。
会話履歴をどの程度残せるか
コールセンターで利用するチャットボットに会話履歴をどの程度残せるのか、事前にチェックしておいてください。
チャットボットサービスの多くは、管理画面で顧客とのやり取りを確認できるように設計されています。しかし、会話履歴を閲覧できる期間が限られていたり、PDFやcsvなどデータを書き出せる形式が決まっていたりと、サービスによって使用条件は異なるものです。このような違いを把握していないと、必要なときに会話履歴を参照できなくなってしまいます。
チャットボットの会話履歴をコールセンター全体で共有し、業務改善に活用したいと考えているなら、会話履歴をしっかり残せるものを選ぶとよいでしょう。
回答方法の設計が詳細に可能か
チャットボットを選ぶにあたって、自社のコールセンターに合わせて詳細に回答方法を設計できるかどうかが、重視すべきポイントです。
まず、コールセンターにチャットボットを導入する目的を明確にし、どのような回答方法を採用するのか決めてください。チャットボットに典型的な質問の対応を任せたいなら、シナリオ型が適しています。コールセンターごとによくある質問の傾向を捉え、顧客ニーズに沿ったシナリオを設計しましょう。
また、学習機能を持ったAI搭載型のチャットボットは、会話履歴を参考にして自力学習するタイプです。複雑な問い合わせへの回答方法として、AI型のチャットボットを検討してみてはどうでしょうか。
他システムやツールとの連携が可能か
チャットボットのサービス業者に対し、他システムやツールとの連携状況を確認することも忘れないでください。
チャットボットとコールセンターのCRMシステムを連携させれば、顧客とのやり取りを一元管理できます。CRMシステムでは、チャットボットだけでなく電話やメール、SNSなど複数の窓口を取りまとめることも可能です。オペレーターが顧客に重複して対応したり、連絡を忘れたりするミスを防ぎ、業務の効率化につながります。
また、他のチャネルにチャットボットを連携させ、顧客との接点を拡大するのも効果的な企業活動の一環となるでしょう。
まとめ
ユーザーからの質問に対話形式で応答するチャットボットは、コールセンターでも注目されているシステムです。
コールセンターにおいて、チャットボットは人手不足の解消や応対品質の均一化を目的として導入されています。実際にチャットボットを導入すれば、コールセンター業務を効率よく進められるだけでなく、カスタマーサポートを充実させることも可能です。
このようなメリットがある一方で、導入・運用のコストや利用環境の整備が必要となる点に気を付けなければなりません。コールセンターに導入するチャットボットを選ぶ際には、自社に必要な機能を備えているかどうか、あらかじめ確認するようにしてください。
中央事務所は、月間の総受電件数6万件(※1)、新規入電の応対率98%(※2)という確かな実績を保持する電話代行サービス会社です。丁寧なサポート体制のもと、カスタマー応対率は95%(※3)を維持しています。
また、中央事務所には専門講習を受けたオペレーターが在籍しており、質の高い電話対応が強みのひとつです。さらに、業務範囲や使用ツールなど充実したプランで、企業様のニーズにお応えします。コールセンターにチャットボットを導入したい企業様は、ぜひ中央事務所にご相談ください。
※1: 月間総受電数6万件
2021年10月1日~10月31日の期間で入電数をCTI出力により、CTIに接続しオペレーター対応をした件数を集計
※2: 新規入電応対率98%
2021年1月~2022年4月の期間でオペレーター対応数を新規入電数で割り算出
※3: カスタマー応対率95%
2022年2月~2022年4月の期間でオペレーター対応数をお客さまからのカスタマー入電数で割り算出
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